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さよならは優しさ。
さよならは寂しいけれども悲しい言葉じゃない。
障碍者を扱う施設の人は、充分に社会に通用するほどの力を身に着けたら、引き離すことをする。
それはその人に対する優しさだったりする。
私は怯えている。このままではいけないと思うがもう少しだけゆっくりと見守っていてほしいと言うのが私のわがままだ。
でもいずれ私も施設を去っていかなければならない。
ゆっくりと焦らず慎重に行きたい。
でも一つの旅が終わるように別れる事は必ずある。
その時の私はまた問題が起こり、私を苛まさせるような事態に引っかからないか不安だ。
不安で怖い。
でも一歩踏み出さなくてはいけない時。
私を狙うあいつはまた出て来るんじゃないかと不安に思えてくる。
妄想幻聴が私を死へと誘おうとする。
もう一人の私はそれに耐えようとしている。




