表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第二部 牛と馬なら馬乗りたい

大変遅くなり申し訳ありません。

こんな感じでノロノロ書いていこうと思います。


あと第一部の話を大幅に改めたので先に読んでからこの話を見てください。

「そろそろ博多に着くが今回は何が欲しいんだ」


 佐久良の肩に手をかけ一人の男が声をかけてきた。佐久良には小さい頃から特に仲の良い五人の友達がいた。この男もその一人で九麻(くま)といい、佐久良の三つ年上になる。九麻は槍を持たせれば佐久良に引けを取らない腕の持ち主で今回は護衛を主に担当してついてきている。他の四人は佐久良の居ない間の博多の拠点で待機をしている。


 佐久良達は商いの拠点を博多のみなと周辺に移すにあたって、新参者なため場所の確保に手間取った。そのため湊から離れたところしか拠点がおけず留守の人を残しとかなければ蔵の中の商品や米、布が強盗に遭うこともある。実際に初めの頃に何度か盗賊や新参者をよく思わない人などに襲われたことがあったが、相手が少数で、こちらも常に数人は蔵を守ってたので被害を抑えることが出来た。それが毎回上手くいくとも限らないので最近では十分な人数の護衛に装備を与えて残している。


「そうだな、最近は商いの量も増えたから荷車を引いてくれる馬なんかが欲しいな」

「そりゃ、いたら楽だがそんなもん手に入るのかね。牛なんかを買ったほうが安く済むんじゃねぇか?」


 九麻の疑問はもっともなもので、日本では近代まで馬車というものはなく主に牛が引く牛車ぎっしゃが主流だった。さらに馬は貴族などの乗馬用として育てられるのがほとんどなため目にすることはほとんどなかった。逆に牛は食用だったり農耕用として百姓でも持っていたりする。それでも大事な労働力なので簡単に売ってもらえるものでもないのだが。そんな事情から馬より牛が馴染み深く、どちらかといえば手に入りやすいが、その辺は佐久良がすでに手をうっていた。


「この間新羅(しらぎ)難破船なんぱせんに乗ってた貿易商ぼうえきしょうを保護したろ」


 新羅とは朝鮮半島にある国でこの頃は仲が良く、互いに遣新羅使を送ったり、使節を送られたりの交流がたくさんあった。しかし、この頃の日本は様々の国々と外交を交わしていたが国内での商売という概念が発達してなかったため、私的な貿易を許していなかった。それでも大陸の商人とはたくましいもので日本への使節に同行しては湊の人々と物々交換をしたり、密かに入国しては取引をしてたのだ。


 そんな商人の一人を三か月程前に博多の周辺で佐久良達が保護していた。その頃の佐久良は造船の技術を欲していたので船を造っては近海に出て操船そうせんの練習をしていた。そんな中で偶然にも難破船に遭遇し保護したのだ。


 その結果、日本海の荒波に耐えうる造船の技術と大陸商人との伝手つてが出来た。その商人は佐久良達に大層たいそう感謝しており、三か月後に佐久良の欲しいものをもって来ると約束してくれたのだ。そのことを九麻に話すと納得したように頷いていた。


「どうりでガメツイお前が椀飯振舞おうばんぶるまいだったわけだ。そんな下心があったとは」

「酷い評価だな。まぁ、それは間違いではないがな」


 そう言っては二人で大きく笑い、それを聞いてた他の人たちまで笑っていた。ひとしきり笑った九麻は声を潜めながら話しかけてきた。


「馬なんて高価なもん、ただ荷を引かせるだけじゃないだろうな」


 その言葉にニヤッと笑みを浮かべた佐久良は前を見据えた。


「当たり前だ。五人には話したが俺の目標は商人なんかじゃねぇ。成り上がることだ。そのためにはあらゆる力が必要だ。馬なんかは使えるとは思わねぇか?」


 九麻はそこで獰猛な笑みを浮かべて肩にかけていた槍を持ち上げ振り回した。


「大陸の戦について調べたことがあるから馬の重要性は分かるさ。俺の担当はこっちだからな。楽しみで仕方ない」

「あんまり期待するなよ。今回手に入る馬は多分だが小型だよ。俺たちが乗って暴れられるようになるのはもっと先さ」

「なら、お前に教わったように馬を改良していけばいいわけだ。いつかでかい馬を作ってみせるさ」

「野菜やメダカのように簡単にはいかんだろうがな」


 この時代でも品種改良に近いことは行われている。しかし、偶発的にできた物を選び次にそれを育てるだけで、目的をもって改良することは少なかった。そこでメダカや野菜を使って簡単に出来る改良の方法を本にまとめてそれを元に皆で研究をするようになっていた。そのおかげで村の稲は普通よりも病気に強かったり、多くの米が出来たりしている。


 佐久良はアジアの馬はヨーロッパの馬のように大きくないことを知っているため、自分たちで育てて大きくしていくつもりだった。目指せ、日本版サラブレットっといったところだ。


 この話の後には他愛もないことを話しながら歩き続けた。すると、とうとう町が見えてきた。こここそが博多の街だ。

 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