表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
99/107

第99話 ひかりの神聖魔法 ― 光が導く未来

戦場はなおも混沌の只中にあった。

ベヒーモスやSランク冒険者を退けてもなお、圧倒的な数の敵兵と魔物が押し寄せ、こはるやセレナ、サンライズ、そしてグランや魔族たちは最前線で血と汗を流し続けていた。

剣戟と咆哮が交錯し、地は裂け、空は炎と雷で覆われる。

誰もが息をつく間すらなく、戦いは続いていた。


■王城の思索

その頃、リベルノア王国の王城。

ノア国王は険しい面持ちで戦場を見下ろし、低く呟いた。

「……どうすれば、この流れを覆せるのか……」

沈黙を破ったのは、クレア王女だった。

「大丈夫です。……グランたちを信じましょう」

しかし第一王子は唇を噛み、拳を震わせる。

「僕たちは何ができるんだ? 国民は命を懸けて戦っているというのに……」

「兄さん……」と、第二王子が小さく声をかける。

その時、ミシェル女王が立ち上がった。

「では、私たちは今できることをしましょう。――厨房へ行って、兵たちがすぐに口にできる食事を用意します。たとえ小さなことでも、必ず力になるはずです」

その言葉に国王も頷き、王族たちはそれぞれの役割を果たし始めた。


■魔王国の危機

一方、魔王国。

「報告! 数百匹の魔物がこちらへ接近中!」

近衛騎士団の叫びに、団長が鋭く指示を飛ばす。

「すぐに防衛陣を敷け!」

ここには、リベルノア王国やイーストランドから避難してきた人々が身を寄せていた。

不安に震える民は互いに抱き合い、ただ祈るしかなかった。

「これが……戦争……」

ひかりは呟き、胸の奥で強く祈り続けた。

その肩に、大きく温かな手が置かれる。

グランの父リオだった。

「ひかりさん。グランから聞いています。……私たちと一緒にいなさい。親として、あなたを守ります」

そして、隣に立つ母レナが優しく微笑む。

「大丈夫。グランたちが必ず勝つわ。あの子は、私たちの自慢の息子だから」

その言葉に、ひかりの胸の震えは少しだけ和らいだ。

だが――魔物の群れは確実に迫っていた。


■光の奇跡

「神様……どうか……みんなを助けて……!」

必死の祈りが胸を突き破った瞬間、ひかりの身体に強烈な熱と光が走った。

気づけば、彼女は防衛線の最前へと駆け出していた。

近衛騎士団が魔物と激突する戦場の目前。

ひかりの唇が自然に動き、聞いたことのない詠唱を紡ぐ。

――次の瞬間、光が爆ぜた。

眩い輝きが戦場を覆い、数百の魔物が悲鳴を上げる間もなく光に呑まれ、塵と化して消え失せる。

それはまるで神が降臨したかのような光景だった。

「……これが……神聖魔法……?」

近衛騎士団団長の声は震えていた。

ひかりは力を使い果たし、その場に崩れ落ちる。

駆け寄った団長が彼女を抱き上げ、驚愕と敬意を込めて叫ぶ。

「この娘は……失われた古代魔法の使い手だ! 神聖魔法――伝承でしか語られなかった力だ!」

即座に命令が飛ぶ。

「急ぎリベルノアの救護室へ運べ!」


■グランとの邂逅

搬送の途中、救護室へ戻ってきたグランと鉢合わせた。

「どうした? その娘は……」

団長は深く息を吐き、答える。

「信じがたい光景でした。彼女は神聖魔法を行使しました。……まるで神々の奇跡のような輝きでした」

グランは目を見開き、すぐに察する。

「……やはり、そういうことか。急げ! 救護室で看護を!」

仲間にひかりを託し、彼は再び戦場へと舞い戻っていく。

その背には、魔王としての威厳と、人間としての覚悟が宿っていた。

そして空に雷鳴が轟く。

新たな光の到来は、確かに戦況を変え始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