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二十四.

 それから30分もしなかった・・・母の顔が歪んだような気がした。

 血圧が下がり、心電計の音が乱れたと思った瞬間にピーという音が病室に響き、すぐに医師と看護師が部屋に飛び込んできた。

 心電計は心臓の拍動をとらえることなく平坦な線が音と共に流れている、親父は母の体を揺すり、わずかに動く心電計を見て、まだ生きていると叫ぶ。

 そして私は、なぜか涙が出てくることはなく、ただ茫然とその光景を見つめ、母に聞こえてほしいと思って少し大きな声を上げた。

「かあさん、ありがとう、本当にありがとう・・・」

 そういった途端、私は医師が瞳孔を確認しているのを横目に病室を出た。

そのまま部屋にいなければいけないはずなのに、なぜか遠くに住んでいるもう一人の叔母、そして父の実家を継いだ叔父に連絡しなければいけないと思い、すぐに叔母に連絡を入れた。

「もしもし、俊です、たった今、お袋が息を引き取りました。これからのことはまた連絡します」

 そう言って電話を切ると君枝が私を連れ戻しにきた。

「あなたが最期を見届けなきゃ駄目じゃない」

 そう言われて病室に戻ると、担当医が私の顔を確認して腕時計に目を落とした。

「・・時・・分・・・ご臨終です・・・」

 担当医に深々と頭を下げた、少なくとも私は母の苦しむ顔を見ることは無かった、私のいないところで母は苦しんでいたかもしれない、それでも私はその母の顔を知らない、私が望んだ形だった。

 父は母の名前を呼んでその体を布団の上から揺り動かし続けていたが叔母が父を諭すように言うと、ようやく父は担当医に頭を下げた。

「お母さまを綺麗にしますので・・・」

 そういって看護師数人が部屋に入ってきて、母の身支度をするため病室から出された。

 待合室では父も叔父、叔母も力なくソファに腰を下ろし、君枝は実家の両親に連絡している。

 私はさっき連絡した叔母にもう一度電話をした。

「俊ちゃん、色々ありがとう、君ちゃんは近くにいる?」

「はい、代わります」

 携帯電話を君枝に渡した、叔母に同じように礼を言われたのだろう、暫く話をしてから電話が返され、代わって欲しいと言われた。

「通夜と告別式には出るからね、決まったら連絡ちょうだい」

「はい、わかりました、詳細が決まり次第連絡します」

 そう言って電話を切ると、病室から看護師たちが出てきた。

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