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「じゃあ、この道をを登って行けば山の城、ここを真っ直ぐ行けば帝国との国境ってことでいいんだな」


 山岳地帯を進み三叉路に行き当たる。皆、土地勘がなさ過ぎなので皇子に聞く他ないんだ。流石についさっきまでこの辺りうろついてたんだから、これぐらいわかるよな? それにこんなとこで迷いましたなんて何言われるか考えたくもねえ。


「抜け道とかそんな感じのモノはなかったのか?」


「余の知る限りでは道はここだけだ、安心するがよい」


 こいつの言うことだ、安心なんか出来やしないが、まあ信用する他ないだろ。とにかく逃走経路は確実に塞がなければ。特に司祭に逃げられたら作戦がすべて台無しになるからな。


「よし、副ゴリ1から5は俺に付いて来い。6から10は王国、山の城、帝国の三方面に繋がる道を封鎖しろ。怪しかろうがなかろうが道、山間、通る者すべて捕縛しろ」


「了解しました!!」


 よくよく考えれば兵糧攻めでもいいような気もしたが、やったらやったでまた何言われるやら。


「中島、竜騎士隊は任せるぞ。間違いなく出撃してくるはずだ。非常に不安だが説得出来るのが残念だがお前らしかいない。非常に不安極まりないがな」


『そんなんチョロすぎヨユーっスよ』


 マジか、先程あれだけの失態を犯しておきながらの、この余裕。実は大物の器か? いや、アホなだけだな。しかし空に関しては中島頼りだ、空からの逃走経路も塞がなきゃなんねえからな。


「恐らくこれが最終戦になるはずだ、もう一度作戦を確認するぞ」


 連合軍が帝国まで攻め込むってんなら話は別だが、そこまで付き合う義理はないしな。俺にとってはこれが最後だ。


 さて、肝心の作戦だが俺が思いついた作戦ってのは『司祭1人に全責任被せようぜ作戦』だ。


 中島達から聞いた話の内容から推測するとどうやらこいつが黒幕っぽい。まあ万が一間違ってたとしてもだ、無理矢理にでも戦犯に祭り上げるから気にするな。1人の命で多くの者が助かるんだ、俺が許してやる。


 まずは俺達が城に攻め込む、恐らく城内外での戦闘になるだろう。そこで間違いなく出撃するであろう竜騎士隊を皇子、中島が説得する、俺達はその間の時間稼ぎだ。説得に成功したら竜騎士隊を連れ、戦闘の混乱に乗じて司祭を糾弾しろ。帝国の最高戦力が共に非難するなら嘘を誠にする可能性がより増すからな。内容はどうとでもでっちあげろ、無実の人間に罪を着せる勢いでやれ。


 もちろん説得に失敗するパターンも用意してある。今回の作戦は無血開城に主を置いているから、それを取り払うだけだ。中島には作戦失敗時には好き勝手に暴れていいぞと、最近のキレる若者を見せてやれと伝えてある。この場合は山の国の捕虜、帝国兵に多大な被害が出るが、説得に応じなかったお前らが悪い。それに中島が勝手に暴れるんだ、ポイント的にも大丈夫だと信じよう。後は司祭を捕まえるなり殺すなりして罪を着せるだけだ。


「いいな、各自受け持った役割を完遂しろ、この作戦が成功すれば戦争は終わるんだ。少々脅そうが痛い目に遭わそうが構わん、戦犯を作りあげろ。死人に口なしという言葉があるぐらいだ、後はわかるな? 自分で考え行動しろ、以上だ!」


「クズすぎワロタwww」


「おまわりさんwwwこいつですwww」


 何を言う、これが超一流策士タクティクス田中だ。これが他人の命を平気で天秤にかける、超一流の策略よ。


『田中さん、城の方から何か悲鳴みたいなモンが聞こえるんスけど……』


 いや、俺にはなんも聞こえないんだが? ドラゴンの聴覚ってのがスゲエのかね。あんまり気にするのもなんだからまあいいかと深く考えずに進む俺達の視界に複数の人影が入る。普通なら斥候や奇襲などが最初に思いつくが、その考えに至らなかったのは、この兵士達が大怪我を負い、目に恐怖の色を宿しているからだ。


「おい、何があった!」


「ば、化け物が突然……、あっ! ナカジマ様っ!! 大変です、城が化け物の急襲に遭いました! まだ城内に多くの者が逃げ遅れております、どうか皆をお救い下さい!!」


 よし、撤収だ、撤収。ふざけんな、城の中に何人の帝国兵がいると思ってんだ。1人2人じゃねえんだぞ、化け物の相手なんかしてられっかよ。


「中島なら勝てんだろ。しゃあないな、ここでお別れだ。短い付き合いだったが楽しかったぜ? 作戦は勝手に『化け物に全責任被せようぜ作戦』にでも変えとけ、じゃあな」


 しかし、俺の顔向きとは逆方向に勝手に進む足。久しぶりだなコレ! くそったれが!!


「インガオホーwww」


「ざまぁwww」


 うるせえ! こうなりゃ、お前らも道連れだ――


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