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十九回戦【掃除と風呂】

〈第十九回廃剣インタビュー〉


はい、始まりました! 廃剣インタビュー!

司会はオレ! 斉藤元です!

今回は作者さんの友人さんからの質問をお答えしたいと思います!



では、Let's interview!



大「なんだよ……またこのコーナーかよ……」


椿「これはもう定番でしょ~」


鷹「俺はこのコーナー好きだけどなぁ~」



元「では、質問いくぞ! 『向龍中学校は制服自由なんですか?』だって~」



鷹「自由……かもなぁ~」


大「まぁ、男子の場合はズボンが黒だったら、上はなんでもいいしなぁ~」


元「だなぁ~オレは基本パーカーだし、鷹虎はTシャツだったりするしねぇ~」


椿「校則とかあっても、守らないしねぇ~」


大「いや、それは駄目だろ……」


元「大我は結構普通だよな~」


大「いや……普通にYシャツ着てるだけで、普通なの?」


元「いや! 校則は破る為にあるんだ!」


椿「えっ……そうなの?」


鷹「そうだ、元! 良いこと言うじゃねぇか!」


大「良いことか? 違うだろ……」


元「うわっ!? もうすぐで昼休み終わるじゃん! まだ腹減ってるのに……オレちょっと購買行ってくる!」


鷹「えっ! 俺もまだ食いてぇ!」


大「おい! 俺の分も買っといてくれ!」


椿「あらまぁ~さっきあんなに食べたのに……まぁ良いか~じゃぁ、俺はドロンします~」


=終了=

プチ合宿当日。


俺は緊張からか異様に朝早く目が覚めた。

そのまま、時間より30分前に集合場所に着いてしまった。


「さすがに早すぎたか……」


もちろん集合場所の正門前には誰もいなかった。

門に背中を預けてみんなの到着を待つ。

朝方のこの時間、まだ寒さが身にしみる。鼻までマフラーにうずめて、目を瞑る。


今日から約3日間森羅先輩の家で合宿。

きついんだろうなぁ~

俺、一回森羅先輩の稽古で酸欠なってるからなぁ~


「何寝てるのよ、大我。」


そんなことを考えていたら、横から声が聞こえてきた。

声のする方に視線を向けると、風香が防具を担いで立っていた。


「寝てねぇよ……」


「じゃぁ、何で何回呼んでも反応しないのよ。」


そう言いながら、時計を見ると軽く15分は経っていた。

あれ? 俺マジで寝てた?



