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「離せ! 余を誰だと心得る!!」


 知ってるよ、1人で愉快に踊ってるピエロだろ? 前も同じ台詞吐いてたな、言うこと成すこと学習がない証拠だな。


 後方から現れた部隊により予期せぬ挟み撃ちとなったヘリオガバルス達は這う這うの体で逃げ出した。唯1人、総司令官を残して。


「おい、ピエロくん。喜べ、今回もお前と交渉してやるよ。うれしいだろ?」


「何!? 次は山の国から撤退しろとでも言う気か!!」


 それが一番手っ取り早いんだがなぁ。一応、中島アホの件もあるし、万が一司祭に姿をくらませられたら困るんだよな。そういや、あのアホどこまで逃げて行ったんだ?


「山の国は勝手に奪還するだろ、撤退されても困るしな。俺達の要求は無傷で山の城まで辿り着くことだ。ピエロくんには拘束したうえで先頭を歩いてもらう。その際、余計なことはしゃべるな。余計なこともするな」


「無礼な! 余を縛り上げるとでも言うのか!!」


 ああ、そこら辺はまともな感性なんだな。へんたいなら喜々として難解な縛り方を要求しそうなモンだがな。


「嫌なら別にいいんだぜ? ちょっとでも俺の気に障ったら、そこの岩肌でお前の顔面摩り下ろすだけだから」


「進歩がない……だと……?」


「学ばぬwww憶えぬwww考えぬwww」


「交渉と脅迫の違いすらわからぬとは、今までどんな環境で生きてきたんだ? 憐れなヤツだ」 


 余計なお世話だ馬鹿野郎。


 後方から聞こえる陰口を無視しながらヘリオガバルスの腕を後ろに回させ縛り上げる。まあ待て、お前ら。面白いが足は解いてやれ、引き摺らなきゃなんねえだろ? メンドくせえよ。


「そういや、後ろから来た部隊って何だ? 草原の旗がどうこう言ってたが」


 突然と現れた部隊のお陰げでピエロくん捕縛できたみたいなモンだしな。


「おお! トーマス! ミシェラン! お前らも従軍していたのか」


 10名ほどの部隊、その内の1人が俺達に向かい声を掛ける。いや、正確にはピエロくんに跨って遊んでいる2人にだ。時折り「ひき肉にしちゃうよ?」とか「疼くんだよぅ……ヤツに折られた鼻がよ……」とか聞こえるから、今日は特攻ぶっこみごっこか。だが残念、どう見てもヤツとインパルスでは似ても似つかない。後で俺がその金ピカ、日章カラーに塗ってやるよ。


「おひさwww」


「生きてたんwww」


「ああ、かなりの苦労を強いられたが主共々何とか生還したぞ」


 話の内容から推測すると、草原の国にいる数少ないまともなヤツの1人か。お互い大変だな、シンパシーを感じずにはいられないぞ。


「何を同類のように側近を見ている。お前はあのバカ2人側に決まっているだろうが。まあ、側近アレも大概だが」


「そうか。奇遇だな、俺もお前に新しい友達オケラくんとミミズくんを紹介してやろうと思ってたとこだ」


 チッ、逃げやがったかクソガキ、察しのいいヤツだ。


「おい、そこの者! 今そこにいらっしゃったのはレンゲ様か!?」


 側近が俺に向かい問い掛けているのに気が付く。そういやあいつ、そんな名前だったな。あいつにそんな大そうな名前は勿体ない、モグラで充分だ。いや、モグラに失礼だな、ごめんモグラ。


「今しがた逃げて行ったが、何か用事でもあったのか?」


「いやなに、これといった用があったワケでもないが……。無事に帰還したご報告と思ってだな……」


 ははーん、読めた。こいつ、あの公女クソガキに惚れてやがるな? あんなマイナス値振り切ってるヤツのどこに惚れる要素があるのか皆目見当もつかんが。


「言いたいことがあんならハッキリ言えよ。このゴッドハンド田中がコマしのテク教えてやんからよ?」


「いや、ただ一言、『おかえり、お兄ちゃん』と……」


 マジで気持ち悪ぃなお前、死んじまえよ。


「タナカっちwwwナカジマっち帰ってきたwww」


 上空から強い風を感じ、見上げれば中島アホがホバリングしている。あの野郎、やっと戻ってきたか。どこまで逃げてんだ、へたドラが。


「なに虫ケラ如きにビッてんだ、シャンとしろオラ!」


『はぁ? 全然ビビってないんスけど? ちょっと飛びたかったから飛んだだけっスけど?』


「こっちはお前のせいで全滅の憂き目に遭うとこだったんだぞ。群馬県人だろうが! 虫なんざ食いモンだろ! 群馬に謝れ馬鹿野郎!!」


『アンタが謝れクソ野郎』  









「これである程度は危険が回避出来るようにはなったな」


 予期せぬハルジオン達との合流で上手い具合にヘリオガバルスを再び捕縛することが出来た。こいつがマジモンの総司令官で部隊に指示を出していたのなら御の字、少なくとも先程逃げ延びた兵士達から皇子が捕虜になったぐらいの情報は伝わるだろ。おいそれと手出しは出来んはずだよな?


 再び進軍を開始し、山の城に乗り込む算段となったが、へんたいが率いる本隊は山岳地帯の入口に待機させてきた。正直足手まといだし。「ならば選りすぐりの精鋭を」と言ってきたが「選りすぐりのバカの間違いだろ、勘弁しろよ」と断ってきた。今まで精鋭(笑)のお陰で事態が好転したことなんかあったか? もう連れてくヤツは自分で決めるわ。


 まずはウチの奴等ゴリラども。脳筋全振りのステータスが尖ったゴリラだが指示に従う分、何かと有能だ。守りに関しても問題ないしな。


 次に草原のバカ2人。どうせ勝手について来るし。公女クソガキは置いてきた。あいつは駄目だ、暇になると俺達を攻撃する呪いでもかかってんだろ。


 後は中島だ。アホだがドラゴンだ、なんか役に立つんじゃね? 一応重要な役割が1つあるんだが、過度の期待はやめておこう、アホだし。


 それと……


「おい、わかってんだろうな? ちゃんと言う事聞けよ、そうすりゃ俺がお前を帝国の英雄してやんからよ?」


「ふふん、任せよ装甲兵。このカッコイイ余が味方についたからには百人力だぞ!」


 ……大丈夫かよ、こいつ。

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