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外伝【風香のバレンタイン】

はい、今日はバレンタインですねぇ!(b^ー°)


私は学校でお菓子配り祭りでした♪

おかげで今我が家はお菓子インフレ中です(^O^)ウハウハ



ってことで、こんな感じの書いてみました~



※大我たちが小学校6年のバレンタイン前日の話です。

一年に一度あるイベント。


大晦日より、クリスマスより、何より大切なイベントが今月2月にある。


それが……





「さぁ! バレンタインのチョコレート、作るぞぉ!」


私はエプロン姿でキッチンに立っていた。

明日は女の子には大切なイベント、バレンタインがある。


今年で小学校も卒業だし、気合いが入る。


「美味しいお菓子作って、みんなにあげるんだぁ~」


ルンルン気分で材料の分量を計る。


クラスのみんなとお得意さんの家にあげる。

そして……大我にもあげるんだぁ……


「うぅ~今から緊張が……よし、下拵えは終わったし、調理開始!」


一人で張り切ってると、リビングの扉が開く音がした。


「あら、風香。今から始めるの? まぁ、火の元には気を付けてやるのよ。今年こそ大我君にあげなきゃねぇ~」


お母さんがリビングに入ってきて私の格好を見て、そう言ってきた。


「五月蠅いなぁ……今年こそちゃんと上げるもん……」


そう、私はここ数年大我にチョコをあげれずにいる。

恥ずかしいのももちろんだが、大我は毎年結構違う女子からもチョコを貰っている。

その中に私のチョコこ埋もれるのは、なんだかイヤだった。


「でも、そんなこと言ってらんないもんねぇ~大我君結構モテるから、いつか取られちゃうわよぉ~」


お母さんの言葉を聞いて、テンションが一気に下がった。


確かに……今のクラスの子も大我を狙ってる子がいるって、友達が言ってた……

取られちゃう前になんとかしなきゃ!

だから、今年こそ、あげるんだ!


「もう、お母さんは黙ってて! 今から作るから出てってよぉ~」


お母さんを無理矢理リビングから追い出し、キッチンに戻る。



今年はブラウニーを作ることにした。

なぜブラウニーかと言うと、バレンタインの何週間も前から大我にどことなくお菓子の本なんかを見せて、「どれが美味しそう?」と、さりげなく聞いていたのだ。

その時、大我はボーと見ながらブラウニーを見て「こんなんうまそうじゃねぇ?」と、呟いたのを私は聞き逃さながった。



そんなことを考えながらも、さっさと作業を続ける。

チョコとバターを湯銭し、砂糖と薄力粉、ココアパウダー、ベーキングパウダーを混ぜ、最後に胡桃の砕いたのを混ぜ合わせて型に入れる。


自慢ではないが、私は料理やお菓子づくりが大好きだ。

暇な土日には良く作って、おすそ分けしたりしている。



(そういう時には大我にも渡せるに……バレンタインには……)