それから少しすると、煌希先輩、葵先輩、天地、鷹虎、椿の順に集合した。

後は……


「チビ猿だけだな……」


鷹虎がイラつきながら言った。

只今の時刻は集合時間から3分経った頃だ。

元はいつも集合時間ギリギリに来るが、遅刻してきたことはない。

今日はどうしたのだろう。

煌希先輩も気になったのか、元の家に電話している。どうやら繋がらないようだ。


「先輩……元君何かあったんですかね?」


天地が葵先輩の裾を引っ張りながら心配そうに言った。

確かに、慌て者の元のことだ。途中で事故、なんてことありそうで怖い……


「大丈夫よ。ほら、煌希も電話してるし、元君は丈夫そうだし。大丈夫、大丈夫。」


葵先輩は微笑みながら天地の頭を撫でた。

いや、葵先輩……そう言う問題ではないのでは……



少しして煌希先輩は元と連絡が取れた。

“すぐに行くから、もうちょっと待ってくれ”と言って電話はすぐに切られたらしい。

全く勝手な奴だ。



それから待つこと10分。

元は慌てて走ってやってきた。

鷹虎と煌希先輩が仁王立ちで待つ中、息を切らしながら到着。

到着した元を見て俺たちはギョッとした。


「元、そのほっぺどうしたの?」


椿が元の頬を指差しながら尋ねた。


元の頬は誰かに叩かれたかのように、青紫色に変色して腫れていた。


「いやぁ~母親に叩かれちまって。それで遅くなったんですよぉ~遅れてすみません。」


元は笑いながらそう言って頭を下げた。


「叩かれたって、何したんだよ……」


さっきまで怒っていた鷹虎だが、その頬を見てから落ち着いた。


「何って、昨日さ。ちょっと、親と揉めてさぁ~そのままにして寝たら、今日の朝に俺の部屋の物、ベッド以外全部外に出されててさぁ~」


ベッド以外全部外に出されてるって……すげぇな……

っていうか、その前に物音で起きない元にびっくりだわ。


「っで、それに怒ったら叩かれた。俺も思いっきり殴り返してやろうかと思ったら、クソ親父に止められて、もう一回殴られた。やっぱ、親父の方が痛かったわぁ~」


頬をさすりながら元は笑った。

いや、笑い事じゃないだろ……

まぁ、他人の家族のことに口を出してはいけないが、それはちょっとおかしいんじゃないか?


「っで、荷物を1人で部屋に直してたら遅れました。」


元はもう一回ごめんなさいと頭を下げた。

荷物、1人で直したのか?

ご両親は手伝わないのか……


「そういう理由ならしょうがないな。まぁ、事故とかじゃなくて良かった。じゃぁ、出発するか。元は森羅の家に着いてから手当て受けろよ。」


煌希先輩はため息をつきながら、防具を担いだ。元は“はぁ~い”と元気に返事をして防具を担いで歩き出した。

俺たちも煌希先輩の後を追って歩き出す。

これから、合宿。きついんだろうなぁ~

でも、強くなりたいからな。頑張ろう!





