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Katsuki Theory  作者: kanp
7/8

新たな始まり

 次に嘉月が目を覚ましたとき、そこは自宅のベッドの中だった。嘉月は手をグーパーグーパーした。


「私、戻ってこれたんだぁ!」


 嘉月は、ベッドから飛び起きカーテンを開けた。すると眩いばかりの朝日が差し込んできた。


「あ! 今の時間は!」


 嘉月は時計を確認した。今は朝の6時。そして日付も未来に飛ばされる前と一致している。


「良かったぁ!」


 嘉月は喜びながら、外着に着替えようとした。しかし、今来ているの服こそが外着であることに気がついた。


「もしかして昨日、お風呂出た後、間違えて外着着ちゃったのかなぁ……あ! そういえば」


 嘉月はポケットに手を突っ込み、中身を全て外に出した。


 そこには、嘉月のオリジナル武器とお守り、更に未来で貰ったガンサーベルとシールドもあった。それを見た嘉月は興奮した。


「おおお! これがあれば研究は捗るし、あの世界の時代も特定できるじゃあん!」


 嘉月はテンションマックスの状態で、出かける準備をした。元々今日は山奥に調査にでける予定をしていたのだ。しかも、その調査の目的は暗蝕の観測だ。故郷の離島にある暗蝕の成分と類似の成分を検知する薬を開発し、地道にばら撒いていたところ、その山の方で反応があったのだ。前回は時間がなくて行けなかったが今回はゆっくりと調査できる。


 そうして嘉月は荷物をまとめると、ご機嫌で家を出たのだった。




 そして、そのら山には昼前に着いた。嘉月は薬品を撒きながら、反応がある方へと進んでいった。そして、かなり山奥まで入り込んだとき、薬品の反応はどんどん強くなっていった。


「やっとだぁ!」


 嘉月は喜んで小走りでその反応の方へと進んでいった。すると、山奥であるにも関わらず、一人の男性の姿があった。


「え? 誰かいる」


 嘉月は恐る恐る近づいた。すると、男性はこちらへと振り返った。黒を中心にした服装で、黒いコートを身にまとっている。年齢は25歳手前くらいだろうか。そして何より、顔があのハルそっくりだった。


「ん? こんなところに人が来るなんて」


 男は不思議そうにしている。


「え、え、え……えーと、あなたは?」


 ハルとそっくりであることに対し、嘉月はかなり動揺した。そして、とりあえず言葉に詰まりながらも名前を尋ねた。


「俺は、大神春翔(おおみわはると)。職業は教授、専門は化学だ」


「あ……そうなんだぁ」


 嘉月は落ち着きを取り戻した。たまたま顔が似てただけなのかもしれない。変な人と思われないようにするためにも、平常心を取り戻した。


 それよりも、今この人は確かに教授と言った。年齢的には嘉月とほぼ一緒。それを聞いた瞬間、嘉月には負けん気が溢れ出てきた。

 

「君は?」


「私は宮野嘉月! 日本最年少の教授だよぉん」


 嘉月はふふんと笑いながら、相手の様子を伺った。


 そしてその瞬間、春翔は声を上げた。


「ああ! あの宮野嘉月! 確か物理の」


「そうだよぉ」


 すると、春翔は右手を顎に当てながら、こう言った。


「確かに俺は君より教授になるのが少し遅れた。だからといって、技術力が君に劣っているとは限らないわけだ」


「……はぁ?」

 

 嘉月は少しムッとした。言い負かしてやっても良かったのだけれども、そのことよりも気になることがあった。


「それより、その教授がこんなところに何しに来てるのぉ?」


「よくわからない危険な物質があるみたいでね、それを調べにきたんだ。君もそうなのかい?」


「そうだよ〜。でも、貴方よりはその物質についてもっと詳しいけどねぇ」


 それを聞いた春翔は少し考え込んだ。そして、閃いたかのように尋ねてきた。


「そうだ、宮野教授、君はどうやってここにその物質があると突き止めただい?」


 原始的な手法をとっている嘉月は一瞬答えに詰まった。


「それはぁ〜、手当たり次第に薬ばら撒いてぇ……」


 嘉月がそう言うと、春翔は笑い出した。


「ハハハ、それは大変だね。俺だったらボタン一つですぐわかるんだけど」


 そう言って、春翔はポケットから小さな画面のついた円形の機械を取り出した。


「俺が独自に作ったソナーだ。これで、半径5km内のその物資が存在する場所がわかる」


 嘉月はその言葉を聞いた瞬間ハッとした。ハルも確か、自分が独自に開発したソナーを改良したと。それに、ハルが暗蝕や心のエネルギーになぜ詳しかったのか、何故ガンサーベルはあの形をしていたのか……


 少しの間をあけて、嘉月は下を向いてボソッと呟いた。


「……バカ」


「え?」


 上手く聞き取れなかったのか春翔は聞き返した。


 それに対して、嘉月は首を振ると笑顔で答えた。


「ううん、何でもない! じゃあ、一緒に調査しよ」



 

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