表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/17

8話

「ちなみになんだが、ルファの年齢はいくつなんだ?」


 俺は3人に尋ねる。


「ん~、多分……よん」「……」


「あら? 折角マコトとの仲を世話してあげたのに、あなたたちは私に恩とか感じていないのかしら? お姉さん、二人がそんなに薄情だったなんて知らなかったわ」


「ルルル、ルファ姉、私たち、何も言ってないよ!?」「……言ってない!」


 いつの間にか俺たちの背後にいたルファが突然会話に乱入してくる。

 いくら油断していたとはいえ、気配もなしに俺の背後をとるとは……、やるな。


 そもそも言おうとしたのはアカだけだったと思うんだが。アオも言ってないのに謝るし、正に一心同体ということか。


「まあいいわ。それよりもマコト、ちょっとついて来てもらえる?」


「ん? なんだ?」


「これから大お姉さま達に会いに行かないといけないのよ」


「!?」「!?」「……!?」


「ああ、いいぞ」


「それじゃあ、私の手を握ってくれる」


「あいよ」


 俺を見るフィレーネ、アカ、アオの顔色がとんでもないことになっているのを見て若干不安になりながらも、俺はルファの手を握った。


「なあ、大お姉さまってことは、その名の通りでっかいのか?」


「でっかい……って、別に体は私達と同じくらいよ。大お姉さまは、お母様の初めの子で、4人の姉のことを言うの」


「へー」


「大お姉さま達は魔王軍の四将軍、四天王ともよばれていて、実質的に私たちの上司にもあたるわね」


「ふむふむ」


「マコト……。気をつけて」


「頑張れよ!? 帰ってきたら慰めてやるからな」「……慰める」


 おいおい……。どんだけその大お姉さまってのは恐れられてるんだよ。


「大丈夫だって、それじゃ、行って来る」


 次の瞬間。ルファの魔法で転移した俺を待っていたのは、威圧感をたっぷりと含んだ美しい女性達だった。






「大お姉さま方、マコト様をお連れしました」


 ルファが豪華な椅子に座っている4人の美女に深いお辞儀をして、俺を紹介する。


「ご苦労さま、ルファ。……それで、お前がマコト?」


「ああ、そうだ」


 ルファに労いの言葉を送り、こちらに問いかけるのは褐色の肌を持つ美女。


 ウェーブがかかったボリュームたっぷりの赤い髪は艶やかで宝石のように光り輝き、その相貌も燃えるような赤。豊満な胸や艶かしい脚を強調するかのような露出の激しい赤と白のドレスを身に纏い、彼女の魅力を引き立てている。

 頭部からは羊のような角が生えており、その角や腕や首には宝石が散りばめられ、それらは全て彼女の引き立て役となっていた。


 気だるげな表情でこちらを見つめる彼女の唇は薄く開かれ、なんとも官能的だ。


「ちょっと、ジュラ、先に自己紹介でしょう?」


 次に口を開いたのはうってかわって清楚さ際立つ美女。


 絹のような滑らかな髪と、まるで陶器のようなその肌は白。来ているドレスも白で絹のような滑らかな素材のところどころに銀糸で刺繍が施されている。

 柔らかな微笑みを崩さず、白く輝くその姿は魔族というよりも女神様といった感じだ。


「クレレの言う通りだ。たとえ人間が相手であっても、最低限の礼儀は忘れてはならない」


 白の美女の発言を補うのは青い美女。


 シャープな印象をこちらに与える彼女は青い髪の毛に白い肌で、瞳の色も青。

 身に纏っているのは美しく磨かれた鎧で、白金でできたそれはまるで鏡のようだ。


 額からはまっすぐな角が生え、先端の部分にいくほど色は透明になっていてなんとも美しい。


「そう、ましてや母様に認められた人間だ。すまないな、人間、マコトよ。私はロワール。母であるフォルスナの一番目の娘だ」


 最後に言葉を紡いだのは黒髪の美女。


 艶やかな黒髪と漆黒を思わせる黒い瞳。身に纏っているドレスは露出こそ少ないがボディラインを強調する形で、そこはかとなく色気を感じさせる。

 発している強烈な威圧感は彼女が最も高く、俺の後ろに控えるルファも萎縮しているようだ。


 それぞれ、赤い美女はジュラ。白い美女はクレレ。青い美女はユニス。黒い美女はロワールと名乗った。


「さて、何故マコトを呼んだのか、理由を話そう」






「――なるほどね」


 ロワールから話を聞いた俺は一人納得していた。


 要するに、フォルスナが認めたからといって、安易に俺のことは受け入れられない。裏切らないって証拠を示せってことらしい。

 そりゃそうだ。そんなにホイホイ人を信じるもんじゃない。ましてや出身世界は違えども、こいつらの戦争相手と同じ人間だしな、俺。


「まあいい。で、どうやって示す?」


「簡単なことよ」


 と、クレレ。


「人間に支配され、蹂躙されし町を、お前の力で奪還してもらいたい」


 と、ロワール。


 ……本当に簡単に言ってくれるな、オイ。


「それにしてもこちらに来て2日足らずで、もう3人の妹達と婚約したらしいじゃないの」


 ジュラ。


「そうなのか? 私はそんな話は聞いていないぞ? 人間、マコトよ、詳しく聞かせろ」


 ユニス。


「そうなのです。お姉さま! マコトは既に夜はフィレーネとベッドを共にし、先ほどなどアカとアオと……!」


 と、ルファ。……って、ルファ!? 何言ってくれちゃってんの!? なんで両手で顔隠して、悲痛そうに言っちゃってんの!?


「ほほう……? マコトは随分と手が早いようだな?」


「ちょ!?」


 言葉と共に、ユラリとロワールの髪が逆立つ。


 うあー……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