「いやぁ~いらっしゃい! まぁ、上がって上がって!」


学校から少し歩いた住宅街。

そこに大きな日本家屋があった。

そこの表札には『戸隠剣道場』と書いてあった。

つまり、この大きな日本家屋が森羅先輩の家……


煌希先輩がインターホンを押すと森羅先輩が出てきて家に招いてくれた。


「とりあえず、客間に案内するわぁ~その後、動きやすい服に着替えて、道場の掃除頼んだで~」


森羅先輩は長い廊下を歩きながら、説明してくれた。

っていうか……家が広すぎて、どこがどこだか分からないのだか……


「ここが、男子の部屋な。隣は女子。まぁ、少しゆっくりしといて。ほな、元のために救急箱持ってきたるわ。」


一つの部屋に案内されて、中を覗くと広い和室が広がっていた。

12畳の和室に床の間と押し入れ。豪華な感じだ。



とりあえず、自分の荷物を部屋の端っこに置いて座る。

広い部屋だからみんなが荷物を広げても、狭い感じはしない。

少しして森羅先輩が帰ってきた。森羅先輩の後ろには女性が立っていた。


「元、傷見せてみぃ~都が手当てしてくれるらしいわ。」


みやこさんとは、森羅先輩の姉。長女の彼女は大人しく、家族の中で唯一剣道をしていない人らしい。


「元、また怪我したの? ほら、こっち向いて。」


都さんは元の頬を見て、救急箱から消毒液を取り出し、手当てをする。


「いてて……いやぁ~オレだって怪我したくてしてるわけじゃないんだけどなぁ~」


元ははははと笑いながら、怪我の治療を受けていた。

都さんは腫れている元の頬に湿布を貼って小さくため息をついた。


「まったく、昔からうちに来るときはいつも怪我してるじゃないじゃない……気を付けなさい。」


都さんは救急箱をしまって立ち上がった。

元は“はぁ~い”と手を上げて言って笑った。

そしてそのまま、都さんは部屋を出て行った。


「元は森羅先輩の家に良く来るの?」


椿が荷物からジャージを取り出しながら元に聞いた。


確か、元は小学生の頃から森羅先輩と仲良しだったって聞いてる。


「うん、良く来るんだぁ~都ちゃんたちは良い人たちだぜ! 俺よく泊めてくれるし、飯は美味いし~」


元の話によると、元は今朝のように親と喧嘩をすると森羅先輩の家に逃げ込むらしい。


元の話を聞きながら、俺たちは動きやすいよう、ジャージに着替える。


「ほな、道場に移動しよか。早よ掃除してしまおぉ~」


森羅先輩は大きく伸びをして部屋から出て行った。

俺たちも森羅先輩について部屋を出る。


向かった先の道場は、とても広々としていた。


「いつもここで小学生から一般の人まで稽古してるんやで。とりあえず、ほれ。」


森羅先輩に手渡されたのは、雑巾とバケツだった。


「道場の雑巾がけ、よろしゅうに。」


森羅先輩は笑顔でそう言った。

えっ……このだだっ広い道場を全部雑巾がけすんのか!?

鬼だ……





全ての掃除が終わったのは、夕方を過ぎた夜。

道場全ての雑巾がけ、棚の整理、障子の貼り替えまでやった。


「みなさん、お疲れ様。本当にありがとう。晩御飯の時間だから、食卓に集まってね。」


道場でへとへとになって倒れてる俺たちに都さんはそう言った。

腹減った……俺たちは空腹に耐えかねて食卓に向かう。



食卓に着くと広い机に大量のご飯が並べてあった。

男子が道場の掃除をしている間、女子はこの料理を作っていたらしい。


「うひょっ~上手そう! 腹減りMAXなんだよぉ~早く食いてぇ~」


元は今にもかぶりつきそうな勢いだ。

まぁ、俺も今すぐ食っていいと言われたら、いち早く食いつくだろう。


「うちの家族は失礼ながら、先程食べ終わりましたから、ここにあるの全て食べてもいいですよ。」


都さんと森羅先輩のお母さんが大量のおかずを運んでくれた。


「これ、全部食っていいの!? やっほぉ~おばちゃんサンキュー!」


「元君はいつもよう食べるから、たくさん作ったのよ。みなさんもたくさん食べてね。今日は本当にありがとう。さぁ、召し上がれ。」


森羅先輩のお母さんから山盛りご飯を受け取る。

風香たちも皆が席に着いたので、森羅先輩が手を合わせた。


「ほな、合掌。いただきます!?」


「いただきます!?」


森羅先輩の掛け声をきっかけに俺たちは一気に食い始める。

重労働の掃除をして腹がペコペコの俺たちに、この暖かいご飯は有り難い。


「ちょっとみんな……そんな急いで食べたないで、ゆっくり……」


葵先輩の注意も聞こえず、俺たちは食べ続ける。



****



「うめぇ~」


「空きっ腹に染みるぅ~」


男子が凄い勢いで食べていくのを私たちはただ呆然と眺めていた。

女子は部屋の整理と料理だけだったからそんなに重労働ではなかった。

でも、男子は大変そうだった。


「おかわり!?」


大我と鷹虎君と元君の3人が一斉に叫ぶ。

この3人はよく食べるなぁ~

こんなに食べるのになんでこんなに細いんだろう……男子って羨ましい……


「ねぇ、風香。そこのソース取って。」


私がガツガツ食べていく三人を見て呆然としていると椿が私に言ってきた。

椿はお箸で私の前に置いてあるソースを指しながら口をもぐもぐさせていた。


「食べながら喋らないでよ……はい。」


私がソースを手渡すと椿は頷きながら、コロッケにソースをかけた。

でも、あの小食の椿がここまで食べるの初めて見るかも……

元君と鷹虎君は最後のコロッケの取り合いをしている途中に森羅先輩が食べてしまったらしく、そこの3人で喧嘩に……

大我と煌希先輩は地道に着々とおかずを確保しながら、食べ進める。椿は自分のお皿に好きな物を貯め込んでいる。

ご飯の食べ方でこんなに性格が出るんだ……




「ほな、合掌。御馳走様でした。」


森羅先輩の号令で男子が後ろに大の字に倒れた。


「ぷはぁ~食った食った……」


「もう腹一杯。これ以上は食えねぇな……」


元君と鷹虎君は後ろに倒れながらお腹をさすった。

そりゃ、おかわり6杯もしたら満腹にはなるでしょう……


「いやぁ~それにしても、よう食ったなぁ~これやったら明日からが楽しみやな。」


森羅先輩は爪楊枝で歯に挟まった物を取りながら笑った。

明日から?


