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第一部 飛鳥・奈良時代って詳しくは知らない

長編の方を少しずつ書いていきたいと思います。まだ、構成がしっかり練れてないのでペースは遅いですが気長にお付き合い下さい。


申し訳ないですが幼少期を書くつもりで一話を投稿していましたが、なかなか進まないため省きました。

幼少期に関しては短編などを読んで貰えれば何してたかは少しは分かると思います。

 福岡は現在でもアジアの玄関口と呼ばれるだけに大陸からの観光客だったり、留学生なんかも多く、その上、九州から大陸への観光は近く安いので人気がある。そして、玄関口としての役割は古代日本でも同じことだった。


 博多は日本最古の(みなと)といわれており、古代においては大宰府の外港として機能し、筑紫館つくしのむろつみと呼ばれる海外交流の拠点施設が造られていた。それは海外の使節を迎える迎賓館兼宿泊施設として機能していた。それだけに大陸の技術者や商人なんかもほとんどが博多を経由して日本に入ってきた。だからだろうが、博多の周辺は様々な大陸の最新技術が伝えられ使われていた。皆が分かるものだと稲作なんかも日本で最初に伝えられたといわれている。


 そんな博多にほど近い川沿いを二十人の男たちが荷車を五台引きながら歩いていた。一台には米俵が数俵と様々な道具が乗っており、他の荷車には大量の木箱が乗っていた。ここにいる男たちは皆、十五から十八歳と若く、身長はさほど高くないが逞しい体付きをしていた。そして先頭を歩いている男に目を向けると、周りの男たちよりも頭一つ分身長が高く、一目で鍛えていることがうかがえる体付きをしていた。


 この男、名を佐久良さくらと言い、博多周辺の村で生まれ育った百姓の子供だった。小さい頃から賢い子だと村では評判がよく、四歳の頃には村の寺に通っては僧侶から万葉仮名まんようがなや漢文の読み書きを習っては村の子供たちに教えて回っていた。さらに大陸の書物に書いてあったといっては様々な物を作り、村の生活を助けていた。


 佐久良は頭が良いだけではなく、十歳を超えた頃には身長が周りの大人たちと変わらないくらいになっていた。そのうえ、身体能力もズバ抜けてよかったため大人たちに交まじっては害獣退治や盗賊退治を行っていた。弓や槍の腕は素晴らしいもので村一番だと言われるほどだった。


 これ程の完璧人間はなかなかいるものではないがこれにはある秘密があった。彼は実際のところ平成の世からの転生者だった。転生前は会社に勤める一般的な青年だった。それが交通事故に遭い目覚めたら赤子になっていたのだ。最初こそは驚きはしたが、転生物のネット小説を好んで読んでいた身からすれば次第にわくわくが勝っていった。


異世界転生や戦国時代への逆行転生を夢見ていたため、赤子のうちから魔法が使えないか試していたが、魔法が発動しないうえに周りの大人たちが誰も使っていないことを鑑かんがみるに魔法を使うことは早々に諦めた。大人たちの話す言葉は癖が強く、聞き取りずらい言葉も多いが日本語であることはわかった。服や食べ物、建物から考えるに農民の子に産まれたことも分かったので某の野望をプレイしたことを思い出しては大名へ成り上がることを夢見ながら体を鍛え、親の手伝いを始めた。


 筋トレをしては近所の友達とチャンバラをして体を鍛えていた。そこでふと思い出したのがこの時代の字を読めないということだった。前世は工業、工学系の道を進んだため、漢詩は読めないし、ミミズがはったような昔の字は全く分からない。それとなく親に聞いた話では、村で字を読み書き出来るのは寺の僧くらいだとのことだった。


 さっそく、寺の僧を拝み倒して読み書きを習う中で驚愕の事実が発覚したのだ。


 佐久良の生まれたこの時代が飛鳥・奈良時代あたりだってことだ。


 年号を聞いただけでは今が西暦何年かわからなかったが、仏教伝来の歴史などを聞いているうちに、聖徳太子や学校で習う大化改新たいかのかいしんなんかがここ百年くらいの話だと知った時の絶望っぷりは大変なものだった。その時の佐久良の一言は、


「ここまで古いと知識で無双とか無理だろ」


 だった。佐久良の想定では戦国時代に転生してチート武将を配下にして鉄砲でガンガンに攻め、天下統一や信長や家康の配下になって楽に生きるはずだった。だというのに歴史の内容をそんなに知らない古代、技術のそんなに発達していない古代。内政チートだってほとんど実行が難しい。


 だが、ここで諦めないのがこの男だった。この時代の百姓では豊臣秀吉のように天下に覇を唱えるのは簡単なことではないだろう。それでも後世、それこそ平成の世まで家名が残る、そんな名家の家祖にはなれるかもしれない。千年以上も自分の名前が語り継がれるようになれば、それはそれで浪漫であり、最良の結果だろうと考えた。


 それからの目標は貴族や地方豪族としての立場を手に入れることだった。何をするにも金が要るので、この頃はまだ紙が高級品だったことを思い出し、竹和紙を作ってみたり、他にも売れそうなものを思い出しては作っていった。それだけではなく、近代的な筋トレだったり勉強を弟たちや友達に教えて将来の頼れる仲間たちをつくっていった。


 そんな幼少期を送った佐久良は十五歳になった今、村の仲間たちと博多や大宰府を中心に商いをしていた。今も大宰府で寺社を相手に主に竹和紙を売ってきた帰りで博多に向かう途中だった。この時代では正式な通貨がほとんど流通していなかったため、米や布との物々交換がほとんどだった。そのため荷車の木箱の中には竹和紙と交換した布が大量に入っているのだ。


 さっきも言ったが紙は高級品で九州みたいな地方では競合相手なんてまずいない。そんなこともあり商いを始めて半年ほどしか経ってない今でも中々の金持ちになった。さらに博多では大陸の珍しい物が手に入るのでそれを村に持ち帰っては新しい商品をつくったりと好循環が出来ている。今回も大宰府での売り上げをもとに博多で新しい何かを買うつもりで、一行は急いで博多に向かっていた。





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