表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/107

第103話 グランの覚醒 ― 漆黒龍の逆転劇

グランは深い闇の中で夢を見ていた。

それは二千年前の記憶――。

セレナとフェンリルを自らの手で封印した後、ただ一人、朽ち果てゆく魔王城の玉座に腰を下ろした時。

城壁の外では、人間と魔族が果てしなく戦い続け、血と炎が大地を覆っていた。

勝者などいない。ただ破滅だけが積み重なっていく戦場。

「……なぜ、俺は人間との争いを選んだのか」

胸を押し潰されるような痛み。

力はあったはずなのに、仲間も、民も、未来さえも守れなかった。

玉座に一人取り残された魔王の姿は、敗北者のそれだった。

だが――あの時、彼は誓ったのだ。

「次はもう、後悔はしない。たとえすべてを失おうとも、自分の選択を信じ、貫き通す」と。


■闇の中で

現在。

荒廃した大地には敵も味方も関係なく屍が横たわり、血に染まった風が吹き抜けていた。

グランはよろめきながらも立ち上がり、低く呟く。

「……自分の選択を信じる……!」

その姿に、使い人は薄く笑みを浮かべた。

「まだ立ち上がりますか。この流れだと……まさか“覚醒”でもしましたか? ですが、残念ながら私はまだ本気ではありません」

グランは剣を強く握り締め、吠えるように斬りかかる。

だがその一撃は容易く弾かれ、逆に胸を撃ち抜かれ地へ叩きつけられた。

「所詮はこの程度……」

冷たい声が響き渡り、戦場に絶望の気配が広がっていく。


■ユエの声、そして一通の手紙

「……主!」

駆けつけたユエが、倒れるグランに膝をつき、迷いなく回復魔法と強化を重ねる。

光が彼の体を癒やし、再び目が開かれる。

だが、その瞳には深い影――「自分では勝てない」という絶望が宿っていた。

「……俺では、勝てないのか」

その手に、ユエは一通の手紙を差し出した。

「先ほど、あなたの父上から預かりました。魔王国に避難していた時……声が聞こえたのです。『これを渡せ』と」

封を切る。そこに書かれていたのは、たった一言。

――「頑張れ」

「……それだけ、か……!」

力なく震える声。

だが次の瞬間、脳裏に眩い光が差し込み、複雑怪奇な竜族の古代言語で描かれた魔法陣が刻み込まれた。

耳に響く声。大賢者のものだった。

『一応、こんなトリックを仕掛けておいた。この魔法陣は一度きりの魔法だ。お前が必要になった時に現れる。この手紙が届いた時が、その時だろう……行け!』


■漆黒龍の誕生

グランの体が光に包まれる。

その姿は竜族の本来の姿を超え、伝承でしか語られなかった存在――竜神族へと昇華していく。

漆黒の鱗、世界を覆うほどの翼。

絶対なる龍――漆黒龍がここに誕生した。

「待たせたな……ここからが逆転劇の始まりだ」

その声は地を震わせ、天を揺るがす。

竜神族の力を完全に解放したグランは、静かに使い人を見据えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