「明日の何が楽しみ何ですか?」


ゆっくりお茶を啜っている椿を森羅先輩に聞く。

明日からプチ合宿が始まる。それのことかな?


「いやぁ~明日は今食べてる量の半分以下になるんやろうなぁ~って思ったら、面白いなって。」


今食べてる量の半分以下? どういう事?

明日は剣道漬けになるのよね? なんで半分以下になるの?


「それ、どういうことっすか? 増えるならまだしも、減るって……」


大我は身体を起こしながら森羅先輩に質問した。

確かに、普通に考えたら増えるって思うわよね。


「ん~煌希は知ってるやろうけど、俺の道場の練習ってめちゃくちゃきついんよ~せやから、あまりにきつすぎて食欲なんて失せるんよ。よう、うちんとこの門下生がここで飯食ってったら、何人かは吐くで。」


嘘でしょ……

きつすぎてご飯吐くってどれだけなのよ……


「逆に、飯食ってから稽古やっても、稽古中に吐くからあんま変わらんねんけどなぁ~」


森羅先輩は笑いながらそう言った。

なにしても吐くのね……


「へぇ~まぁ、それぐらいきつくないとやる気出ねぇし。むしろ好都合だ。」


「まぁ、シンちゃんのとこがきついのは知ってたし、オレらは吐くぐらいまでやらなきゃ強くなれないっしょ!」


「それくらいしてもらわなきゃ、合宿に来た意味ないしな。強くなるならこれくらいの代償は軽いもんだな。」


鷹虎君、元君、大我はそう言って笑い出した。

何を言いますか……男子って本当に強いな……


「私達、そんなのに耐えられるでしょうか……」


私の隣で月明ちゃんが青ざめた顔で聞いてきた。

私も不安だ。今の学校の練習ですらきついのに……

それ以上なんて耐えられない……


「大丈夫やで、女子にそんなきつい練習はさせへんよ~それに、まだみんなは初心者として扱うからそこまできつい練習はしないし、きつかったらすぐに抜けてもええから。安心せぇ。」


森羅先輩は私の頭をポンポンと叩きながら台所まで歩いていった。

ちょっと安心した。


「そうよ、女子はおじさんにじゃなくて、長男の慧介さんに教えて貰うことになってるから。」


葵先輩はお茶をすすりながらニコッと笑った。

それにしても、森羅先輩のお兄さんか……どんな人なんだろう。


「慧介兄さんは優男やから大丈夫やで。それに、めちゃくちゃ強いし。」


森羅先輩が台所からゼリーを運んで帰ってきた。

って、ゼリー!? まだ食べるの!?

