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三回戦【先輩と先生】

〈第二回 廃剣インタビュー〉

ほい!またまた始まりました第二回目廃剣インタビュー!今回はオレ、斉藤元が司会進行をさせて貰うぜ!前回登場したばっかりだから大我達のことよくわかんねぇから、今回はオレから出題させて貰うぜ!


じゃぁLet`s interview!


大「また俺かよ・・・」

元「まぁまぁ、気にすんなよ。じゃぁ質問な!大我の好きな食べ物って何?」

大「今回も食べ物系かよ・・・好きな食べ物なぁ~カボチャかな?あとお菓子も好きだぜ。」

元「カボチャって・・・おいおい。お菓子は分かるけどカボチャは無いだろ。一応主人公だぜ!主人公がカボチャって・・・」

大「五月蠅いな!良いじゃん!甘くて柔らかくてうまいじゃん!そういう元は何が好きなんだよ!」

元「オレ?オレはもちろん肉!ハンバーグにステーキ、牛丼、焼き肉!肉なら何でも好きだぜ!あっ野菜は嫌い。」

大「はぁ!野菜は大切なんだぞ!今度俺んち来い!うまい野菜食わしてやる!」

元「えぇ~嫌だ~逃げる!」

大「ちょっ!待て!」

椿「元、大我の前で野菜嫌いなんて言ったら駄目だよ・・・じゃぁ大我が元を追いかけてどっか行っちゃったからドロンするぜ!」

   =終了=


またしてもくだらないコーナーを・・・まぁ頑張ってみるさぁ(^_^)v


教室から武道館へ向かう中も元は俺の後ろでギャーギャーと騒いでいる。さっき俺に飛びついてきたから思いっきり腹に蹴りを入れてやったのだ。椿はそれを見て大爆笑だし、元は余計に五月蝿くなった・・・そんな2人を無視してさっさと武道館へ向かう。

武道館の下駄箱を見るともうすでに先輩は来ていた。少し駆け足で道場へ向かうと道場では長身で短髪の先輩が着替えていた。

剣道部の男子は主に道場で着替えるのが普通。女子がいようがいまいが試合会場なんかでも男子はその場で着替えると父から聞いた。

先輩は俺達が道場に入ってきた事に気が付き袴の紐を結び終えると靴下を脱ぎながら、ゆっくり歩いてきた。近くで見るとすごく背が高い・・・175cm以上あるんじゃないか!


「昨日来てた奴らだよな。あれ?お前昨日いなかったな。まぁいいか。仮入部なら山咲やまさきが来るまでそこで待っててくれたらいいから。」


先輩は道場の端を指差して防具を取りに行ってしまった。山咲と言うのは、昨日いたポニーテールの女子の先輩のことだろうか・・・とりあえず先輩が指差したところに正座して座る。少しして隣の部屋から胴着姿の山咲先輩が出てきた。


「あら、昨日の新入生!あなたも仮入部希望者?」


山咲先輩は俺達を見た後、元を見て首を傾ける。


「オレ、自称向龍中学三組組長の斎藤元です!元気の元って書いて元です!」


元は胸を張って自己紹介する。山咲先輩は元の自己紹介を聞いて“君おもしろいね”と言いながら笑っていた。なるほど、新撰組三組組長、斎藤一じゃなくて向龍中学三組組長、斎藤元ね・・・うまく言ったものだ。


「大我君に椿君に元君ね。ようこそ我が向龍中学剣道部へ!私は副部長の山咲やまさき あおいです。よろしくね。」


山咲先輩はそう言って微笑んだ。リボンで黒い長い髪をで高い位置でくくっており、少し小さめの身長に色白な肌。


「おい、山咲。防具の予備確認しといてくれ。俺、先生にメニュー聞いてくるから。」


先ほどの男子の先輩はそういい残して道場から出て行った。山咲先輩は“はぁ~い”とだるそうな返事をしたあとで、


「あれがうちの部長の沖林おきばやし 煌希こうきね。去年、地区大会では個人戦優勝したのよ。ちょっと無愛想だけど真面目な奴だから。あっ、元君体操服持ってるなら着替えてきていいよ。一応更衣室あるから。」


山咲先輩が指差す方を見ると男子更衣室があった。


「大丈夫っす!制服の下に着てるから脱ぐだけっすから!」


そう言って元は制服を素早く脱ぐと体操服になった。いるよないつでも遊べるように常に体操服を下に着てる奴・・・


「山咲先輩、今日どんなことするんすか!オレ待ち遠しいっす」


こいつ、敬語という物を使えないのか!いつかしばかれるぞ・・・いや、いっそしばかれろ!


