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知慧
困難な壁にさしかかり、私は立ち止まる。
足掻くようにその手のひらを空に翳す。
風を感じて、この風は誰かとつながっている事を意味すると悟る。
そして目の前の困難に立ちふさがっていた壁が瓦解していくように、明日が見えてきた。
それは真っ暗に染まった暗い夜に穏やかな太陽が地上を照らすように。
風のような自由な存在になりたい。
その思いを呼び起こしてくれたのは風が英知を運び、そして幸せへと誘う力であるちけいが私に宿ったのだと悟った。
でもまだ、私は知らないことばかり。
だから私は風を感じて今を生きるんだ。
この命尽きるまで・・・。