男子は何食わぬ顔でゼリーを受け取り食べていく。

さっきもう食べれないとか言ってたのに……



「森羅兄ちゃん、お風呂空いたので、皆さんでどうぞ。by母さん。」


そう言いながら食卓に入ってきたのは、黒髪を高いところでポニーテールしている女の子だった。

小学生ぐらいの可愛らしい女の子だった。


「ほぉ~い。あぁ、京香きょうか~俺の着替え置いといて~」


森羅先輩が京香と呼んだこの子は、恐らく森羅先輩の妹さんなのだろう。


「えっ、イヤよ。森羅兄ちゃんの部屋汚くてどこに何が置いてるか分からないんだもの。」


京香ちゃんはそう言いながら森羅先輩の後ろに来て、膝で背中を押していた。


「頼むよ京香~兄ちゃんの為だと思って~なぁ。」


森羅先輩は京香ちゃんの腕を持って、頼んでいる。なんか猫みたい……


「えぇ~しょうがないなぁ。部屋のどこに置いてあるの?」


「サンキュー! 京香ええ子やなぁ~」


森羅先輩はそのまま京香ちゃんを抱きかかえて膝の上にのっけてくすぐった。

なんだか、仲の良い兄妹だなぁ~

一人っ子の私には羨ましいな……


「分かったから、さっさとお風呂入ってきてよぉ~」


京香ちゃんはそう言って、部屋から出て行った。

さて、私たちもお風呂に入ろうかな~



****



「ってか、思ったんすけど……なんで森羅先輩だけ関西弁なんすか?」


だだっ広い風呂場で鷹虎がシンちゃんに聞いた。

オレは頭を洗いながらその話を聞く。

椿はタオルで体を洗いながら、風呂に入っている鷹虎と森羅先輩の方を振り返って聞いている。


「ん~俺は小学校の頃一人で関西に武者修行しに行ったんや。その時になんか関西弁が定着してしまってなぁ~」


森羅先輩が広い湯船に浸かり“ぷは~”とため息をつきながらそう言った。

そう言えば、一時期シンちゃんいなかったなぁ~その時オレは頼れるシンちゃんがいなくて大変だった……


「へぇ~武者修行ねぇ~って、武者修行!?」


鷹虎と大我がゆっくり森羅先輩の方を向いて、叫ぶ。

風呂場だから声が良く反響する。五月蝿いよ……

椿はオレの横で大爆笑中。


「そんな侍みたいなことしてたんすか!」


鷹虎はビックリしながらシンちゃんに問う。

オレはシャワーで頭を流し、湯船に入りシンちゃんの横に行く。


「まぁな~親父にある日“お前には根性が足りない!”って言われて、その次の日には大阪の道場に飛ばされたんや。まぁ、おかげでボケとツッコミは学べたけどな~」


シンちゃんは笑いながらタオルを頭に乗せた。学びに行った目的違くないか?


「そんなもの学ぶより、もっと違うこと学べ。根性とか礼儀とか努力とか……」


煌希先輩がため息をつきながら湯船に入っていた。

オレはこんなシンちゃんが好きだけどなぁ~シンちゃんが真面目なんて考えられないし~

やっと洗い終えた椿が湯船に入ってきて、全員が湯船に入った状態になる。

男全員で同じ湯船……なんかむさい……

あっ……


「そうだ、シンちゃん! この隣って女子が入ってるよな!?」


俺は閃いた。

合宿、旅行の醍醐味。それは女子との交流!

隣に葵先輩や風ちゃん、月ちゃんが入浴しているというのに、覗かない訳にはいかんだろう!


「ってか、なんで森羅先輩の家はこんなにでかい風呂が2つもあるんですか?」


大我は覗きに行こうとするオレの腕を引っ張って止めながら質問した。

行かせてくれよ~


「さっき飯の時にもチョロっと言ったけど、俺に家は時々道場の門下生を下宿させたり泊まらせたりすることがあるんよ。やから、男女別に風呂もあるし、客間もたくさんある。」


シンちゃんは大我に説明をしながら湯船から上がり、洗い場まで歩く。


「元、ここからだったら少し覗けるって知っとるか?」


シンちゃんはニヤッと笑いながらオレに手招きした。

さすがシンしゃん。分かってるねぇ~オレは大我の腕を振り切りシンちゃんのところまで行く。


「って、おい! お前ら!」


「何やってんだよ元!?」


煌希先輩と大我が止めに入るが今更止めたって無駄だもんね~

オレたちは欲望に忠実なのだよ。


「まぁ、あれだ。女子も見られて減るものでもないし……うん、問題ない。」


鷹虎もオレとシンちゃんの間に入り、覗く準備をしている。

椿は広い湯船で平泳ぎ中。全く、話に入る気はないみたいだ。


「いや、減るとかそう言う問題じゃないだろ!? さっさと戻れ!」


大我がオレと鷹虎の腕を引っ張るが、オレたちの方が力あるから動く訳ない。

煌希先輩は桶でシンちゃんの頭をガコガコ叩いてる。それは痛いだろ……


「まったく、男のロマンを分かってないなぁ~大我も風ちゃんの裸みたいだろぉ~」


オレが大我に向かって言うと、大我は一気に顔を赤らめて引いた。

あれ? 案外ウブ?


