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十七回戦【熱と終了】

〈第十七回廃剣インタビュー〉


始まりました、廃剣インタビュー。

今回は俺、本編には全く微塵も出てこない椿の兄、外山睡蓮が担当します。

本来は森羅君が担当なんだけど、前回の廃剣インタビューの女子会を覗いていたことがバレてボコボコにされちゃったから、欠席です。(笑)

では、さっそく……



Let's interview!



大「睡蓮さん、久しぶりですねぇ~」


睡「本編では、俺ノータッチだからね(笑)」


椿「だって、出る必要ないじゃん。」


睡「うわぁ~なにこの可愛くない弟……まぁ、それは今は置いといて、さっそくインタビューするよ!」



『大我は兄弟いるけど、椿は兄弟いるの? 仲は良い?』



睡大「………」


椿「存在知られてないじゃん(笑)所詮、兄貴はそれくらいの人間なんだよ~」


睡「さすがにショックだな……一応、2話と9話に出てるんだけど……」


大「まぁ、そうですね~でも、俺も疑問だったんですけど、2人って仲良いの?」


椿睡「………」


大「えっ、何この沈黙……なんとか言ってよ。」


椿「仲良いの?」


睡「知らない。良いって言ったら良いし、悪いって言ったら悪い。」


大「どっちなんすか……」


椿「でも、最近取っ組み合いの喧嘩とかしなくなったなぁ~」


睡「まぁな~昔は椿が俺に突っかかってきて、いつも泣かされてたもんな。」


椿「兄貴の体力に勝てる自信なかったし。だから口で言い合うようになったら、なかなか張り合えるよ。」


大「椿の口喧嘩の強さはここから来てるのか……」


睡「まぁ、結論から言うと、仲が良いってなるのかな?」


椿「えっ? そうなるの?」


睡「じゃぁ、今度遅刻しそうになってもバイクで送ってやらねぇからな。」


椿「めちゃくちゃ仲良いよ! もう信じられないくらい仲良い!」


大「現金な奴……さすが睡蓮さん、椿の動くコツを分かってる。」


睡「じゃぁ、また出てくるかもしれないし、その時はよろしくね! じゃぁ椿、そろそろドロンするとしますか。」


椿「おう!」



大「椿のドロンはここから来てたのか……」


=終了=

俺はテスト前日に、ある重大なことに気が付いた。


「終わらねぇ……」


提出物が終わらない。

このペースでやってたら、英語の問題集が終わらない。

ちなみに、親は二人共町内会の集まりという呑み会に行っているため不在だ。普通テスト前の息子を残して呑み会行くか?


