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1話 勇者になってくれませんか!!

アイテム士ラキと、その相棒精霊・マル―は港町プリマスの大通りを進んで行く。

旅人で賑わうその町は、勇者生誕100周年を記念して町全体が旗や色とりどりの花、そして特産品の様々な模様が美しい卵で装飾されている。


「勇者、この町で出会えるといいナ。お前ずっと探しに行きたいって言ってたもんナ」


ヌシシ、とマル―は笑う。


「そうですね。必ずいますよ!僕の勘がそう言っています!」


ラキは自信たっぷりに言う。


「勘ね・・・ま、少なくとも今年は前回の勇者が出てから100年目とされているし、世界のどこかにいるのは間違いないケド」


「勇者に憧れるなら誰もが訪れる町、それがここプリマスですから大丈夫ですよ」


プリマスの中央広場には噴水があり、そこに立つのが通称・勇者の像と呼ばれる100年前の勇者を模した銅像である。多くの人々がこの像を一目見ようと訪れ、様々な願いを込めて噴水に硬貨を投げ入れていくのだ。


大通りを抜けて噴水に辿りついたラキとマル―は、勇者の像を見上げた。円形の噴水の中心で、鎧を着た姿の勇者は剣を空高く持ち上げている。


「なんか想像より小さく感じるゾ」


マル―は訝しげに銅像を見つめた。


「本当ですねー・・・なんかもっとこうドーンとそびえ立っているのかと思いましたが」


ラキも首をひねる。


思い描いたものとちょっと違った銅像を前に、先ほどまでの高揚感が少し落ち着いてきた。


「勇者の横にいる奴はなんダ?」


マル―はスンスンと鼻を鳴らし、勇者の傍らに立つ、2つの角を生やした動物の像を指した。


「それは精霊カピウスです。勇者と共に旅をしたと言われています」


「精霊かーオレ様と一緒だ。もしかしてコイツも喋る精霊だったのかもナ」


精霊自体はそれほど珍しい存在では無い。しかし、マル―のように人語を理解し意思疎通出来る精霊は稀だ。悪目立ちしないよう、マル―も出来るだけラキ以外の人間とは話さないようにしている。


「かもしれないですね。今ではこの町のシンボルとして有名です。ほら、あそこに本物がいますよ」


大型のねずみのような生物が数匹、噴水の縁で寛いでいる。額に2本の角を生やし、赤褐色の被毛に覆われた体は丸くてぽよっとしている。見た目通り穏やかな生き物のようで、どの個体も寝転がったり、日向ぼっこを楽しんでいた。


