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彼女は神様しか殺せない 作者:深録色

第二章

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2-5

 殺しきれないだけならまだ理解はできる。私は神を殺せるけれど、その能力まで無効化できるわけではなければ、攻撃すれば無条件で殺せるということでもない。なんらかの方法で攻撃を耐えられたとか、そもそも単純に致命傷に至らなかったということならば十分ありえる。
 けれど、それを考慮したうえでも先ほどの感覚はおかしい。途中まであった手応えがまるで神以外に攻撃したときのようなものへと変化していた。

「お前は――」
「ひいぃ! 殺さないでくれ!」
 起き上がった青年へナイフを構えたまま警戒態勢を続けていると、青年は先ほどまでの余裕たっぷりの態度はどこへ行ったのかと言いたくなるほど怯えた様子を見せた。

「お前っ、纏じゃないのか?」
「お、俺が纏様? そんな恐れ多い。ってかなんで俺はこんなところに」
 必死に否定し、更に混乱した様子を見せる目の前の男はとても嘘をついているようには見えない。そこと纏の能力から結論を導く。

「そういうことか。出て来なよ」
「おや分かっちゃった?」
 ナイフを降ろして呼びかけると、部屋の奥にある垂れ幕、そこの後ろから1人の少女が出てくる。性別も年も顔も体型も目の前の青年と何一つ共通点を持たないのに、彼女は先ほどまでの青年と同じような雰囲気を感じさせた。

「お前はこの人を操っていた。いや、憑依していたんだ」
 自分へ関心を抱くものがいなくなったことを察して逃げて行った青年の影が完全に見えなくなってから見つけ出した答えを突きつける。
 そう。纏は【人間遣い】と言ったけれど、その本質は自らの一部を取りつかせて自らの思うように動かしていたんだ。
憑依だとしても、そこに神としての存在があるのなら私は殺せる。そしてその憑依部分を殺したからこそ、取りつかれていた青年はただの人間に戻り、その結果人間に攻撃できない私の攻撃は途中から弾かれた。

「へー。よく分かったね。君もそうしてあげるつもりだったんだけど。今からでも大人しく僕の支配下に入らない? この街で平和に暮らせるよ」
「いやだね」
 ふざけた勧誘を却下する。そんなものを受け入れる理由なんてない。

「洗脳とか操作じゃなくて助かったよ。おかげで余計な気を使わないで済む」
 私は神殺しであって。操作などで神性を帯びていれば攻撃が通る可能性はあるけれど、攻撃したところで解除できる保証はない。だから人を操る能力の中ではほぼほぼ唯一と言っていい真っ向から対処できる能力だったのは幸いだった。

「どうせお前も憑依体で、他にもいるんでしょ。まとめてきなよ。時間が勿体ない」
「いいの? どうやって僕の憑依を解いたのかは知らないけど、君に勝ち目はないと思うけど」
 ここにきてなお神に憑依された少女は余裕を見せていた。だけど憑依されている人は先ほどの手応え通りならさほど手ごわくはないし、急所に一撃突き刺せば解除もできる。5人や10人程度ならどうにでもなる。

「たとえ何体いようと全員殺してあげるよ、私は神殺しだから」
 さあ、切り替えよう。神を殲滅するために心のスイッチをオンに。
 傲慢な神へ献上して見せよう。神を殺す舞を。

「ちょっとそれはずるくない?」
「いいのって聞いたよね? あっ、この部屋に入り切れないだけでまだまだいるから安心して」
 何を安心しろとかツッコむことも放棄し、50人以上の人々が同じような表情でニッコリと笑うのを見て入れかけたスイッチをオフにした私は

「いくら何でも限度ってものを考えろォォォ!」
 部屋の出入り口へと走り出した。

逃げるんじゃないから! 戦略的一時撤退だから!
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