「ヤバいな……答え写せるけど……それしたら点数やばいだろうし……」


まぁ、とやかく言ってる前にやってしまおう。

えぇ~と、これ前に椿に教えてもらったやつだ。came? come? どっちだっけ……シャーペンをクルクル回しながら考えていると、部屋の扉が開いた。

また、双子が邪魔しに来たか? 二人はこれまでに何度、邪魔しに来たことか……


「兄ちゃん……冬が変……」


扉の隙間から顔を覗かせたのは夏樹一人だけだった。冬樹はいない。


「はぁ? 冬樹が変って……なんだよ?」


俺は椅子から立ち上がり扉を開けて夏樹の話を聞く。

すると、夏樹は不安そうな顔で俺の腕を引っ張って部屋を出た。


「おい、夏! どうしたんだよ……兄ちゃん、お前達の遊びに付き合えるほど暇じゃないんだよ!」


引っ張られながら夏に言うが、夏は俺の言葉も聞かず、振り向きもしないで三人の部屋へと歩いていく。俺の提出物が……

部屋に行くと、春香がベッドの横に座っていた。


「兄ちゃん、冬君が変……」


二人して同じようなことを言うなよ。意味分かんないから……

俺はベッドで寝ている冬樹に近づく。


「冬樹? どした?」


俺は冬樹を起こすため体を揺するが、首を軽く振るだけで返答がない。確かに変だ。

俺はベッドに座り、冬樹を抱き上げて自分の膝に座らせる。その時、始めて気が付いた。


「冬樹、お前熱あんじゃねぇか。」


冬樹の額に手を乗せると、普段より何倍も熱かった。冬樹は虚ろな目に涙を溜め、体をぐったりながらうなだれている。


「クソ、もうこの時間じゃ病院開いてねぇし……ちょっと待ってろよ。今、薬用意するから。」


俺は冬樹をベッドに寝かせつけ、一階に降りて薬箱から風邪薬を探す。とりあえず市販の風邪薬と水、そして氷枕と冷えピタを持って部屋に帰る。


部屋では春香があたふたしていた。

夏樹はベッドで寝ている冬樹の手を握りながら、覗き込むように見つめている。そりゃ、双子の片割れがぐったりしてるんだから心配だよな……


「夏、春。ここにいると、風邪移るから兄ちゃんの部屋に行ってろ。知らせてくれてありがとうな。」


夏樹と春香の頭を撫でて、部屋から退場させる。夏樹は最後まで渋ったが、納得したのか出て行った。


冬樹に薬を飲ませ、寝間着に着替えさせて枕を敷いて寝かす。冷えピタめ貼って、と。

体温計で熱を計ると39.1℃。こんなに熱出てるのに、母さんは気が付かなかったのか?


「兄ちゃん……」


体温計を直していると、冬樹が弱々しく俺を呼んだ。


「ん? どした? 何か欲しいものでもあるか?」


俺は冬樹の小さな声を聞くため、顔を近付ける。冬樹は赤い顔をして苦しそうに何かを伝えてる。


「兄ちゃん……ここにいて……」


冬樹は涙目になりながらそう言って、俺のジャージの裾を掴んだ。いつも夏樹といるときはどちらかというと静かな方なのに、こうなると冬樹も甘える事もあるんだな……


「分かった、ずっとここにいるから。ゆっくり寝ろ。」


頭を撫でながらそう言うと冬樹は、安心したように目を閉じた。

冬樹の横に座り、少しの間トントンしてやる。

俺が熱の時、母さんは忙しい中こうやって寝かしつけてくれたっけ……


少しすると冬樹は寝息を立て始めたが、俺の裾は離してくれないようだ。

これは明日のテスト駄目だな……


「夏~春~俺の部屋から机の上の教科書と携帯持ってきてくれ~」


冬樹を起こさぬよう、上のジャージを静かに脱いで部屋の扉から小さな声で言う。

すると、夏と春は顔を出してから少しして、腕いっぱいに教科書を持ってきてくれた。


「ありがとう。夏、冬樹見てて……ちょっと電話してくるから。」


2人にそう言って部屋から出る。携帯で親に電話する。

この携帯は父さんが5年生時にチビ達の面倒を見ている時の連絡手段として、買ってくれたもので、メールと電話しか使えない用になっている。無駄なお金は使わない。

呼び出しコールが長いこと鳴り、出ないのかなと思ったとき、“はぁ~い”と母さんが出た。この声、酔っぱらってる。


「母さん、楽しんでるところ悪いんだけど……冬樹が熱出した。とりあえず報告しとくよ。」


『えっ!? 冬樹が? 今朝はそんなことなかったのに……すぐ帰るわ、パパ! パパ!』


母さんが父さんを探している間に電源を切った。とりあえず、帰ってくるまでの間は冬樹の近くに居てやるか……


「あっ……提出物……こりゃ、無理だな……」


俺は小さなため息を尽き、肩を落とす。携帯をポケットに突っ込み冬樹のもとへと戻る。いつも文句ばっかり言ってる双子だが、こう言うときには俺を頼ってくれてる。なんだか、ちょっと嬉しい。



その後、両親が帰ってきたのは1時間後。この1時間、俺は裾を冬樹に掴まれながら片手で提出物を進めるが捗るわけもなく……

冬樹が起きたら、水を与えて寝かしつけ、また提出物を進める。この繰り返しを1時間やり続け、やっと両親が帰ってきた。


「大我、ごめんね。テスト前なのに、冬樹の調子はどう?」


帰ってきて母さんを俺は冬樹を抱きながら迎えた。

起きた瞬間に寂しくなったのか、しんどいのか分からないが泣き出した。そんな時に両親は帰ってきたため、冬樹を抱いて玄関へと向かった。夏樹と春香は俺の部屋で寝てしまっていたようだ。


「まだ熱が下がらない。でも、さっき晩ご飯を吐いてからはちょっと楽そう。」


冬樹を母さんに渡して俺は小さなため息をついた。勉強もしなきゃ行けないが、やっぱり冬樹が気になっている自分が居る。



とりあえず、自室に戻りドカッと椅子に座り込む。部屋の時計を見上げると9時を回っていた。はぁ~終わるかなぁ……

俺のベッドに倒れてる夏樹と春香を起こさぬように、布団に入れ、部屋の電気を消す。

三人の部屋には冬樹が寝てるし、2人を冬樹と一緒に寝かすわけにはいかない。そうすると、自ずから俺の部屋に寝かせる事になる。俺はこいつらを寝かす為、勉強道具を持ってリビングに移動する。