「その卵はとても美しい模様をしていて、一つと同じものは無いと言われているんです。暗闇で発光するのでランプ代わりに重宝されています」


「ヌッさっきから店の軒先に飾ってある卵ってそれだったのカ」


「とても貴重な物ではありますが、複雑な模様だとさらに宝石並みに高値で取引されます。実はそれも100年前の勇者伝説が影響していて、諸説あるんですが・・・」


「「オイッ」」


荒々しい声がして、ラキは顔を上げる。

歴史オタクぶりを発揮して話に夢中になっていると、いつの間にか数人の男たちに囲まれているではないか。

無骨な男たちは不敵な笑みを浮かべ、手にはそれぞれ斧や剣などを構えている。


「あの端っこの奴、さっき看板のとこでぶつかった奴じゃないカ?」


マル―は自身がただの獣であると装うため、そうっとラキにだけ聞こえるよう呟く。

見るからに物騒なこの連中は、少しでも物珍しいと思ったら余計に絡んでくるだろう。


確かに一人だけ見覚えのある男がいた。青い服の男である。

恐らくずっとラキ達に目を付けていたのだ。


「成程。旅人にちょっかい出して身ぐるみを剥がそうというゴロツキの一味だったんですね」


「ゴロツキ? 失礼だなあ。俺たちはこれから魔王を倒しに行く勇者様御一行だぜ」


一番体の大きな男はそう言って剣をラキの顔に突きつける。


「その背中に背負ってるデカいリュックを置いて行け」


「勇者? 面白くもない冗談ですね。完全に追い剥ぎに見えますが」


ラキは白々しく首を傾げて見せる。


「魔王を倒しに行くには何かと物入りなんだよ。黙って寄越せば何もしねえさ」


男たちはジリジリと距離を詰めてくる。

噴水の周囲にいた群衆は、男たちの雰囲気を見ていつの間にかそろそろとその場から離れていた。

ハーッと大げさにため息をつくとラキはお手上げ、といった具合に両手をひらひらさせた。


「多勢に無勢ですね・・・分かりましたよ、リュックを下ろすのでちょっと待ってください」


これ結構面倒なんですけど、とブツブツ言いながらまず肩にかけていたポーチを外した。

どんなバランスで保たれていたのか、ラキが姿勢を崩すと、ドサドサと色々な物が何処からともなく落ちていく。次にリュックを支えるベルトを胸元、腰と外していき、ようやくバッグを地面に下ろそうとしゃがみ込み、肩紐を外す。


心なしか、ラキの両肩に乗るマル―の四肢にギュッと力が入った。


リュックの底が地面についたその瞬間、


「ヒュッ」


「う うあっ!」


風を切る音と共に、突然どこからともなく矢が飛んでくると、ラキに向けられていた剣が落ちる。大男は矢の刺さった手を抑えて呻いた。


意表をつかれた他のゴロツキ達も、ラキから目を離す。


それを見逃すまいと、ラキはすぐにリュックのサイドポケットから小瓶を2本取り出し、それを大男に投げつける。


小瓶は乾いた音を立てて割れ、中の液体が混ざり合うと大きな爆発音と共にすごい勢いで真っ黒な煙を噴出し、それは瞬く間に噴水全体を包み込む。


「ギャアアッ ゲホッ ゲホッ」


「な、なんだっ! 何にも見えねえぞっ」


ゴロツキ達は驚いてせき込みながら叫び声をあげ出した。


いつの間にかリュックを背負い直し、両手に先ほど落としたアイテムを抱えるとラキは身を低くしてその場を足早に離れる。


「マル―、退散しましょうっ」


地面に降りたマル―は、馴れた様子で拾い損ねた物を口にくわえてラキを追うように走り抜けていった。


ものすごい音と煙に気づき、噴水周辺には野次馬が集まってくる。


その人だかりの中で、ラキは一人だけ身をひるがえしラキ達と同じようにその場を立ち去ろうとする人物を見つけた。慌てて方向転換してその人物を追う。


銀髪をなびかせたその人物は、背中に弓を背負っていた。

急がないと路地をちょうど曲がって姿が見えなくなりそうだ。


「あのっちょっと・・・」


広場から離れた細い路地。ほんの数メートルのところまで追いついたが、息が上がって声が出ない。

見かねたマル―が速度を上げると銀髪の人物の膝に飛びついた。


「うわっ!?」


ガクッと膝から崩れ、驚いたその人は振り返り、ラキ達に気づいた。


「す、すいません・・・さっきは有難うございました。矢を撃ってくれた方ですよね?」


ゼ―ゼ―と大きく肩で息をつきながら、ラキはなんとか礼を述べる。


「あははっ。まあ、君には手助けなんて必要なかったみたいだけどね」


青年は広場の方を指す。ここからでも黒い煙が立ち上るのが見えた。


「凄かったよ、最初からアレをやるつもりだったんだろう?」


琥珀色の瞳を細め、愉快そうに微笑んだ。


「いえ、まあ・・・煙と音が出るだけの代物です。アイテム士なので色々持ち歩いているだけで・・・あなたの矢のおかげで隙をつくことが出来ました」


ラキは少し照れ臭そうに頭をかき、改めて銀髪の青年を見つめる。


とても端正な顔立ちに、柔らかい物腰。そして街中であれだけ的確に的を射る高いスキル・・・。


何よりもその姿を見た時から、ラキは何かピンとくるものを感じていた。


(これは、間違いありません・・・僕の勘がそう言っています!!)


