短編小説 東京悪夢物語「青い髪」
東京悪夢物語「青い髪」
若々しい髪、
潤いのある髪、
黒く艶やかな緑髪、
美しい、
私の自慢だ。
子供の頃から、髪の手入れは欠かしたことはない。
シャンプー、トリートメント、ブラッシング、オイル、
髪に良いことはすべてやる。
完璧な髪、
誰もが振り返る髪…
会社、
「亜利沙先輩の髪って、いつも綺麗ですね」
「そう」
「本当に綺麗ですよ」
「こう、触りたくなってしまいますよ」
「そんなに褒めないでよ、くすぐったい」
「本当ですよ、」
「男子社員が噂してますよ」
「亜利沙先輩の髪は最高だって」
「ええっ、そう」
髪を褒められることは慣れている。
私の髪をけなす人はいない。
絶対に、
ある日、
「あれ、亜利沙先輩」
「メッシュ入れたんですか?」
「何、」
「ほら、ここ」
鏡で見せる後輩、
「ここ、一房、青いですよね」
「ええっ、」
慌てて見てみる。
後ろ髪に一房だけ青い髪の毛がある。
どうしたんだ、
「先輩、自然に生えてきたんですか?」
「い、いや、メッシュよ、美容室で勧められて、」
「凄ーい、カッコいいですよ、今風で」
「そう、よかった…」
夜、自宅の洗面台、
合わせ鏡で見てみる。
やっぱり、一房だけ青い髪の毛がある。
「不思議だわ、自然に青い髪の毛が生えることってあるのかしら?」
ネットで調べてみる。
無い、まったく無い。
そんな情報は見当たらない。
不思議だ…
じっと見る。
翌日、朝、
ああっ、
青い髪の毛が増えている。
一房だった青い髪の毛が三房になっている。
そんなことが!
会社、
「亜利沙先輩、カッコイイですよ、いけてます!」
「そう、」(汗)
私は茶髪が嫌いだ、ましてや青い髪の毛なんて大っ嫌いだ。よりによって私が、こんな姿に、
夕方、
皮膚科に行ってみる。
「色素異常ですね」
「えっ」
「普通、皮膚が異常を引き起こし髪の毛が変色する事はありますが、青い髪の毛とは、珍しい。初めて見ました」
「治療の方法はないんですか?」
「ストレスを減らすことですかね…」
翌日、
もっと増えていた。
青い髪の毛が全体の五分の一ぐらいになっていた。
「どうしよう…」
美容室に行く。
「本日は、どのようになさいますか?」
「この青い毛を黒く染めて下さい、他の髪は絶対に染めないで」
「えーっ、もったいない」
「カッコイイですよ、似合ってますよ」
ギロ、
怖い眼で睨む亜利沙。
あせる美容師、
「はい、解りました」
……
……
「どうでしょう?」
鏡で見る。
戻った、元の綺麗な黒髪に戻った。
やっぱり、私の髪は美しい。
翌日、朝、
ギャー
半分以上の髪の毛が青い。
「どうしてなの、何で私が、どういう事なの、」
洗面台に座り込む亜利沙。
……
凄い剣幕で美容室に入って行く亜利沙。
バン、
「どういうことなの?」
「昨日、染めたのに、もう落ちたわよ、どうしてくれるの!」
「えっ、」
唖然とする美容師。
「す、すいません、確かに黒く染めましたのに…」
「もう一度…早く、もう一度染めなさい!」
「…はい、」
……
……
「どうでしょう、」
黒い髪の毛の亜利沙が椅子に座っている。
元の髪の毛に戻った。
やっと、戻った。私の黒髪、
美しい、
「ああっ!」
みるみる、青く色が変わる髪の毛、
ギャー、
「見ないで、」
髪の毛を手で隠し、逃げて行く亜利沙。
「お客様!」
自宅、
「はあ、はあ、はあ、」
鏡に映る青い髪の毛の亜利沙。
「どうしちゃったのよ、」
バン、
ブラシを鏡に投げつける。
眉毛、まつ毛までも青い。
「私の髪の毛がーーー」
キャバクラ北欧、
「アリーサさん、ご指名〜」
全髪青い髪の毛の女性がやって来る。
「ハーイ、ゴ指名アリガトウ〜」
眉毛、まつ毛も青い女性。
そして、瞳も青い。
「相変わらず綺麗な髪の毛だね〜アリーサちゃん、」
「アリガトウ」
「本当、吸い寄せられるよ〜綺麗だ〜」
「フフフ、」
「どこの美容室でやっているの?」
「ヒ、ミ、ツ…」