リビングの机に英語の問題集を広げる。テスト前だ、11時までには寝たい。後2時間で20ページの英語と理科のプリントをしなければ……

理科はなんとかなる。問題は英語だけ……


必死に問題を解いていると、リビングの扉が開いた。扉の方を見てみると父さんが立っていた。


「大我、こんな所にいたのか……」


父さんは扉を閉めながらニッコリ微笑んだ。その笑顔はちょっと疲れた感じがした。


「夏と春が俺の部屋で寝てるから、こっちでやってんだ。冬の様子は?」


俺は少しペンの動きを止め、父さんに尋ねる。父さんは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、俺の向かい側の椅子に座った。


「また上げちゃってな……母さんが今付いてる。明日病院に連れて行くよ。大我、今日はありがとな。テスト前で大変な時に……父さん、駄目だな。自分の子供が熱出してるのも気が付けない……」


父さんはミネラルウォーターを一気に飲み干してから、俺にそう言った。


「いいよ、別に。それに、俺も夏樹が言ってこなかったら気が付かなかったし。父さんが落ち込む事じゃないよ。それより、俺は父さんが二日酔いにならないか心配だよ。」


父さんに対する少し励ましと、自分への皮肉の籠もった言葉を言って、問題に戻る。

今回の冬樹の熱は俺だって、気が付かない。いつも一緒にいる双子の夏樹だからこそ分かるものだ。改めて双子って凄いなぁ……

それに、父さんはいつも俺達の事を考えてくれてるじゃん。


「あぁ、酒弱いって言ってるのに母さんが呑ますから……大我も俺に似たから弱いかもしれないなぁ~苦労するぞ……」


父さんは空になったペットボトルの蓋を開けたり閉めたり遊びながら俺に言った。


「もうすでに、いろんな事を苦労してるからそんなの屁にならないな。」


俺は少し笑いながら言ってやると父さんは、はははと笑った。


「そうかもしれないな。ん? 大我、それスペルaじゃないか?」


父さんは俺の問題集の三問目を指差しながら、指摘した。あっ、本当だ……俺は消しゴムで消し、aに書き換える。

その後、父さんに少しだけ英語を教えてもらった。父さんの教え方は分かり易くて、父さん独特の考え方なんかを教えてもらった。



****



俺も苦労した英語で大我も躓いていた。そこで俺が編み出した必勝法を大我に英語を教えていると、上から母さんが降りてきた。


「あら、二人ともこんな所にいたの。パパ、春香達移動させるから手伝って。」


春香達っと言うことは、冬樹を俺達の部屋に寝かせるのかな?