私が作ったお菓子なんかを持って行くと、大我も双子ちゃんたちも喜んでくれる。

そんな顔を見るのが楽しくて、また作ってしまう。

もちろん、椿にもあげてるわよ。椿はあまり感想を口には出さないけど、“次はケーキが良いなぁ~”とか言ってくれる。


「よし、後は焼くだけ。一休みぃ~」


ずっと立ちっぱなしだったせいでちょっと疲れた。椅子に座ってのんびりしていると、リビングに良い匂いが広がってきた。

良い具合に焼けてるみたい~



そんな時……


「風香いるかぁ~」


大我の声が外から聞こえて、びっくりした。

恐らく裏口のところ。

私もそうだが、大我や椿も各々の家の裏口は勝手に開けて入る。


「はぁ~い。いるけど、何か用?」


お菓子を作ってるのをバレないように、エプロンを外して裏口に行く。

大我は双子ちゃんと手を繋ながら裏口に立っていた。

双子ちゃんたちの服が汚れてるところから見て、公園にでも行っていたのだろう。

でも、春香ちゃんの姿はなかった。今日は男の子だけで遊んだようだ。


「これ、椿のところからおすそ分け貰ったから、やる。」


大我は少し疲れたように言って、ビニール袋を私に突き出した。


「ありがとう。それより、珍しいわね。春ちゃんは?」


だいたい大我が公園に連れて行く時って、双子ちゃんと春ちゃんと4人で行くのに、今日は双子ちゃんだけ。


「知らねぇ。なんか朝から俺と父さんと双子は外に出された。春香と母さんだけキッチンに籠もってるよ。だから、公園で遊んでたんだ。なっ。」


大我は大きなため息をつきながら、双子ちゃんに同意を求めた。

元気に頷いたところを見ると、双子ちゃんは公園で遊んだのが、楽しかったようだ。


なるほど、春香ちゃんとおばさんはチョコを作ってるんだなぁ~


「まだ、家に入れないみたいだし……この後、どうするかぁ~父さんは店の掃除してるし……」


大我がぼやいているのを、私は笑いながら聞いている。

こののんびりした雰囲気が私は好きだったりする。


「ん!? 兄ちゃん、美味しそうな匂いする!?」


双子ちゃんの片方大我の裾を引っ張りながらそう言った。

えぇっと、夏君の方かな?

夏君の発言に私はドッキリした。ブラウニーの匂いが裏口まで来てしまっているようだ。


「あぁ? 確かに、上手そうな匂い。冬、お前嗅覚良いなぁ~」


冬君だった……見分けつかないよ……

冬君は“キュウカク?”と頭にハテナを飛ばしていた。


「お前、なんか作ってんのか?」


大我が私の家の方を覗きながら聞いてきた。

ヤバい! バレちゃう!?


「えぇ~なにも作ってないよ~ほら、大我の家からじゃない?」


とりあえず、覗き込む大我の頭を押し戻し、言ってみる。


「あぁ? なんで俺の家から上手そうな匂いがするんだよ。俺んちは八百屋だぜ? お前の店でなんか作ってんじゃねぇの?」


今度は大我が頭にハテナを飛ばしていた。

あっ、そうか。大我は店のお惣菜からの匂いだと思ってるんだ……ラッキー!


「あっ、そう言えばぁ~お母さんがなんか作ってたような気がする~」


大我は“上手そうだな”と言いながら、双子ちゃんに話かけた。

なんとか誤魔化せたぁ~


「あっ、そうだ! 兄ちゃん、明日あれだよ!」


夏君が大我の裾を引っ張りながら、話した。

今度は夏君で間違いない。


「あぁ? あれってなんだよ。なんかあったか?」


大我は真剣に考え、双子ちゃんは必死に思い出そうとしている。

マズい! 明日がバレンタインってバレたら……

なんとか誤魔化す方法を考えていたが、双子ちゃんが思い出す方が早かった。


「バレンタインだ!? ほら、チョコくれるやつ!」


夏君が自慢気に言った。

もう、ダメだ……完璧バレた……


「バレンタインだぁ? あぁ、確かそんなんあったなぁ~あの、お菓子代が浮いて助かるイベント。」


……今、なんて?


お菓子代が浮いて助かる?

バレンタインチョコをそんな風に思ってたの?


「もしかして、この甘い匂い、風香のチョコか? なんだ、そうだったのかぁ~俺にはくれるのか?」


大我は笑いかけながら、俯く私にそう言った。

俺にくれるのかって……?


「あげるわけないでしょ!? さっさと帰って!?」


私は自分の感情を我慢出来ずについ叫んでしまった。

叫ばれた大我と双子ちゃんはびっくりして裏口から出て行ってしまった。


もうダメだ……

完璧大我に嫌われた……


そう思うと、自然と涙が出てきた。


リビングから漂ってくるブラウニーの匂いが、とても不愉快に感じた。



****



何だったんだ?

