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バトルド・コロッセウム決勝戦だよ

 ガルディアが私に向かって、全身鎧(フルプレート)を着ているとは思えない素早さで突進してくる。

 

 これはあまり近くに寄られる前に止めた方が良さそうかも。


「ピンキーちゃん、よろしく」


〔ピギィ!〕


 ピンキーウィップと化したピンキーちゃんが私の服の袖から素早くツルを伸ばす。しかし、


「はぁっ!」


 ザシュッ。ツルはいとも容易く斬られてしまった。

 

「ピンキーちゃん、本数を増やそう」


「ピギィっ!」


 シュルシュルと、何本ものツルを上下左右からガルディアへと仕向けた。

 

「く……っ!」


 ガルディアは苦しそうに息をもらしながらも、ザシュザシュザシュと次から次へとツルを斬り伏せていく。しかし、あまりの数の多さにその足は止まった。その隙を私は逃さない。マナを込めた種を蒔く。


「──ラストっ!」


 ザシュッ! と勢いよく剣を振るい、ガルディアは襲い掛かるすべてのツルを真っ二つにした。

 

「ラナテュール選手殿、どうやらツルはもう打ち止めのようだな。どうする、降参するか?」


「いや? 勝負は最後まで分からないよ」


「そうか……それでは、参るっ!」


 再び地面を蹴って距離を詰めようとするガルディア。しかし、


「っ⁉」


 ズシャアッ! と、その身体は前のめりに転がった。


「なっ、なんだ……! 足になにかが絡みついて、動けない……っ?」


「それはね、【デザートポプラ】っていう木の根っこだよ」


「木の根っこ……っ⁉ そんな、いつの間に……!」


「君が私のツルに応戦して足を止めてる間に種を蒔いてね、地面の中で素早く成長させて君の足元まで伸ばし、それからこうクルクル~っと」


「あ、あの時にか……っ!」


 茶色いその根っこは、次第にガルディアの身体、そして腕までをグルグルと巻いていく。


「これでもう身動きは取れないよね?」


「……っ! ああ、降参だ……っ」


 ガルディアが悔しそうに剣を落とし、そしてそれとともに観客席が沸き上がる。


「──決着だぁー--っ! ガルディア選手が降参を宣言! その結果、優勝は……ラナテュール選手ー--っ!」


 割れんばかりの拍手と喝采に包まれる会場。こういうのっていままでになかったなぁ。

 

「──それでは優勝者のラナテュール選手へと賞金と記念メダルの授与を行います」


 私がガルディアを木の根っこから解放し、そして会場に主催者たちが降りてくると、すぐに授与式が行われた。


「優勝おめでとう」


 主催者から賞金の入った紙袋を受け取り、首にメダルをかけてもらう。


「それでは優勝者からひと言をもらおうか。これは音響拡大魔術の込められた道具だ。これに向かって話してくれ」


「どうも」

 

 私は手渡されたその道具を口元まで持ってくる。そして観客に向かって言うべきことはひとつ。


「──美味しい美味しい野菜や~果物は~いかがでしょうか~」


 直後、会場がシンと静まり返った。まあ、私は気にしない。

 

「──エルフのノウハウを使って育てた野菜と果物はどれも一級品~食べればたちまち身体は強く~治る病気だってあるくらい~栄養満点なものばかり~なにを隠そうこの私も~それらを食べたおかげで~こんなに強く育ちました~」


 ちょっとだけ誇大広告。でもこれくらいが話題性としてはちょうどいいだろう。


 こちらの狙い通り、ざわっと会場がどよめいた。

 

「マジか、強くなれるの?」


「俺知ってるよ、エルフの里の野菜とか果物って大陸じゃかなりの高級品らしい」


「この町で売ってるのか? どこで?」

 

 よしよし、食いついてきたみたいだ。もうあと一押しだね。


「──ただいまから~数量限定で~エルフ仕込みの野菜と果物の販売を~この会場の外で行います~ぜひお買い求めください~目印は私~ラナテュールです~」


 ふう。言えた言えた。やりたいことが全部できた。なんせ大勢の人の前で村の野菜と果物をアピールしたいがためにこのバトルド・コロッセウムに出たのだから。


「あ、この道具ありがとうね」


「え、あ? はい……」


 キョトンとした目の主催者に道具を返すと、私はトテトテと小走りに会場を後にした。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


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