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仮面
子供の頃あこがれて見ていた特撮ヒーローやヒロイン。
彼らの素性は物語上特定の人物を除いては秘密になっている。
そして彼らは仮面をかぶっている。
でも大人になるにつれて、その仮面よりも複雑で安易に見破れない仮面がある事を私は知った。
私はその仮面を知った時、心が砕けそうになるほどの衝撃を受けた。
それは悲しい笑顔と言う仮面である。
顔では笑っていても心では泣いている。
心を寄せている人にその仮面をつけて対応されたら、私は死んでしまうかもしれない。
つまりその仮面を向ける相手に対して、『あなたの事があまり好きじゃない』と言っているのも当然だと思う。
でも混沌としたこの世の中はそんな悲しい笑顔で溢れている。
それを知って傷つき私は一つ大人になった気がした。
そして私は愛おしい人に、悲しい笑顔を向けられたくない。
もし向けられたら、それを見抜く洞察力が欲しい。
でもそれは裸を見られるよりも羞恥に駆られる嫌らしい事。
それでも私は・・・・。