16話
「……あれ? 俺の部屋、ここで良かったっけ……?」
ボーっとする頭で廊下を歩き、何とかたどり着いた部屋。
さすがに飲みすぎたのか、フラフラだ。こんなときは早く眠ってしまうに限る。
……だけど、さっきから体が異様に熱いんだよな……。ボーっとしてはいるものの、別に眠いわけでもないし。
……それに、主に股間の辺りがものすごいことになっている。
フィレーネ達もいないし、これは一度寝る前に抜いたほうがいいかもしれん。
俺はそんなことを考えながら、ドアのノブに手をかける。
ドアを開け、部屋に入ろうかとしたときだ。
「……マコト、様ですか?」
誰か知らない女の声が聞こえてきたのは。
「ああ。俺が、マコトだけど」
「良かった。ずっとお待ちしていたんです。マコト様が来るのを」
「……俺を?」
「ええ。父から聞いてはいませんか? 贈り物があると」
「贈り物?」
「申し送れました。私、カーティスの娘の、パドルと申します」
「カーティスって、あの?」
挨拶を交した、あの四本腕の魔族か。
目の前の娘さんは、親父さんと同じ黒い肌に赤い目だった。束ねられた赤茶色の頭髪は、足首近くまで伸びている。
ちなみに、四本腕ではなかった。彼女は普通に二本腕だった。
彼女は母親似なのだろうか。肌もどちらかというと浅黒いという印象で、カーティスのような真っ黒ではない。
顔はきりっとした美人で、だが柔らかな印象も併せ持っている。
切れ長の目に厚ぼったい唇。そういうデザインなのか知らないが、豊満すぎる胸は上半分がドレスからはみ出しているような状態だ。
腰は細く、腰元から入った深いスリットからは長く女性らしい肉付きのいい脚が覗く。
そういえば、確かに贈り物がどうとか言っていたような……。
「はい。贈り物をお持ちいたしました」
「そっか、ありがとう」
「受け取って、いただけますか?」
「まあ、くれるものはもらっておくさ」
「ありがとうございます!」
「それで、その贈り物って」
「……その前に、お部屋に入れていただいてもよろしいですか? マコト様も、なんだかお疲れのご様子ですので」
俺の返事を待つ前にパドルは俺の手をとって、部屋に入る。
部屋の中は暗かった。
赤い小さな蝋燭の火が、いくつか灯っているだけ。
パドルはわざとなのか、俺の腕を抱きかかえるように、その豊満な胸を押し当てている。
その体温。吐息。匂い。衣擦れの音でさえ艶かしく感じる。
正直、辛抱溜まらなかった。
この胸を揉みしだきたい。あの脚を手で触れたい。濡れた唇を味わいたい……!
最早俺の頭はそれだけだった。
「……贈り物は、この私です。マコト様」
俺を見上げる瞳は期待に濡れていた。
捧げるように突き出す唇から、目を離せなかった。
俺の手は彼女によって導かれ、柔らかく吸い付くような、女性の象徴にたどり着いた。
「さあ、マコト様……」
抵抗することはままならず、されるがまま、ベッドに押し倒される。
そして、パドルの次の言葉を聞いて、俺はもう自分を抑えることが出来なかった。
「私を、もらってくださいませ……ね?」