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グリーンスクール - 初恋  作者: 辻澤 あきら
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初恋-最終話

 朝早くから2年E組の教室の前で待っていたミキは、北斗が来るのを見つけると姿勢を正して笑顔を向けた。北斗はミキを見つけると戸惑うような様子で近づいてきた。そして、ミキに向かって、おはよう、と挨拶してきた。ミキは驚きながら、おはようと挨拶を返した。照れ臭そうに、北斗は、話し出した。

「昨日は、ありがとう。おれ、男なのに、逃げ出しちゃって、恥ずかしくて、礼も言えなかった。ごめんな」

いきなりのことでミキはどぎまぎしてしまった。

「んん、いいの。あたし、無我夢中で飛び込んじゃったから」

「ん、ありがとう。おかげで助かったよ。……グループを抜けたいって言ったら、リンチに掛けられて……、こんなことどうでもいいよな。なに話してるんだろ、おれ」

「あの……、これ」

ミキはゆっくりと傘を差し出した。

「これ、ありがとう。覚えてる?」

「これ…おれの傘、だけど…」

「貸してくれたでしょ、半年前、里ノ前のバス停で」

「……あ、あぁ、君、あの時の女の子?」

「ずっと返そうと思って探してたの」

「同じ学校だったの?」

「んん。違うけど、ずっと返したいと思ってたの。ありがとう」

「あぁ、んー、いや…別に」

はにかみむ北斗を前に、ミキは深々と頭を下げた。

「ありがとうございました。じゃあね」

ミキは立ち去ろうとして、近くにいた由理子に近づいた。すると北斗は慌てて声を掛けた。

「あ…の、今度、お礼させてよ」

「え?」

「昨日の」

「そんな……あたしが、傘借りてたほうが先なのに…」

「名前は?」

はにかみながらミキは答えた。

「ミキ、アシダミキ」

「おれ、北斗晃二」

北斗は手を差し出した。ミキはちょっと由理子の方を見たが、ゆっくりと近づいて差し出された手を握った。


 予鈴が鳴って緑川先生がやって来た。

「北斗君、ホームルームをするわよ。あら、未来ちゃんじゃないの」

「あ、緑川先生。どうしてここに」

「あたし、四月からこの学校に来てるのよ」

「そうだったんですか。由起子先生って名前聞いたときにもしかしたらって思ったんだけど」

「ミキちゃん、由起子先生知ってるの」

「由理子ちゃんどうしたの、こんなとこで」

「ミキちゃん、いまうちに居候してるんです」

「そうだったの。まだ、探してるのね、憧れの君」

「んん、見つかったんです」

「ほんと?良かったわね。あ、北斗君、彼なの?」

 大きくミキは頷いてニッコリと笑った。北斗は照れて俯いている。いつの間にか教室から覗いていた生徒たちから、やんやの声が上がった。急に騒がしい雰囲気になってしまった中で、ミキは恥ずかしくなって俯いてしまった。


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