理想への障害
ー×× 荒れ狂う水の支配者よ ××ー
ー×× 民滅ぼす崩壊の竜よ ××ー
ー×× 汝が力を我に授けよ ××ー
ー×× 汝は民に仇なす者 ××ー
ー×× 故に恨まれ憎まれる者 ××ー
ー×× それでも民を愛す者 ××ー
ー×× なればこそ神の社に祀られん ××ー
ー×× 彼の竜の名は ××ー
ー×× 「九頭竜」ッ‼ ××ー
瞬間俺の体が光に包まれ変化する。
「これは…なかなか面白い手品ですね。」
対するアモンは落ち着いている。
「ですが、これも<<蒼き理想>>のため。全力で殺させて頂きますよ。」
「<<蒼き理想>>?なんだそれは。」
「私を殺せれば教えてあげましょう!迅雷‼」
稲妻が走り体に命中。
当然この体に弱い魔法など効かない…はずだが、なにか違和感がある。
「業炎‼旋風‼」
炎の渦が、風を纏った風がとんでくる。
ダメージは当然ない…の…だが…?
「暗黒‼閃光‼」
闇が襲ってくる、光が至近距離で炸裂する。
魔法が…体に…溜まっている?
「虹之炸裂‼」
その時、俺の体…魔法を受けていた場所が
爆発した。
…
……
…………
だが
「!?」
「この程度か?悪魔よ」
無傷ではない。だが致命傷どころか血の一滴も出ていない。
「ばかな……何故動ける!」
「あの程度の爆発で、死ぬわけがないだろう?」
「おかしい…貴様は狂っている!」
「そんなの自覚済だ。さて、そろそろ始めるか」
「…竜よ、名を教えろ。竜の名ではなく、貴様の名を。」
「我が名は九頭竜、それでは不満か?」
「…ならば九頭竜、我を殺せ。」
「言われなくともそのつもりだが?」
「そして、あの方に仕えるのだ。裏切り者を排除するため。我らの故郷の仇を討つため。」
「何故我に願う?」
「我らは仇を討つために生きている。それが果たせるのなら死んでもいい。」
「なるほど。」
「討ってくれるのか?」
「断る」
「…そうか。」
「やけに人間味あふれる言動だな。悪魔とは到底思えん。もとは人間なのか?」
「まさか。我らの故郷は、天使も悪魔も妖怪も霊も、皆平等で普通だっただけだ。それが他の世界で言う…人間と同じなのかもな。」
「まあ我には関係ない。我は竜。この世界に仇なす貴様らを殺す者。」
「手間を取らせて悪かったな、九頭竜よ。」
「構わん。竜砲。安らかに眠れ、悪魔よ。」
「ああ、そうさせてもらうとするよ…」
九の口から圧縮された水の太いレーザーが放たれる。効果、相手は死ぬ。嘘だけど。
…
「…アアル」
「なんでしょうか、マスター。」
「先程奴が言っていたこと…どう思う?」
「皆平等など夢物語です…が、あればいいなとは
「そこじゃない。奴等の目的とリーダーだ。」
「<<蒼き理想>>…それが、仇討ちなのでしょうか。」
「多分違うだろう。だが、この世界にとって良くないことなのは確かだ。」
「では、マスターはこれからも奴等を殺しますか?」
「ああ、とりあえずアアル。」
「はい、マスター。」
「…」
「?」
「…人型、戻してくれ。」
奴等が何を考えているのか。どうでもいい。
仇討ち?どうでもいい。
俺はみんなでのんびりできれば、それでいい。
邪魔をするなら、殺すだけだ。




