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十一回戦【(先+次)鋒】

〈第十一回廃剣インタビュー〉

はい、今日は今回地区大会で優勝しました志導大我選手にインタビューしたいと思います♪



では、Let's interview!



?「志導選手、優勝おめでとうございます!」

大「は、はぁ……」

?「あらぁ~まだ実感がないようですねぇ~志導選手は今回地区大会で見事優勝したんですよ!」

大「は、はぁ……そうなんですか……」

?「では、今の心境はどうぞ!」

大「いや、まだなんか信じられないと言うかなんというか……」

?「あぁ、分かりますよ、分かりますよぉ~では、優勝して今、誰に何を言いたいですかぁ?」

大「え、えっと……父親かな? ってか、一つ質問いいっすか?」

?「父親ですかぁ~それはなんとも父親思いのいい息子さんですなぁ~はい、質問なら受け付けますよぉ~」

大「なんであんたは覆面を被ってるんだ? それにその話し方誰かに似てるんだよな……」

?「えっ……なんの話ですかぁ~この覆面はオレの趣味ですよぉ~」

大「そうか? そういえば、今日夜に新撰組の特番やるんだったなぁ~」

?「えっ、まじ! ……ってなる訳ないじゃないですかぁ」

大「…………お前って」



ドカッ!


大「うごっ!」

夏「兄ちゃん朝だよ!」

冬「母さんが呼んでるよ!」

大「はわぁ……あぁ、了解。今から行くから俺の上から降りろ。」

夏冬「ふわぁ~い」

大「…………なんか夢見てたんだけどな……なんだったけ? ま、いっか~」


=終了=


さぁ~インタビューしていた人は誰でしょう(^O^)

答えはWebで(笑)


ウソです、あとがきで~

乾いた空気が漂い、周りの雑音が遠くに聞こえる。

竹刀の叩く音、踏み込む足の音、客の歓声。

そんな音とはオレは違う世界にいるかのように遠くに聞こえた。


孤立したオレの世界、オレと相手だけの世界。

戦前の静けさとはこういうものなのか……

このコートがオレの戦場。

一騎打ちの戦場は大きくもなく、小さくもない。

ちょうど良い大きさの戦場。

さてと、斉藤元も今、刀を抜くとしよう……


「初め!」


審判の掛け声によって戦が始まった。

蹲踞から立ち上がり、肺に空気を一気に吸い込む。

そして、宣戦布告として叫ぶ。

声では絶対に負けない自信がある。



『お前の場合、声は馬鹿でかいから、初めに相手に思いっきり叫んだら相手はビビる。』



大我が言った通り、相手は少しビビった。

オレより少し高いぐらいの細身の奴だったが、相手もオレと同じ、初心者のようだ。

竹刀の握り方がおかしい。それに煌希先輩やシンちゃんみたいな威圧感がない。

シンちゃんと向かい合うと威圧感で押しつぶされそうになる。

じゃぁ、お手並み拝見。試しに面を打ってみようかな~


「メェェェェン!!」


竹刀を振り下ろすと思いの外いい具合に当たった。

しかし、一本にはならずそのまま相手とぶつかり、唾競り合いになった。なんだオレ、案外やるじゃん~

ん…? 待てよ……よく考えたら、オレ唾競り合いからの離れ方知らないじゃん! 引き面も教えて貰ってないし……

どうしよう、シンちゃんのならよく見るけど、見ただけで出来たら天才じゃん!

いや、もしかしたらオレ天才なんじゃ? だって斉藤一だし……ってんな訳ないだろぉ!? いや、オレは出来る! やってやるよぉ! あぁ、もう破れかぶれだ!

頭の中で自分と葛藤した後、シンちゃんの見様見真似で引き面をしてみる。竹刀で受け止められ初めの間合いに戻る。でも、今こいつ……

オレは相手に関して今分かったことがあった。


この相手、目はあまり良くない。オレの竹刀の速さに目がついてきてない。

それに、始めに叫んだ声の影響か、試合が始まってからビクビクしてて、なかなか打ってこない。打ってきたと思ったら全然届かないし、打ちも弱い。なら……


「イヤァァァァァァ!」


思いっきり大声で叫び、相手が少し引き気味になった所を一歩間合いを詰めて速い面を打つ。


一週間前から煌希先輩に教えて貰った速い面打ち。

正直、オレは運動神経の良さには自信があった。特にスピードと跳躍力。スポーツテストの幅跳びも短距離もクラス一位。

それを煌希先輩も森先生も分かっていたらしく、オレにスピードのある面打ちを教えてくれた。今回、オレが満足に打てる技はこれしかない。


速い面打ちは相手の面に見事に当たり、音も鳴った。入ったと思ったが、審判の旗は一本しか上がらなかった。

3人いる審判のうち2人が旗を上げなければ一本にならない。一本にするかしないかは、審判のさじ加減。

それから、相手も動き出した。間合いも図らないままめちゃくちゃに竹刀を振り回す。って、あぶねぇ……今小手に当たりかけた……こいつ適当に振り回してやがるから次が読めない……

全部を避けるか受けるかしてしのいだが、少し当たったり掠ったりした時のドキドキ感がハンパない。

打つのと同時に、相手の竹刀がオレの部位に当たる。自分の体と、相手とぶつかる。

オレも何本か面を当てたが、どれも一本にならなかった。なにが駄目なんだ? ちゃんと当たってるのに……なんかイライラしてきた……次は絶対決めてやる!



