理想への破壊
竜族とは。
様々な種族のいるこの世界の頂点に立つものである。
あるものは町を破壊し
あるものは他種族に知識を与え
あるものは静かに眠っている。
そのように最強の種族であるが故に自由に過ごしていた。
だが、あるとき悪竜を倒したものがいた。それは後に英雄と呼ばれたのだが、そのものはこう言った。
「最強の種族である竜族も、倒せない敵ではない!今こそ全ての種族で協力し、奴等を滅ぼそうぞ!」
それから、竜族狩りが始まった。
竜族は個では最強の存在だが、無敵ではない。
そして次々に竜は落ち、世界から竜は失われた。
それが竜族である。
だか。
もし、竜族のいないはずの世界に
竜族がいたら?
種族間の争いを続ける今の世界は
どのように変わるのだろうか。
そんなことはどうでもいい。
ただ、俺は生き残る上で必要な選択肢だったから、竜族になっただけだ。
妖族ではダメな理由。それは
「妖族ではあのルシフェルには勝てないと、そういうことですねマスター。」
そうだ。
そして今あいつを殺さなければ、被害は確実に増える。
ならば
今ここで
「あいつを殺すッ‼」
ー××守護の竜よ ××ー
ー××財宝を守る強欲の竜よ ××ー
ー××我に力を与えよ ××ー
ー××我が願い ××ー
ー××我が望み ××ー
ー××叶えんがため ××ー
ー××我が財宝を守るため ××ー
ー××全ては我のため ××ー
ー××力を寄越せ ××ー
ー××"ファーヴニル"ッ‼ ××ー
目が覚めるとそこは異世界だった。
目の前にいるのは、驚愕した表情の堕天使。
「ばかな…竜はもういないはず…」
俺はそいつにこう言った。
「我が名はファーヴニル、毒を持って財宝を守護し、呪いを持って敵を殺すもの」
しかし、堕天使は震えながら
「そんな幻惑魔法で騙されるか!くらえ、天罰!」
5番目では最高レベルの魔法、光の大槍を落とす、強い魔法ではあるが、
「この程度か?」
当然、当たっても傷一つつかない。
「ばかな…ばかな…」
「ならば、次はこちらだな。竜罰。」
竜のみにしか使えない魔法、ランクは7くらい?
「う、うわぁぁぁっっ‼」
巨大な光の槍が毒を纏って落ちてくる。
幸いここは広いから、観客には被害がなさそうだ。
そういや観客全員寝てるな。
「マスター、観客はあの忍者に全員眠らされています。」
なんと、てかどこだアアル?
「今はマスターの背中にいます。」
それならいいや。
「堕天使らしく堕ちるがいい、毒に苦しみ喘ぎながら、な。」
そして闘技場は、光の槍によってほとんど消えた。
俺が乗れる分の足場しか残っていない。
「アアル」
「なんでしょうか。マスター。」
そして俺は言った。
「ひとがたもどれないorz」