理想への休息
目が覚めるとそこは異世界だった。
というか宿屋の一室だった。
「おはようございます、マスター。」
「ん?えっと…今何時?」
「はい。18時です。」
まじかよじゃあ夜眠りにくいじゃん。
「待ち合わせ場所には既に行ったので御三方ももうそれぞれの部屋にいらっしゃいますよ。」
「あ、うん。ありがと。」
気がきくなあ…
「ならアアルも部屋戻れよ、多分転移を2回したとき俺が酔ったんだろ?」
転移は繰り返すと酔ったりするのである。
「マスター、私はマスターと同じ部屋ですが。」
「あ、なんだそうなのか。」
ならいいや、もっかい寝よう。
「…マスター。」
「ん?」
「こういうとき普通の人は少なからず落ち着きを失うはずなのですが、何故それほど落ち着いていらっしゃるのですか?」
「恋人だとかそういうわけではないんだし特に関係なくね?てか鈴蘭となら2日に一回一緒の布団で寝たりしてたし。」
アアルがジト目でこっちを見ている。この表情は写真にとって保存したいなー…
「マスター、それは兄妹でも少し…いや、その年なら確実におかしいと思うのですが。」
「普通の兄妹ならな。」
「なら、どのように違うのですか?義理だから大丈夫とかいうフラグ臭のすることならばマスターといえど許せませんが。」
なんか怒ってらっしゃる気がする。
「だって、小さい頃から仲の良い犬と寝るようなもんだし。」
アアルが引いてる…そっか、言ってなかったな。
「あいつって真っ白だろ?あれはアルビノって言われる染色体の抜けたもので、それを産んだ親は、まあ、気味悪がったんだろうな。捨てたんだよ。で、それを俺が拾ったわけ。」
「では、マスターは鈴蘭様を犬として扱っているということですか?」
「それは流石にあり得ない。」
「では、犬と寝るようなものとは?」
「妹として接してきたけど、間違いが起こるわけないってのと昔から一緒に寝てたってので例えただけ。」
「ではマスターの性癖では
「断じて無い。」
それを聞いたアアルは満足そうな顔で
「では、そろそろ夕食にしましょうか。」
「おん。俺はもう少し寝てからいk」
「おにいちゃーん‼」
…
「行きましょうか、マスター。」
はめやがったなこいつ…さっきのは時間稼ぎか…
「わかったよ、今行くー」
…あれ?ここ来た最初の目的ってなんだっけ。
「マスター、夕食後は軽い運動を用意してあります。」
「ん、どんなの?」
「武闘会です。」
舞踏会かー、なんか違和感あった気がするけどそれって運動になるのかなー。
「おにいちゃーん、はやくー」
「ま、いっか。」
この勘違いによって参加する武闘会で、まさか人外になるとはこのときの俺は知ることも無かった。とフラグを立ててみるスタイル。