そんな時、コートの外からブザーが鳴った。

試合が終了した合図だ。

えっ! もう終わりかよ! これから一本決めてやろうと思ったのに……

渋々中心線まで戻り竹刀を収めてコートの外に出る。

コートの外には次の試合へ向かう椿がフラフラと体を揺らしながら待っていた。こいつ試合前に何フラフラしてんだよ……

椿は“お疲れさん”と言ってオレに向かって拳を突き立てた。

息を切らしながらオレは椿の小手に拳をぶつける。

ここでオレの出番は終わり。コートから出たらこのコートは椿の戦場になる。

その時、オレは今までの緊張が解けて安堵した。静かにコートの外の大我の隣に座り面を外す。今まで曇っていた音が一気に鮮明に聞こえた。


「お疲れ、あれだったら勝てよ。」


「何だよ~勝ってこいよ~」


「お帰り、惜しかったな。」


「先鋒、お疲れさんやぁ。あとはうちらに任しとき!」


面を外し手拭いで汗を拭くと大我、平助、煌希先輩、シンちゃんが笑いかけてくれた。

さっきまでいた遮断された世界から帰ってきたみたいだ。

一人の戦いから帰ってきた。いや、基から一人の戦いなんかじゃ無かったんだ。

一人の戦いはみんなの戦い。

オレは帰ってきたんだ。みんながいる組に。暖かいみんなのいる所に……


「お疲れ様。お前の試合のおかげで皆の士気が上がった。先鋒の役目はしっかり果たしてくれたな。先鋒って言うのは、まだ緊張している皆を先鋒の試合で和らげモチベーションを上げる役目なんだ。斉藤は元気で怒濤の攻撃を繰り出すのが得意だ。そんな斉藤は生まれ持ったの先鋒の素質があるんだ。技術面はまだまだ反省するべき所もある。でも、今日の試合は合格だ。よく頑張った。」


先生がオレの隣に座ってそう笑いかけてくれた。

“生まれ持った先鋒の才能”かぁ……オレそんなの持ってたんだ。

初めての試合でドキドキしてたけど、全力でやって良かった。


オレの戦いは終わった。

次は椿の番。

さぁ、次鋒。粘れよ!



***



竹刀が当たる乾いた音がした。

足が鳴る音がした。

元が叫ぶ声がした。


元がコートで戦っている。


俺は次の試合に備え、立ってアキレスを伸ばしながら元の試合を見る。相手も俺達と同じ、初心者。

元は取られそうになってもお構いなしに突っ込む。マジ猪突猛進……

でも、元は負けない。一本を取れないけど、負けることはない。元気に動いて遊んでるみたいだ。あいつ、元気だなぁ~


当たってるのに入らない状況が続き、やがて試合終了のブザーが鳴った。引き分けか……

初めての試合で引き分けとはやるな~

俺も頑張らなきゃな。

一本取れなくても、負けるわけにはいかない。


納刀をして下がってきた元に小さく“お疲れ様”と言って小手に覆われた拳を突き出す。

元は息を切らしていたが笑いながら拳をぶつけた。なんか青春って感じ~

そんな事を思いながらコートの外線に立つ。

浮かれてらんない。今からは俺の戦いなんだ。

相手を見ると明らか上級生、もしくは経験者だ。本当ツいてない。初心者が良かったよ……

コートの中に入り、蹲踞。


周りの人に聞こえてるんじゃないか?と思うほどに自分の心臓の音がめちゃくちゃでかく感じた。



『外山、お前は出鼻技が得意だ。

でも、無理だと思ったら無理に手を出さなくて良い。大我が先に行ったからって焦らなくていい。粘って粘って、相手が焦りだしたら決めていけ。後はお前の好きにやってみろ。』



試合前、先生に言われた言葉。

確かに、大我が先に行ってちょっと悔しかった。俺はいつの間にか、焦っていたのかもしれない。先生は何気なく見ている様で、よく見てるな。


でも、今からは俺の戦い。

俺にとって初めての試合。

元に遅れをとるわけには行かない。俺だって、大我に追いつきたい。

勉強も、スポーツも何かと大我に勝ってきた。でも、剣道だけは勝てる気がしない。

だから、入るのを躊躇っていた。入ったら、大我に負ける。負けている自分が嫌になる。

でも、面白そうだったからつい入ってしまった。

大我は親友、一番仲が良い。でも、お互い負けたくないライバルでもある。俺達はそんな関係だ。

蹲踞の状態で横目で見てみると大我が俺を見ていた。

見とけよ! 俺の戦いを! 


