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十四.

 私も義姉のことには特に触れずにいたが、暫くすると母が口を開いた。

「それにしても何しに来たのかね・・・あや(姪)もただお菓子食べているだけで、ろくにお前に挨拶も出来ない、いったいどんな教育しているんだか」

 母が私に愚痴をこぼすなんてめずらしいなと思った。

「義姉さんがあれだからね、娘だってあんなもんだよ」

「昔、お兄ちゃんが結婚するとき、静子さんの親代わりをしていた長男のお嫁さんから、静ちゃんは末っ子で、唯一の女の子だからかなり甘やかされて育ったようなので、なにかと気に障ることがあるかもしれませんが、よろしくお願いしますって言われたことがあってね」

「甘やかされたかどうかは知らないけどさ、もう3人の親なんだから、入院している姑の洗濯物ぐらい気が付けよ、だからおばあちゃんに気が利かないって言われんだよ」

 祖母のその言葉を聞いていた母は、私の言葉に苦笑いした。

「ごめんね、あんたに洗濯なんかさせて」

「別に気にするなよ、洗濯機に入れてボタン押すだけなんだから、誰にでも出来るって」

「でも、出来ない人もいるんだよ」

 そういって母はまた苦笑いした、私もそうだなと言わんばかりのあきれ顔をした。

 しばらくして乾燥機に洗濯物を取りに行くと、いつも何かにつけて母の病室に顔を出してくれて気遣ってくれる若い看護師に会った。

「こんにちは、今日は奥様じゃないから顔出すの戸惑ってしまって」

「いつもありがとうございます、母からも家内からも聞いてます、何かと気遣っていただいてありがとうございます」

「お母さまと話すの楽しいんですよ、なんとなく明るいところが私の母に似ているので」

「そうですか、母も貴女と話しているのは楽しいようなので、こんなことを頼むのも変ですが、時間のある時には話し相手になってくれませんか」

「ええ、喜んで」

 看護師は笑顔でナースステーションへ戻っていった。

 この若い女性の看護師のほかにも母にはお気に入りの男性の看護師がいた、母曰く、私に似ているところがあって下の世話などを頼むのは恥ずかしい気もするが、その男性の看護師が来てくれることを心待ちにしているらしいと君枝から聞いたことがある、実際に会ったことがあるが私に似ているとは思わない、それでも母が喜んでいるのだからそれでいい、別に否定する必要もないし肯定もしない、もう先の短い母が喜んでいるならそれだけでいい、そう思った。

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