風香の奴いきなりキレやがって。

まだ大事な用事があるのに、びっくりしてつい、出てきてしまった。


「風香ちゃんどうしたんだろね? 兄ちゃんなんかした?」


冬樹が俺と手を繋ながら聞いてきた。

そんなん、俺が聞きたいよ……


「いや……してないと思うけど……」


とりあえず、家に入れないので、店の方に回ってみる。


そこには父さんが一人でせっせと掃除をしていた。

父さんは俺たちが店に帰ってくるのが分かると、ニコッと笑いながら椅子に座った。

双子は店のダンボールで遊び始めた。


「なぁ、父さん。ちょっと聞いても良い?」


「ん? いいぞ。どうした?」


俺は座って休憩している父さんの横に座り、さっきのことを話、聞いてみた。


「ん~それはぁ……」


「俺、なんか悪いことしたかなぁ? あいつ、泣きそうな感じで怒ったから……」


あいつが叫んだ時、風香の顔は今にも泣き出しそうな顔をしていた。


「それは、確かに大我が悪いかもねぇ~」


父さんはうぅ~んと唸りながら呟いた。

えっ? やっぱり俺が悪いの?


「大我はもうちょっと、女の子の気持ちを考えてあげないとなぁ~」


女の子の気持ち?

そんなん、俺に分かるわけがない。


「どういうこと? 俺にも分かるように教えて。」


俺は腕を組んで考える父さんに聞いてみる。

父さんならなにか答えを出してくれるかもしれないから。


「もし、心を込めて上げたものを相手軽率な扱いをしていたら、嫌だろ?」


心を込めて上げたもの……

あまり、日常にそのような場面がないので分からない。

俺が首を捻っていると、父さんはなにか良い案を思い出したかのように手を打った。


「例えば、大我が大切に作った竹刀なんかを椿にあげるとするだろ? 椿の為を思って、椿が喜んでくれたらいいなぁ~って思って作ってあげたのに、椿は単なる竹刀としか見てなくて、所詮試合に出れれば良い道具みたいに扱ったら、大我はどんな気持ちになる?」


大切に作った竹刀。

それを椿に……

椿は竹刀をはっぽっる……


そんな場面を想像した。似合いすぎていて落ち着かない。


「イヤ……かも……」


確かに自分の最高傑作に文句言われたら、嫌だもんな……


「きっと、風香ちゃんもそうだったんじゃないかなぁ? 甘い匂いがしたんだろ? じゃぁ、大我に何かお菓子でも作ってたんじゃないのか?」


風香が俺にお菓子……


「でも、この数年風香から貰った記憶ないんだけど……」


昔は何も言わなくてもくれたのに、小学校4年生ぐらいから貰ってない。

バレンタインの日は何度か話しかけられるが、いつも何でもない用事だった。


「まぁ、大我は母さんと同じで、何もしなくてもモテるからなぁ~風香ちゃんもあげにくいんじゃないかなぁ?」


モテるかどうかは分からないが、俺ってあげにくいのだろうか……


「あぁ~こんなとこで考えててもキリがないし、もう一回あいつんち行ってくる。」


変に中途半端なのはイライラするので、解決しておこう。

椅子から立ち上がり、大きく伸びをする。


「あぁ、行っておいで。夏と冬は父さんが見ておくから。それに、まだ言ってないことがあるんだろ?」


父さんも立ち上がって俺の頭を撫でてくれた。

やっぱり、父さんは頼りになるや。


まだ風香に言わなきゃならない用事もあるし、もう一回行くか。



****



ブラウニーが焼き上がり、切って袋詰めしなきゃいけないのにそんな気分にはなれなかった。

リビングの椅子に体を丸めて座り、じっとしていた。


なんであんなことしちゃったんだろう……

素直に“うん、あげる”って言えば良かったのに……


一人で後悔してると、リビングの扉が開いた。


「何やってんのよ。って言うより、さっき何叫んでたの? 厨房にまで聞こえてきたわよ。」


お母さんがタオルで手を拭きながら入ってきた。

とりあえず、さっきあったことを話してみる。


「あんたも馬鹿ねぇ~大我君がモテるからって大我君にあたってどうするの。あんたも素直じゃないねぇ~素直に好きって言っちゃいなさいよ。」


「そんなこと、言えないよ……」


大我はモテるけど、物凄く鈍感だ。

私の気持ちなんか分からない。

どうせ、告白しても冗談だと思って、流されるのがオチ。


「まぁ、気にすることないんじゃない? 大我君鈍感だし、風香が何に怒ってるか分からないんじゃない?」


あっ、そうか……

鈍感だから私の気持ちなんか分からない。

だから、私が何に怒ってるかすら分からないのか!

