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竜子、思い出す

                  プロローグ

「……はこれで七冠獲得。残りの竜王戦を勝てば、八冠となり、タイトル独占です」

「うっ……」

 後方のテレビから流れる声を聞いて、テーブルの席に座っていた女の子は思わず頭を抑える。明るい髪色のサイドテールが揺れる。向かいの席に座っていた男の子が尋ねる。

「竜子、どうしたの? いきなり頭を抑えたりして……大丈夫?」

「大丈夫じゃ、太郎……い、いや、これはどうやら大丈夫ではなさそうじゃのう……」

「……竜王戦とは、将棋界では名人戦と並んで、別格のタイトルで……」

「竜王戦……ううっ」

 竜子と呼ばれた女の子がさらに頭を抑える。太郎と呼ばれた男の子が心配そうに問う。

「ほ、本当に大丈夫? なんだか辛そうだけど……」

「なにか、ズキズキと頭痛が痛いんじゃ……これは一体……?」

「頭痛が痛い……日本語がめちゃくちゃだ。うん、とりあえずは平気そうだね……」

「全然平気ではないわ! このシリアスな場を和ます為に冗談を言っただけじゃ!」

「じょ、冗談って……な、なんだ、結構余裕があるじゃん……」

「なにか……とても大事なことを今の今まで……十歳まで忘れていたような……」

「今度の竜王戦、将棋ファンだけでなく、多くの方からの注目が集まりますね~」

「そうじゃ! それじゃ! 『竜王』じゃ!」

 竜子がガバッと席から勢いよく立ち上がる。太郎が驚きながら三度問う。

「ど、どうかしたの……? テレビのあの将棋のニュースが何か関係あるの?」

「……太郎よ、話せば長くなるんじゃが……ワシは竜王の血を引く者なんじゃ、以上」

「話短っ⁉ ど、どうしたの? アニメの見過ぎだよ……あるいはゲームのやり過ぎ?」

「そういうので片付けるな……ワシはこの家の子ではない。きっと、異世界から送られて来た竜王の忘れ形見なんじゃ。それがパパさんとママさんに預けられたんじゃ……」

「妄想が好きなお年頃なのはよく分かるけれどさ……それはどうなんだろうか?」

「ええい、妄想などではないわ! なんとなくだが漠然と思い出したんじゃ!」

「いや、そういうのは思い出したって言わないよ!」

「とにかく、聞いてみれば分かる! パパさん! ……には聞いても無駄じゃな!」

「ええっ⁉ パパかわいそうじゃない⁉ ママは今お部屋でお仕事中だよ⁉」

「ママさん、仕事中すまん! 実はかくかくしかじか……ワシは竜王の血を引く者か⁉」

「ああ、うん、まあ、そう」

「うん、まあ、そう⁉」

 竜子と太郎はママのあまりにもあっさりとした返答に驚愕させられる。


お読み頂いてありがとうございます。

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