先ほどまで力尽きそうになっていたのは嘘だったかのように、シャキッと立ち上がり、青年の手を勢いよく両手で握る。


青年がその変わりようにきょとんとしていると、ラキはまるで愛の告白でもするかのように、緊張した面持ちで息を整え、グッと手に力を籠める。


「あのっ突然ですが勇者になって魔王を倒す気はありませんかっ!?」


一瞬の静寂。


「ええ・・・?」


銀色の青年は困惑した表情で、妙にキラキラした顔をするラキとマル―を交互に見つめた。






「やっぱりダメですか・・・」


先程とは打って変わり、ラキはこれでもかと言うくらい椅子に沈み込んでしょんぼりし、その肩にいるマル―も、まるでただのマフラーかと言うほどにぐでっと力なく巻き付いている。


一先ず落ち着こう、と入った酒場は程よく旅人で賑わっていた。ここまで来れば、誰もラキ達が噴水広場での出来事に関与しているとは思わないだろう。

マル―はここでも、取りあえずただのペットのふりをしようと決め込んだようで、銀髪の青年へ説得を続けたラキを黙って見守っていた。


「王道勇者パーティを結成して、その旅路を書き残して後世に残す・・・僕も伝記や考古学が大好きだから、君の夢はとても理解できるよ」


シャルルと名乗った銀髪の青年は、申し訳なさそうに微笑んだ。


「そもそも、王道を行くなら勇者は剣士だろ? 見ての通り、僕のジョブは弓使いだし・・・」


「うっ」


「定説では勇者は16歳で旅に出るけど、僕もう19なんだよね・・・」


「ううっ・・」


「次の目的地も被ってないしなあ。僕はこのノモス大陸に用があるけど、君は海を渡ったザラマンデル大陸。せめて途中まででも一緒に行ければ良かったんだけど」


「ですよね・・・」 


正論過ぎて、何も言えない。ラキは大きなため息をついた。


(こりゃダメそうだ)


マル―も諦め顔で二人を見つめている。


「ザラマンデル大陸はもしかして砂漠の港町シルクに行くため?」


「はい。100年前の勇者の軌跡を辿りたくて」


「ヒロインとも言われている白魔導士に出会った町って説があるし、世界最大とも名高いナイトマーケットもアイテム士の君にとっては外せないね」


ラキ達が今居る勇者の町・プリマスはノモス大陸の中央地方にある。100年前の勇者はここで誕生し、船で海を渡った先にあるザラマンデル大陸の港町シルクで最初の仲間となる白魔導士に出会ったとされていた。

港町シルクは、今も昔も貿易が盛んに行われてきた砂漠のオアシスを中心とする町で、夜になると盛大なマーケットが開催される。そこで取引されるものは多岐に渡り、対価さえ払えばなんでも揃う、と言われるほどだ。


「それに、君の旅は勇者に出会えないと始まらない訳だから、そりゃ焦って僕にですら声かけちゃうよね」


シャルルは懇願してきたラキの様子を思い出したのか、くすくすと笑う。


「勿論そうです・・・でもシャルルさんに声を掛けたのは直感の方が大きいですね」


「直感?」


「あの人混みの中でも、何故かとても気になって」


ふーん、とシャルルは考え込む。


「僕らは本当に気が合うね。実は矢を放つもっと前から、君を噴水のところで見かけていたんだ。何故かとても気になってね。もっと早く助けたかったんだけど、矢を撃つには人が多すぎて一旦離れたんだ」