「う~ん、それは煌希がメニュー貰ってこないとわからないけど、まだ仮入部だから素振りだと想うよ。あっ、大我君竹刀持ってるじゃない!じゃぁ自由に振ってていいよ。私は防具の予備あるか確認してくるから。」


山咲先輩はそう言って倉庫のようなところへ入っていってしまった。自由にって言われても、俺は親父の見様見真似だし。踏み込み足もまだあまり上手くないし・・・

そんな事を悩んでいる間に沖林先輩が帰ってきた。その後ろには少しぽっちゃりした中年の男の先生が入ってきた。先生は俺達の方に歩いてきて、


「やぁ、君たちが新入生だね。こんにちは、私は剣道部顧問の森です。よろしく。」


と小さく微笑んだ。なんだか穏やかそうな先生だ、この先生剣道できるのだろうか。ニコニコと笑いながらゆっくり俺の頭を撫でた。


「先生、そんなところでさぼってないでメニュー考えてくださいよ。新入生が入ったからって安心できないでしょ、まだ廃部寸前なのは変わらないんですから。」


沖林先輩はそう言って先生の肩を叩く。全く先生に対して敬語が使われていない。


「まったく、煌希は先生に対しての態度が悪すぎるのよ!森先生も早くしないと下校時間が来ちゃいますよ~」


山咲先輩は沖林先輩の首を絞めながらにっこり笑ってそう言った。首を絞められている沖林先輩はマジで入っているらしく激しく山咲先輩の腕を叩く。少ししてから山咲先輩は腕を離し何やら沖林先輩に文句を言っていた。


「あの、先生!オレ達全くの剣道初心者なんだ・・・ですけど、それでも大丈夫・・・ですか?」


ここまで敬語が下手な人始めて見た、というぐらい元は敬語が下手だ。まぁ、それは俺も疑問に思っていたから元が聞いたから助かったけど。


「ん?全然大丈夫だよ~実際、この葵だって中学から始めたしね。まぁ、煌希は小学校からやってたけど、小四で止めちゃったらしいし~」


「マジっすか!?葵先輩中学から始めたんですか!ならオレらにも望みありじゃねぇ!煌希先輩はなんで止めちゃったんすか?」


図々しいにもほどがあるだろ!それに、いつから先輩を名前で呼んでいいと想ってんだ!初対面だろうが!俺は元の足を思いっきり踵で踏んで捻る。


「痛ってぇぇ!何するだよ!オレなんかしたか?」


元は踏まれた足をさすり、涙目になりながら俺の方を見る。マジで堪忍袋の緒が切れた・・・


「いつから先輩を名前呼びしてんだよ!失礼だろ!それに、お前にはデリカシーってもんは無いのか!」


こいつ、自分の言動が他人に不快感を与えてることをわかってないみたいだ。俺と元が言い合っていると沖林先輩が急に笑い始めた。何で笑われてるのか、何を笑っているか分からなかったけど、とりあえず元の五月蠅い声は聞こえなくなった。


「お前ら面白いな。元はいつか大物になるよ。それと大我、俺のことは煌希でいいぜ。沖林って言いにくいだろ?」


沖林・・・煌希先輩はそう言って笑って俺と元の頭を撫でた。俺も元も頷いて少し微笑む。俺は長男だから人に頭を撫でて貰う事が少ないから、なんかお兄ちゃんができたみたいで嬉しかった。


「そう言えば、止めた訳だったな。俺道場に通ってたんだけど、そこの先生が教え方は下手だし、指導稽古は荒いし・・・結局、馬が合わなくて止めたちゃったんだ。」


道場の先生と馬が合わなくて剣道自体を止めてしまう人もいるのは父親に聞いたことがある。煌希先輩の先生がどんな人かは知らないけど、剣道を止めるきっかけになるようなことは止めてほしい。


「へぇ~道場だからって良い先生って訳じゃないんだ~一つ勉強になった。っで剣道ってどんな事から始めんの?」


椿の言うことは尤もだ、しかし今言うタイミングか!先輩の話を打ち切ってまで今すぐ聞きたいことか!椿も元も気が読めないんだから・・・

『剣道では気が読めないと駄目だ。』剣道をやる際、父が幼い頃から俺に言い続けている事だ。気が読めなければ相手の隙を見極めることは出来ない。一見、簡単そうだが意外に難しい。今相手が何をしたいか、何を思っているかを察しなければならない。俺様の椿と調子者の元、こいつらに出来るものだろうか・・・


