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『涙が溢れるとき』

作者: 文月優

...最近寒くないですか。朝布団から出たくないです笑。まあ、いくら嫌でも一度目が覚めたら寝れないんですけどね!泣

 胸から込み上げてくる熱さが広がり、視界が不明瞭になる。涙が零れそうになるときの予兆だ。私たちが流すそれは、いったい何なのか。何の意味をもっているのか。ちょっと考えてみたい。涙が溢れてくる時は一体どんなときなのだろうか。嬉しいとき、悲しいとき。人は涙を流すという。確かにそうなのかもしれないが、私の経験から考察してみたい。だって一般論は面白くないし、端的につまらない。まず嬉しいときに涙が流れたことはない。感動が嬉しいときに当てはまるのなら、あるかもしれない。それでも自分のことで感動したわけではなく、映画の中の他人を通して感動したわけである。だから嬉しい、とはちょっと違う気がする。良かったね…、一言で言えばそんな感じだろうか。私が泣きそうになったり、涙が溢れたりした時を思い起こすと8割が悲しかったことだ。もっと対象を狭めると、悔しかったことだ。不条理に組み伏せられた自分が情けなかった。強い者に抗えなかった自分が惨めだった。現実をはねのけるだけの強さがない自分がただ悔しかった。いつも現実は突然牙を剥いて襲いかかってくる。その時に対処するだけの力が自分になかったとき、それは私の大切なものを奪っていく。それはちっぽけな私の自尊心であったり、友達であったり、その時々で色々だ。涙を流してもなんにもならない。そうずっと思っていた。涙を見せることは弱さを見せること、だから私は突然襲ってくるその予兆が怖かった。つい最近のことだ。二人で話をしていた。別に近しい人ではなかったのに。その日は気分が乗っていたから、ちょっと油断していた。なにげない一言。その一言がダメだった。ヤバいと思った時にはもう遅くて、結局は迷惑をかけてしまった。


 罵倒も強い言葉も、喧嘩腰の態度も。私を泣かせるには不十分だ。そんなものは私の心には届かないし、なによりもう慣れてしまった。けれど怖いものは怖い。泣かないだけで、確かにその傷は私に刻まれていく。踏みしめられた土は固くなる。それと同じでいつしか悪意には笑顔で向き合えるようになった。悪意には闘志で、愛情には愛情で。親切には親切で返す。それが私の基本スタンス。けれど20年、それも甘ったれの私には全てを受け止められるだけの力はない。人生経験を越えた物事を私は受け止めることができない。それだけの器が私にはない。だからその人の言葉に私はどう対応すればいいかわからなかった。溢れた涙を隠すことはできても、止めることができなかった。一言。たったの一言だ。その一言は、私の心に確かに触れた。何も特別な耳に新しい言葉ではない。普通の、ありふれた言葉だ。それが私を涙させた。嬉しかったのか、多分違う。悲しかったのか、そんなことはありえない。言葉にはとても表せない。けれどとても安心できたってことは確かだ。常に張り巡らせていた、張り詰めた糸がたゆんで、その手が確かに私に触れた。暖かい手だった。私を見つめるその人の目は優しくて、私はとても見れなかった。


「お前はろくな人間にならない」そんなことを言われたこともあった。高校時代に信頼していた先生に言われたこの言葉は悲しくて、悔しくて、思わず涙が零れた。中学時代に頑張って取った複数のメダル。私の名前が入った賞状は最後まで私のもとにはこなかった。

今まで生きてきたなかで数え切れない涙があった。けれど人前で見せた涙は片手で数えられるほどしかない。そのどれもが私にとって記憶に残っていて、忘れたいけれど忘れられないものばかりだ。涙を流すのは悪いことなのか。私は、そうは思わない。涙を流すたび、私は確かに強くなった。涙は割り切るために必要だ。人には辛いことから立ち上がり、前に進むために涙が必要なのかもしれない。同じような辛いことでは涙が流れなくなったのは私にとっては祝福で。もしそうでなかったら、私は私がどうなっていたかわからない。

 

 ずっと涙は悔しいときに流れるものだと思っていた。私にとっての悲しいことは、自分の力が及ばないという自分の無力さから来るものだったからだ。なのに最近の出来事で私はそれさえもわからなくなってしまった。悲しかったわけでも、悔しかったわけでもない。あの時何故涙が溢れたのか、止められなかったのか。私は今でも理解できない。ただ、一つわかることがある。涙というのは、良くも悪くも人が前に進んでいくのに必要なものなのだ。私は、そう思っている。


途中まで読んでくださった方も、最後まで読んでくださった方もありがとうございます!今回は涙について書いてみました笑。とっても長かった?すいません、ちょっと熱が入ってしまいました(苦笑)貴方はどんな時に涙がでましたか?もしよければ感想欄にでも笑。えっ、嫌だ?まあ、そんなこと仰らずに。少しお話しませんか?気が向いた時にいつでもどうぞ。お待ちしてます!笑。

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― 新着の感想 ―
[一言] 涙は、人が前に進んでいくのに必要。その通りだと思います。 悲しいとき、嬉しいとき、いろんな場面で涙することありますよね。そんな場面を繰り返してきたから、前に進んでいる、ということなんでしょう…
[良い点] 文月優様、『泣く』ということにスポットを当てた作品でしたね。面白かったです。ナイーブな感性が伝わってきました。 ものを書く人は、こういう感覚が大事なのだと思いました。 [一言] ようやくパ…
[一言] 泣く、ということ。 難しいですよね。 私もめっきり泣かなくなりました。 体の痛みも、心の痛みも、慣れてしまったのかもしれませんね。 唯一、カラオケで感情移入し過ぎたときだけ泣きます。 そんな…
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