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4-3

「悪いな。そろそろ限界みたいだ」

 冬禰の狂気を見せつけられた2日後、起きた直後のテントにやってきた反杉から謝られる。


「そう。分かった」

 反杉たちは付近の住民たちの避難を誘導しながら瑞と嵐の配下たちの戦争に介入していたはずだがこれ以上は抑えきれないということか。


「こちらで倒しきれない以上、せめてお前らが万全の態勢になるまでの時間くらいは稼ぎたかったんだがな」

「ううん。十分」

 むしろ良く持った方だろう。嵐の異様な戦闘力を受け継いだうえで半ば放送状態にあるような瑞、それを今の今まで抑えていたのだから。 


「もう少ししたら作戦会議、と言っても大体方針はこちらで話してお前らに伝達するくらいなんだが。やるんで渡来と来てくれや」

「分かった」

 そのまま少し待ち、やってきた渡来とともに集会所のように扱われているテントに向かった。


「お邪魔するよ」

 渡来が声を掛けて先に入る。私はその後ろから陰になるような位置取りで入ったけど


「神無さんいらっしゃい!」

「俺もいるんだけどな」

 先に待っていたらしい冬禰が即座に反応し、冬禰に軽くスルーされた渡来が困ったようにつぶやいた。

 冬禰は宣言通りこの二日間の間に私のところにちょくちょく来ていた。あわただしい状況ゆえに常にというわけではないけれど来れる範囲でほぼほぼ来ていたんじゃないだろうか。正直憎まれるとか嫌われるとか以上の恐怖感を感じかけている。ってか第一印象と変わりすぎなんだけどこの人。


 一番奥に座っている反杉が、そして部屋の隅にもう一人見覚えのない人物がいた。どうやらこの5人で作戦伝達をするらしい。


「作戦と言ってもそこまで難しいものではない。少数精鋭で瑞を倒す。残りは瑞以外を引き付けて邪魔が入らないようにするだけだ」

 予想していた通りだ。私以外ではほぼほぼ瑞は殺せない。嵐同様に瑞に真っ向からの戦闘へ拘りがあるかは怪しい以上妨害させないようにするための人員はかなり必要になる。そしてそのための突破が必要なくなるだけでも私は大分楽になる。

 そして私一人にしないのは嵐や瑞との戦闘結果を踏まえたうえで一人だと分が悪いと思われたのだろう。実際そうだし仕方ないか。


 そのまま移動経路などの説明をされ、予定の行動を頭に叩き込んだ。残りは誰が私たちに同行するかか。


「できれば俺もそっち行きたいんだがなあ」

「駄目ですよ。指揮官としての仕事をしてください」

 反杉の口からポロリと零れた言葉はすかさず冬禰にたしなめらた。反杉はやれやれと肩をすくめる。

 実際レジスタンスの中だと一番強そうなんだけど。この人。


「そういうわけで俺はいけないから初芽と咲葉(さくは)をそちらに回す」

「どうも」「よろしくっす」

 冬禰、そして同席していた身慣れない男が軽く頭を下げる。


「そういや僕は初対面っすね。春野(はるの)咲葉っす。あ、お二人のことは聞いてるんで名乗らなくていいっすよ」

 やる気のなさが全身から湧き出ているんだけどこいつ。大丈夫なのか。


「じゃあ、俺はまだやることあるんでここで打ち合わせでもしていてくれ。大体のことは覚えてるよな? 初芽。後は任せた」

「分かりました」

 そんな私の心配を知ってか知らずにか反杉は私たち4人を置いてテントを出て行った。


「僕は危ないところまで入り込む気ないっすから」

 その途端、春野はぐてんと座り込み、心配していたとおりの反応しやがった。期待は最初からしていなかったけど流石にこれはないでしょ。思わず目をそらしてしまった先で同じことを考えたらしい渡来と目があい、二人そろってため息を吐いた。


「まっ、援護と荷物運びくらいはしますんで」

 ただ何もしないと言い切るよりはましか。そう思っておこう。


「こんなのでも腕はいいんですよ」

 冬禰がフォローを入れるけど流石に無理があるでしょ。ってか腕がよくてもやる気皆無なの連れて行ってもねえ。


「その分私が精一杯手伝いますからちょちょいのちょいでやっつけましょう!」

「頑張ってくださいっす」

 無気力そうな春野は言うまでもなく、なんか無駄にテンション高くなっている冬禰も大丈夫なんだろうか。

 出合ったころの何か厳しそうだけどクールな冬禰の方が頼りになった気がして心配になった。

 短い期間での接触だったとはいえ反杉を呼び出したり冷静に救助活動していたりでこんな人じゃなかったよね? 今からでもそちらと交換してもらえるところってないのかな。

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