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十一.

 2本ほどタバコを吸い終えてから病室に戻ると、まだ母と君枝は談笑していた。

「これ、頼まれてたやつ、それから・・・親父はリハビリに行っていて居なかったよ、でもリハビリに行く元気があるなら安心かな」

 それを聞いた母も安心したような顔つきで微笑んだ。

「明日は仕事でしょ、あまり長くここに居なくていいから、早く家に帰ってのんびりしな」

「何言ってんだよ、明日は日曜日だよ、会社は休みだよ」

「そうか日曜日か、なんか曜日の感覚がないのよね、テレビもあまり見ないし」

 母の夕食が運ばれてきたため一度病室を出て缶コーヒーを買ってもう一度喫煙所へ向かい、少しして母の食事の世話をしてから君枝が喫煙所に来た。

「お兄さんとどういう話しをしたの?」

「別に、たいした話じゃないよ、お袋のこれからの処置のことを俺が決めたことが気に入らないらしいけど、結局あいつだってどうすれば良いかわかっていないんだよな」

 煙を吐き出しながら呆れた顔をしている私を見て君枝が言った。

「師長さんも言ってたように、あなたの判断は正しかったと思うよ、治すことが出来ない以上は、どうやって苦しみを和らげるかってことだけを考えるべきだと思う」

「それから・・・親父にはお袋のことは話さないことにした、だからお前も親父に何か言われても俺から何も聞かされていないって知らん顔して良いからな」

「わかった」

 病室に戻り、とりとめのない話をして面会終了時間になって病室を出るとき、母は明るい笑顔で手を振っていた、私は車に乗り込むとすぐにはエンジンをかけることが出来ず、歯を食いしばって涙を堪えた。

「すまん」

「気にしないでいいよ、あんなに元気なんだもん、信じられないよね」

 君枝もわずかに涙声で言うと、私は大きく息を吐いてエンジンをかけた。

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