荒かった心臓を抑えて、静かに合図を待つ。


「初め!」


審判の短い合図を聞いて立ち上がる。

声は出さない。相手に威圧感のみを与える。声を出すと俺は威圧感がなくなるらしい。


「イヤァァァァァァ!?」


相手は立ち上がった瞬間、大きな声と共に面が飛んできた。

うぉ!? いきなりかよ!

竹刀を横にして頭の上に持っていき防ぐ。何が何でも打たせるものか……


「カテェェェェェ!」


瞬間的に引き小手を打たれた。だが、ちゃんと当たっていなかったらしく一本にはならなかった。

危ない危ない……ここで取られたら俺取り返せないよ……

静かに間合いを詰めていく。何度も突っ込んで来る面を交わしながら俺が打てる機会を探る。


『俺達が一本取るのは実際難しい。だったら、相手の勢いを利用して技に乗る。そうすれば素人の俺達にも出来る。』



どんなに頑張っても、俺が自分から一本取りに行くのは無理だ。だから相手の勢いに乗る。これは大我の作戦だ。実質は大我のお父さんの作戦らしいが、まぁ実際に使える技らしい。ずっと、相手の隙を狙うが相手も経験者、そうそう隙を見せる事はない。

待ってるだけも飽きてきたし、一回自分から打ってみようかなぁ~


「イヤァァァァァァ!」


普段出さないぐらいの声が出て自分でもびっくりした。

俺、知らないうちに本気になってたんだ。興奮して、いつもよりでかい声が出たんだ。これならいけるかも。

声を出し終え、小手を打ってみる。先鋒の元は面ばっかり打っていたが、正直面は初心者でも避けれる。なら、小手を出すしかないではないか。

小手を打つが、そんなに上手くは当たらない。

小手に当たらず、竹刀に当たってしまい鍔迫り合いになった。

ん? 俺鍔迫り合いのやり方分からない……

そういえば、さっき元が引き面していてビックリしたんだった……

元に出来るなら俺にも出来るはず。やってみるか。


煌希先輩の見様見真似でやってみるが、なんだか上手くいかない。

再び間合いが切れ、間合いを詰める。徐々に詰め、自分が届く間合いに入る。


その時、相手が少し動き出した。面が来ると思い、出小手を打とうと思った。

相手の手元の小手を打った。

打ったが竹刀に弾かれ、体勢が崩れた。


(やばい!)


そう思った時、もうすでに相手の竹刀が目の前にあった。打たれるっと分かったのに、体が動かない。


「メエェェェェェェェン!」


相手の馬鹿でかい声。

足を踏み込む音。

横を通り抜けた残像。

そして……綺麗に上がった三本の赤旗。


「面あり!」


取られた……?

振り返ると相手は何もなかったかのように開始線に戻っていた。

俺も放心状態のまま開始線に戻る。取られた……? こんな奴に……


「椿! 切り替えろ!」


戦場の外から大我の声が聞こえた。

切り替える、か……

切り替えるどころか、ムカついてきた。

なんで俺がこんな奴なんかに負けなきゃならない。

確かに俺は初心者だ。でも、俺はそんな簡単に負けない。経験者がなんだぁ? 年数が問題なら俺も大我も一生勝てねぇじゃねぇか。

あぁ、なんだかムカついてきた。

見てろよ、あとの約1分粘りに粘ってやる。二本目は絶対にやらせない。

俺はしつこいぜ。


それからの記憶は無い。

でも、俺は必死で取られない様に頑張ったのは覚えている。

そして、試合終了の合図のブザーの音だった。

開始線に戻り蹲踞をしてコートの白線へと下がる。

下がって礼をしたところで大我と目があった。負けてきて、目が合わせにくいよ……


「お疲れ、良く粘ったな。あとは任せろ。」


にこやかな笑顔で拳を突き出してきた。俺にとって突き出してきた拳はとても嬉しくて、暖かかった。

一本、俺が取られたのに……

団体戦って良いなぁ~

仲間がいる暖かさを初めて身にしみた。


向龍中の剣道部に入って良かった。

はい、先鋒と次鋒が終わりました(^O^)


元と椿の試合、なかなか個性的なキャラを書くのに苦労しましたp(´□`q)

キャラが濃すぎた……




=廃剣インタビューの答え=


新撰組というばぁ……

やっぱり!


元「オレっちに決まってんじゃん! もちろん新撰組の番組は録画したぜぇ~」

大「うぜぇ~俺の夢に勝手に出てくんな。」

元「それだけ愛し合ってんだよぉ~たいちゃん~」

大「キモイんだよ! 離れろよ! くっつくな!」

元「たいちゃん、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ~」

大「止めろぉ!!」



次回は試合の続きです~

大我がメインになるでしょう♪なにせ、うちが中堅だからね( ̄∀ ̄)中堅には思い入れがあるんだよぉ(o^∀^o)


そろそろ廃剣インタビューのネタが尽きてきました(-"-;)

なにかリクエストを下さい!

質問、感想は↓まで(笑)




では、Have a nice day!

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