「分かった。大我、切りが良いところで終わって寝ろよ。」


「うん、あと2ページだから。これ終わったら寝る。」


大我は視線を問題集に向けたままそう言った。

俺は母さんと一緒に二階に上がる。すると、階段の上から夏樹が覗いていた。


「夏、どうしたの? もう寝なきゃ駄目よ……」


母さんが夏樹に目線を合わせて聞いた。


「………冬は?」


夏樹は小さな声で聞いてきた。夏樹は生まれた時からずっと一緒にいるんだもんな。冬樹が心配なんだな。


「大丈夫よ。今は落ち着いてるから。心配になったの?」


母さんが夏樹の頭を撫でてやると、夏樹は下を向いてしまった。


「冬が……冬が死んじゃったら……どうしようぅぅ……」


夏樹はそう言いながら泣き出してしまった。死んじゃったらって、そこまでじゃないから大丈夫だって……


「大丈夫だから、夏はお母さんたちのベッドで寝なさい。」


俺が夏樹を部屋に連れて行こうとしていると、扉が開く音がした。

音がする方向を見ると、冬樹が部屋から顔を出していた。


「夏?」


冬樹はふらふらてしながら夏樹のところまで来て、泣いている夏樹の手を握った。


「夏、なんで泣いてるの? 兄ちゃんに苛められた?」


冬樹は夏樹の顔を覗きながら苦しそうに言った。


双子の夏樹と冬樹は時々物凄くシンクロする時がある。そんな二人に俺達は驚かされる。


「何でも……ない。冬こそ大丈夫なの?」


「うん、大丈夫。」


二人はそんな会話をしてニコッと笑った。

本当に双子って凄い。


「ほら、二人共。早く寝なさい。冬は早くベッドに戻る。夏はお母さんの部屋に行きなさい。」


母さんは二人の頭を撫でながらそう言った。

しかし、二人は同時に首を横に振った。


「母さん、冬と一緒に寝る。」


夏樹は冬樹の手を握りながらそう言った。冬樹も同意の意味で頷いた。


「駄目よ。夏に風邪が移っちゃうでしょ。」


「いつも一緒だからバラバラだと、嫌。なんか寝れないの。」


冬樹は夏樹の言葉に賛同して言った。

って言っても、移っちゃうしなぁ……


「馬鹿か、お前らは。」


夫婦二人で困ってると、下から大我の声が聞こえた。

ふと後ろを振り返ると勉強道具を持った大我が階段を上がって来ていた。やっと問題集が終わったのか、欠伸をしながら俺たちの横を通って二人の前に立つ。


「冬、今お前苦しいんだろ? しんどいんだろ? その思いを夏にもさせたいのかよ。」


大我は冬樹の頭をノートで叩きながら言った。

冬樹は大我の言葉を聞いて、少しうなだれて黙ってしまった。


「夏も、お前は冬樹が心配なんだろ? お前が風邪引いたら冬が心配するんだぞ。そんなん嫌だろ?」


次は夏樹の頭をノートで叩き、小さくため息をついた。


「はい。結果的にお前ら二人はバラバラで寝る。いいな? 分かったら、さっさと部屋に戻る。」


大我は再び二人の頭を軽く叩いて自室に戻っていった。

双子は大我に叩かれた頭を抑えながら少し不満げに部屋に戻った。


「大我、流石に双子の扱いに慣れてるわね。私たち以上に親みたいね。」


母さんは笑いながら冬樹についていった。


全くだ。大我はいつの間にかあんなにしっかりしてしまっている。

ありがたいことだが……大我が甘える姿を最近全く見なくなってしまった。大我に負担になりすぎているんじゃないか……? 我慢がくせになっているんじゃないか?

大我の将来が心配になってきた……


「父さん、夏が駄々こねてるから、春香運ぶの手伝って! お前はいい加減にしろ!」


なにやら抵抗している夏樹を大我は無理矢理持ち上げて俺たちの部屋に運ぶ。

俺はそんな二人を見ながら少し笑ってしまった。

俺の家族はみんな仲良しだな。良い家族になってる気がする。



****



ついに、待ちに待ったチャイムが鳴り響いた。


「終わったぁぁぁ!!」


チャイムの音と同時に元が立ち上がり叫んだ。俺も叫びたい気分だが、さすがに恥ずかしいから叫ばない。


「ほらぁ~斉藤、叫ぶのはいいが、さっさと回収しろぉ~じゃぁ、このまま終礼するから立ち歩くんじゃねぇぞ~」


担任がテストの確認をしている間、俺と元と鷹虎は三人でニヤニヤしていた。忌々しいテストが終わり、今日から部活。にやけ顔が止まらない。


「昨日嬉しすぎて町内二周もランニングしちゃったぜ!」


鷹虎はニヤニヤしながらピースサイン。この約一週間、テスト後は基本死んでたのに、今日はさすがに死んでないみたいだ。


「甘いな、平助。オレなんて昨日だけで玄さんの散歩5回もしちゃったもんね!」


元はえっへんと言いながら両手を腰に当てて自慢。5回はやりすぎだろぉ~


「おらぁ~そこの剣道部トリオ。ちょっと黙りなさい~えぇ~と……明日からふつう授業で、近々球技大会がある。運動委員、頑張れぇ~連絡はこんなもんだな。部活の奴らは部活適当に頑張れぇ~」


先生は“解散”と言って教室から出て行った。うちの担任って緩いよな……

さぁ、忌々しいテストも終わったし部活だ部活! ものすごく久しぶりの部活、楽しみ過ぎる。




「ん、みんな集まったな。約一名を除いては……」


ウキウキ気分で道場へ向かうと、制服姿の煌希先輩と葵先輩が道場の真ん中で座っていた。部活が始まるのかと思ったら、今日はまずミューティングをするらしい。

っで、今一年全員が集まり輪になっている。あと森羅先輩だけ……


「あの馬鹿……何分待たせるつもりだ。葵、森羅の奴なんか言ってたか?」


しびれを切らした煌希先輩が葵先輩に聞いてみる。森羅先輩の遅刻癖もどうにかして欲しいものだ。

待ちくたびれた元は少し離れたところで“見てみて!”と言いながら逆立ちで歩いている。それに対抗して鷹虎は片手で逆立ちをしたり、バク転をしたりと自慢の身体能力を活かした競争をしていた。

