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3-5

「なんだ?」

 嵐が不思議そうに首をかしげると刀を突き刺されたように見えた神無ちゃんの身体が滑り落ちた。まるで刺した刀が何か固いものに弾かれたように。そして落下する神無ちゃんの身体の胸部から何か光るものが零れ落ちていく。

 ただ命こそ取り留めたものの確かに途中までは胸を貫かれていたらしい。身にまとう服が胸を中心に赤く染まっていく。

 そんな状態でも刀を杖代わりに立ち上がろうとする神無ちゃんだったが膝をつく体勢にすらできないまま崩れ落ちた。


「これは?」

 それを見てもはや警戒する必要もないと見たか嵐は神無ちゃんの身体から零れ落ちたものを拾い上げて眺める。

 宝石? 血に染まっているのもあってここからでははっきりとは見えないがそんな感じのもにしか見えない。だが、嵐にとってはそうではなかったらしい。


「貴様! どうしてこれを持っている?」

 それが何なのか分かったらしい嵐は血相を変えて倒れたままの神無ちゃんに詰め寄ろうとした、その時乱入者が現れた。


「それを寄越せ!」

 白い巫女服を纏ったその人物は登場するなり、嵐に向かって柄に対して垂直に湾曲した刃をつけた武器を振り上げ、斬りかかった。槍でも薙刀でもないあの武器は、ほこか?


「狼藉者が!」

「うっ!」

 けれどもそんな攻撃が通じるような相手ではない。簡単に回避した上で放たれた回し蹴りにより、乱入者はこちらの方へと吹き飛ばされた。


 そして彼女がこちらへ来たことで顔が見える。その正体は


「朱莉ちゃん?」

 神無ちゃんが殺した神、焔の側近の少女だった。まさかここまで俺たちを追ってきたのか。

 神無ちゃんには気付かなったのか、それともそれより優先するものがあったのかすぐには敵意を示さなかったものの、おそらく神無ちゃんや彼女を助けた俺も敵と見ているのは間違いないだろう。

 俺の声に気が付いてこちらを見た表情には強烈な憎しみが籠っていた。が、すぐに別の相手に向かう。


「そいつよりも今はこちらの方が緊急事態だ。抑えておけ!」

「はっ!」

 嵐の指示に俺を取り押さえていた従者のうち、男二人が乱入者への方へ向かっていた。以前見た時の朱莉ちゃんの動きは今回の嵐の従者1人1人とそう変わらないように感じた。2対1では簡単に取り抑えられるだろう。

 そう考えた俺は朱莉ちゃんを見た時以上の驚くべき光景を見ることになった。


「邪魔しないで」

 取り押さえようとする従者たちに対して手を向けるとそこから魔法陣が現れて二人を囲う。たちどころに男二人の身体が脱力したかと思いきや、二人とも武器を構え嵐の方へと向かっていった。


「ちょっと二人とも何を!」

「お前も邪魔しないで」

 残った女従者が慌てて男二人のもとへ駆け寄るが、再度朱莉ちゃんから放たれた魔法陣により二人と同じことになってしまった。


「なんでそれを」

 これは神無ちゃんが前の町で殺した神、纏の能力だ。人間に憑依し操る。けれど、纏を殺したと神無ちゃんは言っていたし、実際町は開放された。

 それなのになんで人間の朱莉ちゃんがその能力ちからを。


「お前らは後だ」

 こちらを冷たい目で見下した後憑依した三人に続いて朱莉ちゃんが嵐に向かい、4対1の戦いが始まった。

 出会ってから神無ちゃんが殺してきた神の怨念が集結したかのような光景。それが助けになるのか、それとも絶望に続くのか。


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