「そうだなぁ、まずは筋トレと素振りだな。大我は素振りできるなら二人を指導してやってくれ。山咲、お前と俺は稽古の用意。」


そう言って煌希先輩は大きな伸びをしながら防具の方へゆっくりと歩いて行った。指導って・・・俺そこまでうまくないんだけど・・・不安を隠しきれない俺の目の前に山咲先輩が笑顔で笑いかけてきた。


「私も葵先輩でいいよ~私も初心者だから気軽に話しかけてね。あっ大我君、素振りの指導は森先生がしてくれるから安心して。」


山咲、元い葵先輩は煌希先輩に呼ばれて防具の方に歩いて行った。よかった、森先生が指導してくれるんだ。さすがに初心者が知ったか振りするのは気分悪い。


「さぁ、下校時間も迫ってるし早速始めようか。志導君は自分の竹刀あるね、外山君と斉藤君の竹刀を取ってくるからちょっと待っててね。」


森先生は小さな倉庫と思われるところから二本カーボン竹刀と自分用の竹刀袋を持ってきた。カーボン竹刀というのはカーボン樹脂でてきた竹刀のことで、普通の竹刀より少し重たくなってしまうが丈夫で竹とは違ってささくれない。剣道部内では“カーボン”と言えば通じる。先生は二人にカーボンを渡して自分用の竹刀を取り出して、一つ一つ丁寧に教えてくれた。




「みんな気をつけて帰るんだよ~また明日ね。」


「はい、ありがとうございました!」


先生が手を振る中正門へと歩いて行く。俺も、俺の横の椿と元も自然と笑顔になってしまった。

あの後、正面素振りと左右面振りを教えてもらった。森先生の教え方はとてもわかりやすかった。今日初めて竹刀を握る椿や元も分かりにくい顔もせず練習していた。そして、あっという間に下校時間になってしまった。煌希先輩と葵先輩が着替えている間に道場にモップをかける。


「君達筋はいいからきってすぐ上手になるよ。外山君は力は無いけど、しなやか動きに動態視力のよさで出鼻技でばなわざなんかがいいと思うよ。

斉藤君は力強くてちょって荒っぽいけど体力もあるし、なによりスピードがあるから面技なんかを使えばいいと思うよ。

そして志導君は綺麗で正確に打つことの出来るコントロールの良さ、もっと素早さをプラスしたらもっと上に上がれるよ。これからは筋力を上げることを重視して。形になったらそれぞれの特性にあった練習をしよう。良い金の卵見つけちゃった。」


先生は俺たちにそう言いながらニコニコ笑った。素振りだけでここまで分かるのにも驚いたが、ここまで褒めてもらえるとは思ってなかった・・・



「煌希先輩、質問いいですか?」


帰り道煌希先輩達と歩いていると、椿が煌希先輩に質問をしていた。煌希先輩は“いいよ”と大きな欠伸をしながら言って椿の方を見た。


「あっ!オレも質問質問!出鼻技って何ですか!?」


元は手を大きく上げて煌希先輩の前に出て飛び跳ねてる。こいつ疲れているのになんでこんな五月蠅いんだ・・・椿も同じ質問だったらしく、頷いて先輩を見上げていた。


「出鼻技ってのは要は相手が出てくる瞬間に技を出す事だよ。試合では結構使うから得意だと有利だよ。」


煌希先輩はそう言って椿の頭を撫でる。椿が出鼻技をマスターしたらきっと大会でも上へ上がれる。元も今日見た感じ筋はいい。そこに煌希先輩とで大会に出たらどこまで行けるんだろう・・・考えただけでワクワクしてきた。もうだいぶ辺りが暗くなってきた。星も出だしたし帰らなきゃ・・・・・・あっ!