近距離戦は苦手だし、と付け加えてジョッキの飲み物を口に含む。


「本当ですか?」


「うん。カピウスについて、君は恐らくメグ・ダリアスの説を誰かに話そうとしていただろう?」


さすがに肩に乗せたフェレットと喋っているとは思わなかったらしい。


「そうです!カピウスが勇者と共に旅していたという話は、勇者の像を建てる際に、当時のプリマス市長が町の特産品を作るために後から物語に加えられたっていう・・・」


つい熱が入り、ラキは饒舌になる。大概の人がこの熱量にやられて引き気味になってしまうのだが、シャルルは引くどころか、それに触発されたようにうんうんと深く頷いている。


「そのお陰でカピウスの卵は今やプリマスの発展には欠かせない高値が付けられている。あまり注目されていない歴史家だけど、僕はダリアスの研究がすごく好きでね」


「僕もですっ特に謎の多い少数民族、タルア族の話なんかはとても説得力があって大好きなんです」


「通称・猫耳族とも言われている民族だよね。あれは本当に興味深い」


(こいつらどっちも似た者同士の歴史オタクだナ・・・長くなりそうダ)


二人がさらに熱く話し込んでいる中、マル―は興味を無くしたように大きなあくびをして荷物の上で丸くなろうとした。

その時、ふと視線を感じた気がして閉じかけた目を開けてみたが、特に怪しい姿は見当たらない。酒場の店員が忙しく動き回り、客は思い思いに過ごしているだけだった。


(ヌ・・・気のせいカ)


マル―はそのまま、今度こそ眠りについた。



二人が語り尽くした頃にはすでに日は暮れ、窓からは燃えるような夕日が見えていた。


ラキはこの酒場に宿場も付いていると知り、そのままここに泊まることにした。シャルルは既に2日前から拠点にしている宿があると言う。


「じゃあ僕はこれで。早朝にはプリマスの北にある遺跡に行くから、ここでお別れだね」


残念だけど、とシャルルは手を差し出した。

ラキはその手を握り、二人はしっかりと握手を交わす。


「有難うございます。残念ですが、お会いできて良かった」


「僕も・・・そうだ、これを君にあげるよ」


シャルルは腰のベルトについた革袋を一つ取り、ラキに手渡した。

不思議に思いラキがそれを空けて見ると、中にはほんのり発光しているように見える粉末が入っている。確かめるように少し指で触れ、ラキはハッとした。


「これってもしかしてカピウスの・・?」


「そう、卵を粉末にしたやつ。僕は一応トレジャーハンターなんだけど、この間お宝の対価にオマケで貰ったんだ。まあ卵ほどの価値は無いけど、アイテムの素材には良いって聞いたよ」


「すごいっ実はプリマスに来るならぜひ手に入れたいと思っていたんですよ、色々作れるので。い、いいんですか?」


そう聞きながら、手はそれを受取ろうと伸ばしているし、頭の中は既にこの粉末で作れるアイテムの妄想でいっぱいなのである。


「素材だけ貰っても僕は作れないからね。アイテム士の君の方が有効活用出来るだろうし、僕らの出会いへの餞別だと思って受け取ってくれ」


シャルルはその琥珀色の瞳を細め、にっこりと微笑む。

二人は店の外まで出た。


「ラキ、いつかまた何処かで会おう」


そう言うと、くるりと背を向けてシャルルは店を去っていく。


「はいっいつか必ず!」


ラキはその背中に声をかけ、見送った。


ほうっとため息をつきながら、ラキは席に戻った。

荷物を見守っていたマル―がうーんと伸びをする。


「残念だったナ」


「ですね・・・でも、旅を始めて良かったと思える出会いでしたね」


ゆっくりと椅子に座り、ラキは満足げにそう呟いた。


「そりゃ良かったな。オレ様は腹が減ったゾ」


「はっもうそんな時間でしたか」


店員からメニューをもらうと、それをテーブルに広げてマル―と眺める。

おススメは肉厚ホワイトソーセージらしい。一人と一匹であーでもないこーでもない、と相談しているとふとテーブルに影が落ちる。


何だろうと彼らが顔をあげると、深くフードを被った人物がテーブル横に立っていた。ローブで体も覆い尽くされ、殆どその姿が隠れている。


(コイツ、こんなに近くまで来たのに殆ど足音がしなかったゾ)


