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三十四.

 部屋を出てストレッチャーの後ろをついていき、施設から病院に向かう渡り廊下を渡ると、そこは以前母が入院していた階で、ナースステーションを通ったとき師長だけでなく他の数名の看護師が私と君枝に気付いて驚いた顔をしていた。

 霊安室に入ってすぐ、師長が来た。

「お父様ですか?」

「はい、数日前から隣の施設にお世話になっていたのですが、今朝未明に・・・」

「そうですか・・・まだお母様が亡くなってそれほど経っていないのに大変ですね」

 霊安室を出てすぐに葬儀屋に電話をした、数か月前のことなので私のことを覚えていたため、

すぐに葬儀屋に向って搬送車に乗り換えて病院に戻った。

 役所に提出する書類に書かれていたのは老衰だった、心臓病、糖尿病、以前に肺の病気にもかかり、脳梗塞もおこしていたのだから、何が原因でもおかしくなかったが、穏やかな顔を見て老衰が一番納得できる理由のような気がした。

 搬送車に乗せられ、施設の職員と師長、そして数人の顔見知りの看護師に見送られて病院を後にすると父の遺体を横目に見て思った。

(ずいぶん早くお袋の傍に行ったよな、そんなに寂しかったのかよ、それにしても、あれだけ頼りにしていた兄貴じゃなくて、結局最期は俺にやらせるのかよ)

 母の時と同じように父を葬儀屋の霊安室に預けると、すぐに葬儀の打ち合わせに入った、まだ数か月前のことなので、母の時と同じ内容で決めてすぐに親戚に電話した。

 念のために預かっていた実家の鍵で実家に入り、兄の帰りを待っていると意外と早く戻ってきて葬儀屋に打ち合わせに行くと言い出したが、母の時と同じ内容で全部決めたと言うと手帳を取り出して母の時に書いたメモを見て金の計算を始めた。

(わからなくもないが、ここでも金の心配か・・・親父には会いに行かないのかよ)

 親戚への連絡も済んでいることなどを告げると翌日の通夜の準備などもあるだろうが後は全て兄に任せ、というか少しくらいやらせないとダメだと思って自宅に戻ることにした。

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