表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/95

第94話 決意と運命の声

静寂が満ちる作戦室。

集まった仲間たちの視線を一身に受け、グランはゆっくりと語り始めた。

「……俺は夢を見た。二千年前の最後の戦い。セレナとフェンリルを封印したときの夢だ。

そのとき、誰かに囁かれた。――『大丈夫、あなたはこの世界に大きな転機をもたらす運命なのだから』と。

その声は……ひかりに似ていた」

重苦しい沈黙が落ちる。

仲間たちは息を呑み、視線を落とす。

蓮がわずかに声を震わせ、口を開いた。

「ひかりが……やっぱり、運命はそこに繋がっているのか……」

誰もが言葉を失う中、ただ一人、セレナだけが真っ直ぐにグランを見つめていた。

涙をこらえるように唇を噛み、そして問う。

「グラン……本気で、転生魔法を使うつもりなのね?」

グランは静かに目を閉じ、そして迷わず頷いた。

「……ああ」

その答えに、セレナの瞳が潤む。

だが、彼女はふっと微笑んだ。

「やっぱり……グランだね」

そして彼女は、昨日フェンリルと共に訪れた湖畔の遺跡での出来事を語った。

湖が引き、封印の地が姿を現し、あの時と同じ囁きが耳に届いたことを。

「……二千年前も、今も。あなたはずっと、民と仲間のために動いてきた。変わらないんだね」

その言葉に、仲間たちは胸の奥に広がる痛みに耐えながらも、次第にうなずき始める。

こはるは強く拳を握りしめ、ナツは固く唇を結んだ。

ユエは涙を拭い、シスは目を伏せる。

フェンリルは深く頭を垂れ、その決意を受け入れるように沈黙した。

誰一人、納得したわけではなかった。

だが――グランの決意と、それを後押しする“運命の声”を否定できる者もいなかった。


そして――戦争の始まりを告げる二週間前。

世界に新たな命として、“ひかり”が転生を果たしたのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