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プロローグ
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2年前。
少女は、小高い丘の上で、呆然と立ち尽くしていた。
夜明け前のまだ太陽が昇る前の薄暗い世界で、少女は一人、小高い丘から、海に浮かぶ街を眺めていた。
少女は、ボロボロの旅装束を身にまとい、よろよろと力無く海に浮かぶ街を目指して、歩き始めた。
外は、薄暗く、足元がおぼつかない。
疲れ切って憔悴しきった少女は、小石につまづき、転んでしまった。
少女は、転んで痛いのか、小高い丘に倒れたままピクリとも動かなかった。早朝の海風が、少女の美しい栗毛色の長い髪を揺らす。
少女の瞳には、涙でいっぱいにあふれていた。
「うっ。うう」
少女は、声もあげずに、泣いていた。
喪失感と罪悪感、そして、怒りがないまぜになって、少女の瞳には、復讐の色が灯る。
少女は、起き上がり、海の遥か先を見た。
「私、負けないから」
心細くなる気持ちを必死に堪えながら、少女は、涙をぬぐいながら、誓った。
海から広がる水平線では、黎明を告げる夜明けの太陽が、昇り始めた、