「なななな……何言ってんだよ!?」


あら~

一気に顔赤くなってくし、これはむっつりな感じですなぁ~


「大我もほら~ここの穴から覗けばぁ~風ちゃんの裸がすぐに見れるんだぞ~ほれほれ~」


大我は赤くなった顔を隠しながら、オレから離れた。

後ろで椿が大爆笑してるのがオレから見える。


「そそそ、そんなの! 駄目に決まってんだろ!? さっさと戻れ!?」


大我がオレの頭を桶で思いっきり叩いた。

痛いどころではなかった……頭がへこむかと思った……


「元~それ以上言ってもたぶん無駄だよ。大我はむっつりだし。それに~俺と大我は小さい頃から風香の家族と銭湯とか旅行とか行ってるから、慣れてるよ。ね? 大我。」


「わぁぁぁぁ!? 何言ってんだよ椿!?」


な、何……

銭湯に一緒に行く? 旅行?

そんなに親しい仲だったなんて……


「なにその羨ましい仲は!? じゃぁ、大我なんか堂々と“風呂入ろう”とか言ったらいいじゃん! 羨ましい!」


「ほんまや!? 俺なんかどうやって門下生を覗こうか悩みに悩んでるのに! なんやそれ! 羨ましすぎるやろ! じゃぁ、もうすでに風ちゃんの裸を拝見済みってことな訳やな!」


シンちゃんはそう言いながら大我の肩を叩いた。

大我はシンちゃんの手を払って、顔を腕で隠しながら湯船に戻っていった。


「あれ? 否定しないって事は~そう言うことかなぁ? よっしゃぁ~じゃぁ、オレらが見ても大丈夫だな。」


「もう知らねぇ……」


オレがそう言うと、大我は顔を湯船に浸けた。

あら? もうショートしてる。


そんな時、隣の風呂場から声が聞こえてきた。

おぉ~!? これは女子が入ってきたんじゃないか!?


「おぉ、女子が来たで! まぁ、あれでも葵も女やしなぁ~」


「何言ってるんすか。葵先輩めちゃくちゃスタイル良いじゃないですか!」


「そうだよ、シンちゃん。シンちゃんこそ葵先輩みたいな幼馴染みがいて羨ましいよ!」


オレら三人は見えるポジションに着いて、女子が見えるのを待った。

でも、なかなか視界に入らないなぁ~


「おい、馬鹿三人……それ以上馬鹿なことをしてると、今夜は外にほっぽり出す……今夜は寒いって天気予報で言ってたぞ。どうする?」


穴を覗いていると後ろから、煌希先輩の声と殺気が漂ってきた……

ん……ヤバイかも……


「さてぇ~オレはのぼせてきたから、上がろうかなぁ~」


「俺も喉乾いたから、上がろうっと!」


オレと鷹虎はそのまま脱衣所に出て行くことにした。大我と椿は湯船に入ったまま笑っていた。


「ちょっ! 待ちぃや! 俺を置いてかんといて! ひぃ!」


「ほぉ~森羅は外に出ていたいってぇ? なら、ちょっと表に出ろ。」


脱衣所の扉を閉めた瞬間、シンちゃんの叫び声が聞こえてきた。

その後すぐに大我と椿が急いで出てきた。少し顔を青ざめて……

シンちゃん……ごめん……

はい、十九回戦が終わりましたねぇ~( ~っ~)/


今回は元と森羅の家庭状況が少し分かりましたね~

結局あまり進まなかった……

すみません<(_ _)>


次回は厳しい練習に入ります!

でも、その前に夜のトークがあるやも(笑)


厳しい稽古の後には試合が待っている訳ですよ!


初心者一年は次の試合では活躍出来るのか?

虎博中に一歩でも近づくことが出来るのか?


次回を待て!

廃剣インタビューのネタを募集中です!

何でも良いのでネタ下さい<(_ _)>


では、Have a nice day!

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