「春香迎えに行くの忘れてた!?やばい!先輩、俺あっちなんでさようなら!」


先輩に礼をしてから急いで保育園の方へダッシュ。やばい、もう6時になっちまう。春香の奴泣いてるかも・・・はぁ~泣き出したら五月蝿いからなぁ・・・




「大我の奴、どうしたんだ?あんな急いで・・・」


オレはリャックからキャンディーを舐めながら呟いた。


「あいつんち、八百屋で親が大変だから、下にいる3人の弟妹の面倒全部あいつが見てるんだよ。春香というのは一番下の年長の妹ね。いつも学校の帰りに保育園まで迎えに行ってるんだよ。」


椿は“元、貰うよ。”と言ってオレの返事聞く前にカバンから勝手にキャンディーを取り出して食べた。こいつ、オレの貴重な非常食を!


「大変なのね。あと2人は何歳なの?」


葵先輩はマフラーを巻き直しながら椿に聞いた。そういえば3人いるって言ってたな~


「夏樹と冬樹は双子で年子だから、小学1年生だったかなぁ~双子だから大変だったみたいだよぉ~

春香ちゃんが生まれた後は、あいつ半分鬱みたいになっちゃってさ~反抗期も酷かったんだよ~親と喧嘩してはよく俺んちに来て泣いてたもん。“こんな生活耐えられない”ってよくぐずってた。

そりゃ、小学2年で遊べない、弟妹の面倒をしなきゃならない、いろんなことを我慢しなきゃならないなんてしんどいだろうな~でも1、2年したら慣れたみたいで今は難なくこなしてるみたいだよ。」


小1と年長さんの弟妹ね~全くもって大変だこと。そりゃ、あんな冷めた性格になるのも分かるような気がする。でも、これで確信した。やっぱり、あの時のは大我だったんだ・・・



オレが初めて大我の存在を知ったのは小学生3年生の時だ。学校で友達とサッカーをしたから帰りが夕方になってしまった。もうすぐで5時30分になってしまう、昨日も門限破ったばっかりなのにまた母さんに怒られる!ボールを蹴りながら急いで家まで走る。

帰り道を小走りで進んでいく中、剣道道場の横にオレと同い年ぐらいの男の子が小さな子供を3人連れて立っていた。まだ赤ん坊を紐で背中に負ぶい、よく似た2人の子供の手を両手でしっかり繋いでいた。

その男の子はずっと剣道場の方を羨ましそうに眺めていた。そいつはとても疲れたような顔をしていながらも目だけは輝いてた。そんな奴の姿が不思議な感じがして、つい立ち止まって見てしまった。


『ねぇ~たいがにぃ~ぼく、ごはんたべたいなぁ。かえろうよぉ~』


『あぁ、そうだね。ごめんな、帰ろうか。』


ふと我に返ったように、そう言って男の子はゆっくり歩き始めた。子供と楽しそうに歌を歌いながら商店街の方へ向かって歩いて行く姿をオレは珍しそうに眺めていた。


(今時珍しいな。戦時中の子供じゃあるまいし。『たいが』かぁ。面白い奴だなぁ~)


そいつを横目にボールを蹴りながら走って帰る。でも、なんであんな剣道場を見てたんだろう・・・もしかして剣道経験者!だったら、また会ってみたいな。剣道について聞きたいことがたくさんあるんだよな。そんなことを思いながら家へ向かう。案の定、その後母親に遅いと怒られた。

それから4年、クラスの名簿に大我の文字を見てびっくりした。たいがって名前の奴他にはいなかったし、もしかしてこいつがあの時の奴か?クラスに行って見てみると、やっぱりあいつだった。

少し長めで癖のある黒髪にやる気のなさそうで冷たい目。机で寝てることが多く、自ら友達を作る気もないようだ。話しかけれる雰囲気も切っ掛けもないまま3日が経ってしまった。

しかし、クラブ見学の時剣道部に行くか行かないか迷っているとき、大我と誰かが武道館に入って行くのを見た。


(やっぱり剣道経験者だったんだ!)


剣道に興味があったオレにとっては仲間がいる方が心強い。新撰組みたいに同志と強い団体を作り、強くなりたい、稽古したい。それに斉藤一には近藤勇がいないと新撰組に入れない、オレが斉藤一ならあいつは近藤勇だ!向こうからこないならオレから行ってやる!

そして次の日に話しかけた。思った通り見た目や表は少し冷たい奴だが、中身は暖かみのある奴だ。あの時見た戦時中の子ども(大我の事。命名オレ!)はやっぱり大我だったんだ。

これって運命じゃねぇ?たまたま会った大我とたまたま同じ学校で同じ剣道部に入る。こいつになら、オレはついて行いける気がする。


変な終わり方ですみません~

これからもご贔屓に・・・

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