この二人はどこまで体力余ってるんだよ……


「特に何も言ってなかったわよ。あっ、でもさっき公衆電話でなんか話してるの見たわよ。」


公衆電話って職員室の前にある電話のことか? 先輩誰に電話してたんだ?


「あいつ、なにやってるんだよ。もういい、あいつ抜きでミューティング始めるぞ。」


煌希先輩がミューティングを始めようとした瞬間、道場の扉が勢いよく開いた。皆一斉に扉へと視線を向けると満面の笑みの森羅先輩が立っていた。


「いやぁ~すまんすまん! ちょっと用事があってなぁ~遅れてしまった。堪忍やで、煌希。」


森羅先輩は靴下を脱ぎながら輪の中に入った。森羅先輩の登場で元と鷹虎も輪に戻ってきた。


「なにが堪忍だ……っで、用事って何だったんだ?」


煌希先輩はイライラしながらも、一応理由を聞くことにしたようだ。森羅先輩はエナメルの中をゴソゴソと探りながら話し始めた。


「それがやなぁ~今度俺の家の道場の大掃除をせなあかんねんな……それの手伝いをみんなにして欲しいねん。」


はぁ? 全く話の流れが読めない……何で俺たちが大掃除の手伝いをしなきゃならないんだ? それになんで、こんな中途半端な時期に大掃除?


「森羅、歯食い縛れよ。」


「はぁ? って、煌希ちょぉ待ってや!」


煌希先輩は拳を堅く握り、森羅先輩の胸ぐらを掴み今にも殴りかかりそうな形相だった。それを必死に拒む森羅先輩。


「待たない、何が手伝って欲しいだ。そんな用件で遅刻してきたのか!?」


煌希先輩は拳を解いて森羅先輩の頬を思いっきり引っ張った。普段ならここで葵先輩が二人の間に入って止めるのだが、今日は止めに入る空気はない。


「だから、ちょっと待ってぇや! まだ話に続きがあるねん! やから、この手離して!」


森羅先輩は必死に煌希先輩に頼み込み、やっと煌希先輩は手を離し少し距離を置いた。


「そりゃ、手伝ってもらうのにただとは言わへんよ。大掃除が終わったら、その後の三連休道場貸し切りにしてええって親父が言ってるねん。つまり、三日間のプチ合宿みたいなもんや。飯も寝床もこっちが前負担。どうや? なかなかお得やろ?」


三日間の合宿、しかもただ! これは凄い……三日間ずっと剣道していられるし、ただで飯が食える……


「それは先に言え、馬鹿森羅。確かに良い条件だ。今度の試合前にやらなきゃいけないことが山ほどある。良い機会かもしれないな……しかし、一応森先生に許可を取らなきゃならない。」


煌希先輩はそう言って少し考え混んだ。まぁ、確かに部活で動いているのだから、顧問の許可を取った方がいいかもしれない。


「それなら私が取っておくわ。仮にも担任だし、明日にでも取っておくわ。それにしても、本当にいいの?」


森先生は葵先輩の担任だったのか……知らなかった。


「あぁ? ええよ別に、俺の家客間めっちゃ余ってるし。でも、その分大掃除頑張ってもらうで!」


森羅先輩はそう言ってニコニコ笑った。

それから、体操と軽く素振りをしてから帰宅した。

はい、十七回戦終わりましたぁ( ~っ~)/



今回もほのぼのでしたね~(笑)

単に夏樹と冬樹の話しが書きたかっただけです(┳◇┳)

大我の家族が書きやすい。


そして、テストが終了!

いやぁ~点数が気になるところですが、それはまた次の機会に\(^ー^)/

意外な点数が出てきますよぉ(笑)



次回は今回の最後にあった大掃除&プチ合宿です(^O^)

合宿編が少し続いて、それから試合と行きたいですねぇ~

あくまで願望(笑)



では、次回を待て!(笑)

廃剣インタビューのネタ募集中ですm(_ _)m



Have a nice day!

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