嗅覚や聴覚は、動物のそれと同じように人間以上に優れているはずなのに、とマル―は何も気づけなかった事に首を傾げる。


「あんた、剣士を探しているんだろ?」


突然そう声を掛けられ、ラキは警戒するように身を固めた。しかしフードの男はそんなことは気にも止めていないようだった。


「ええと、とりあえず・・・あなたの名は?」


そう尋ねられると、男はフードを脱ぐ。そこにはラキとそう歳の変わらなそうな少年がいた。

深い藍色の髪に、幅の広いヘアバンドをしている。しかし何より特徴的なのは、その瞳だ。

右目は透き通るような空色で、左目は金色である。


「アルファンだ」


オッドアイの少年、アルファンは続ける。


「あんたの旅に、力を貸そう・・・代わりにザラマンデルへ渡る船・・・費用を負担して欲しい」


マル―は呆れた顔をする。


(ヌウ―ン・・・お人よしのラキでもさすがにこれは乗らないだロ)


しかしどうも、ラキの様子がおかしい。妙にそわそわとアルファンを観察しているのだ。

そして何やらブツブツと独り言を言っている。


「ローブの裾から尖る剣のシルエット・・・整った顔立ち・・・ミステリアスな雰囲気にオッドアイ・・・」


(オイ、まさか・・・)


マル―は嫌な予感がした。そしてことラキに関するそれはよく当たる。なんせ彼とはずいぶん長く一緒にいるのだから。


「何よりも僕の勘がそうだと言っています!!」


突然声をあげると、アルファンの手を両手で掴む。


「分かりました!ぜひ勇者として僕と旅をしてくださいっ」


ラキは鼻息荒くそう言い放った。


(予感的中しちまっタ―ッ!!)


マル―は慌ててぐりんとラキの首を出来るだけ横に捻り、アルファンから引きはがす。ぐえっと何か苦しそうな声がしたがそんなのは気にしていられない。


「ヌオイッいくら何でも誘うの早すぎダッ!コイツ初対面のくせにオレ様達に船の費用払わせようとしてんだゾッ」


出来るだけ小声で、アルファンから隠れるようにしながらも、マル―は怒りを抑えられない。

しかしラキは何故か自信満々である。


「いやいや、今度こそ大丈夫ですっ!只者じゃない感、ビシビシ出てるじゃないですかっ」


「どこかだよっ!どっちかって言うと怪しさ満載だゾッ今どき子供だって騙されないだロッ」


何やら一人と一匹でキーキー言い合っていると、アルファンはふう、とため息をつく。


「・・・やっぱりその肩にいる奴、喋れるのか。全部聞こえている」


ラキとマル―はどきっとしてアルファンの方を振り向いた。


「あんたの旅、ついて行くよ。費用は半分出してくれればいい。別に俺は追い剥ぎじゃない」


「本当ですかっ!?有難うございます。僕は・・・」


名乗ろうとすると、遮られた。


「アイテム士のラキ、それにその獣はマル―だろ? よろしくどうも」


「なっ!? なんで知って・・・」


「港町シルクへの船は明日の午後出る。また明日、船の前で」


そう言うと、アルファンは宿場へ続く階段を上がっていく。

テーブルに残されたラキ達は、茫然とアルファンを見送るしかなかった。


「・・・アイツ、なんであんな知ってるんダ」


「すっすごいっっまさしく勇者の才が現れていますね!!」


不安げなマル―とは対照的に、ラキは勇者になってくれる人物を見つけたことに、すっかり浮かれているのである。


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