挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
彼女は神様しか殺せない 作者:深録色

序章

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

1/13

序章

「まったく、どいつもこいつもしけた面してやがんなあ」
 周囲を見渡すと誰もかもが俯きながら暮らしている。ここもそうだ。
 この国は神が支配している。そう聞いたらお前はどう思う?
 馬鹿らしい、神なんているものかって? 俺もそう思っていたよ、この国に来るまでは。
 それとも素晴らしい、神様が治める国ならさぞかし素晴らしいだろうとでも思うか?
 見もしないで、よく言うと嗤ってやる。

 この国の神様とやらは独裁者ってルビをふるとしっくり来る。民衆には重税に労役と重い負担を与え、自分たちは悠々自適に暮らしていやがる。
 じゃあ、ただの独裁者とはどう違うのかって? 

「しかと受け取った。神々への感謝を忘れずに来年も治めろよ。この不毛な土地で貴様らが生活できているのも神々の加護があってのものなのだからな」
 税としての穀物を受け取る下っ端役人が偉そうに告げている。ったく本当むかつくんだよ、あいつらは。神に仕えて徴収する側に回っているからって自分が偉いと勘違いしているし。

 っとすまんな、話が逸れた。

 神と独裁者の違いは簡単だ。独裁者は人々を抑えつけるか狂信的に操るが、神は奇跡のような出来事を起こす力を持っていて、それゆえに人々に信仰されている。
 先ほどの下っ端が不毛な土地とか言っていたが、実際この国は農業とかには向いてない。雨も滅多に降らず、気温も寒暖差が激しく災害も多かった、らしい。昔は災害であるはずの台風ですら歓迎されていたのだとか。
 らしい、とか昔は、と言ったように今はそうではない。六十年前に自らを神と名乗る集団がこの国にやってきたらしい。そいつらは気候を自在に操りほどよい雨を降らせ、さらに荒廃していた大地を芽吹かせた。

本来起きるはずのことを予め知っていただけじゃないのか、そう疑った人々も当然いた。
けれどもどれだけ知識がある人達でも予測できないこと、いやむしろ知識がある人だからこそ断言できる起こりえない奇跡ことを起こしてくれた。そんなことになりゃ、ご先祖様達が彼らを崇めるのも無理ねえな。

 ただし、いいこと尽くしじゃねえ。
 さっきの光景を見れば分かるだろう? 彼らはそれぞれの地域の支配を求めた。そして重い税を徴収しはじめた。
 不満を持つ者がいても、彼らから得る恵みを考えれば耐えた方がいい。そう思う人々の方が圧倒的に多い。支配を拒み、反乱を起こした者たちも超常の力にかなわず鎮圧され、現在は残党が集まってレジスタンスとして細々と活動しているだけだとか。

もっとも神が支配しているだけならまだましなのかもな。問題は人間同士なのかもしれない。神が下働きなどは当然しない。ゆえに自分の支配する地域の住民から選別して配下とした。そいつらが【御遣い】だ。
 権力は人を醜くする。それに狂ったものは同胞すら虐げる。今日もこれからもずっとこの見慣れた光景に辟易するだけになるのだろうと思っていた。
神殺しに出会うこの日まで。



+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