確かに、それはあり得る……



そんな時、裏口の扉をノックする音が聞こえた。


「風香~いるかぁ?」


大我の声だった。

私はびっくりして椅子から立ち上がる。

なんで? なんで大我がまた私の家に……


「ほら、行ってきなさい。」


お母さんが私の背中を押してくれた。

ゆっくり廊下を歩き、裏口の前の壁から裏口を見ると大我が扉の外に立っていた。


「おっ、風香。こっちこっち。」


大我は私を見るなりすぐに笑って、手招きをした。

私は少しだけブスッとしながら、大我に近づく。


「何怒ってるか、考えても良くわかんねぇけど……なんか悪かったな。俺余計な事言ったみたいで……」


大我は首の後ろに手を回して言った。

やっぱり分からなかったんだ……


「それと、さっき言い忘れてたんだけど……」


大我は視線そらしながら、少しボソボソと言った。



「あの……中学に入る前にさ……椿と3人で……その、遊園地行かねぇ?」



大我は少し頬を赤く染めて、ポケットから遊園地のチケットを取り出して私に渡した。


えっ? えぇぇぇ!? 遊園地!?

しかも、大我と椿と3人で!?


今まで、家族ぐるみで出掛けることはあったけど、3人だけで行くのは初めてだ。


「このチケットお母さんの友達から貰ったんだって。それにほら、中学入ると忙しくなるしな……行くだろ? 小学校最後の思い出だぞ。」


私がチケットを見て混乱してると、大我が言った。

小学校最後の思い出……


「うん、行く! 絶対行く! あっ、ちょっと待ってて。」


私は急いでキッチンに戻って、ブラウニーを切り、袋に詰めて裏口に戻る。


「はい、ブラウニー。」


私は大我にブラウニーの入った袋を差し出す。

大我は袋と私の顔を交互に見ながら、キョトンとしていた。


「これ、俺にくれるのか?」


大我は信じられないような顔をして私を見た。

私が静かに頷くと、大我は私の手から袋を受け取り、ニコッと笑った。


「サンキュー! お前の作った菓子美味いから好きなんだよなぁ~なぁ、今食っていいか?」


大我はブラウニーを大事そうに持って、ニコニコしていた。

私のお菓子、気に入ってくれてたんだ。

私が頷くと大我は喜びながら、袋を開けてブラウニーを取り出し、一口食べた。

私は大我が食べてる姿を見ていると、嬉しかったと同時にドキドキした。


「んん~うめぇ! すげぇ~こんなの家で出来るんだなぁ~お前すげぇよ!」


大我は褒めながら、パクパクとすぐにブラウニーを平らげてしまった。

喜んでくれて良かった……


「ありがとう。」




これからも、毎年大我のためにお菓子作るよ。

例え、これからなにがあっても、私たちはずっと幼なじみだもん。

私はずっと大我が好きなんだもん。



「なぁ、今から久々に椿の家に遊びに行こうぜ! あいつにも食べさせたいし。行こうぜ!」


とっさに思い付いた大我は、私の手を取った。

久しぶりに繋いだ大我の手は大きくて少しゴツゴツしてて、とても大きかった。


昔良く繋いでいた手とは、もう違うけど、これからも繋いでいきたいね……

はい、駄作すみませんm(_ _)m


なんか、書いてて何がしたいかよく分からなくなりました(-"-;)


またイベントがあったら書いていきたいと思います(`∇´ゞ

しかし、作者の気まぐれなので、書くか分かりません~


リクエストがありましたら、なんなりと!(b^ー°)



では、Have a nice day!



後日談……


結局、2人は椿の家に行ってある程度遊んで帰りました。


風香は大急ぎでお菓子を作り、ギリギリ間に合いました!(b^ー°)


大我はお母さんと春香の作ったチョコを食べました。

美味しいと言うと春香がドンドン食べさせるので、吐きそうになりながらも食べてあげる大我。優しい兄ちゃんです(笑)

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