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「離せ! 余を誰だと心得る!!」


 頼りになるのかなんねえのか、皇子の周りにいた兵士は漆黒黄昏コンビに斬り伏せられ、皇子はバカ2人に組み伏せられている。


 こいつら俺の思考を瞬時に汲み取り行動に移したというのか? ならこいつらと俺の思考はほぼ一致しているということになるのか? ……こいつらと同類? 死にたくなってきたなクソッタレ。


 まあいい、さっきはドリフトで失敗したが、失敗は成功の元とも言うので目を瞑ってやる。やはり交渉術に長けた頭脳派田中としては如何に話術でこの状況を切り抜けるか、こういうところに華を感じるのだ。魅せてやろう、ネゴシエーター田中その真髄を!


「おい、クソ兵士ども、俺達から離れろ! 少しでも妙なマネしたらこいつの命はないと思っとけ!!」


「悪役すぎワロタwww」


「圧倒的三下感www」


 うるせえ、黙ってろ。そういや悪役と言えば、今流行の悪役令嬢って何だろうな? 中身は善人だが行動が悪人役ってことか? 考えた酷い行動が皆にとって望んだ良い結果に繋がるなら胸アツなヤツだが、そうでなけりゃタチの悪いただのサイコ野郎だぞ?


「この卑怯者が! 殿下を離せ!!」


「ああ、そこのお前。今、剣に触ったな? 取り敢えずこいつの目ん玉くり抜くわ」


「うわっ、待て! お前ら全員離れろ!!」


「しかし殿下! 彼奴等は帝国に害を成す存在に違いありません! 殿下のお命1つで彼奴等を討てるのであれば私は本望です!!」


 お前のかよ。どんだけ人望ないんだこいつ、人質にならねえじゃん。


「おいピエロくん? お前、ちょっと全軍に撤退命令出せよ。ああ、別に嫌ならいいんだぜ? 俺はこの軍勢の中生きて出られるなんか思っちゃいねえし。ただお前だけは絶対に道連れにするけどな」


「お、おい! 全軍、王都まで退け! すぐ全部隊に伝令を送れ!!」


「おいおいピエロマン、お前はバカなのか? そうじゃないだろ、俺達はここに何しに来てると思ってんだ? あとはいちいち言わなくてもわかるな。なんなら早く決断出来る様に腕の1本や2本地面に転がしてみるか?」


「こwwwうwwwしょwwwうwww」


「許してクレメンスwww」


 皇子と交渉を続ける俺の頭部に衝撃を感じた。頑丈な兜に弾かれ、足元に落ちた物は1本の矢だ。どうやらただの虚仮威しとしか捕らえてないヤツがいるみたいだな。


「今、矢を放ったヤツ。今回は見逃してやる。まあ、こいつが責任取るだけだからな」


 皇子の兜を外し、髪を掴むとそのまま2回3回と鈍い音を立たせながら顔を地面に叩きつける。


「何でこうなったかは理解出来るな? お前の手下がバカだからだぞ。お前は賢いヤツか? まだやりたいこと、やり残したことがあるんじゃないのか?」


「……全軍、山の国まで退くよう伝令を送れ」


「やれば出来るじゃねえかピエロマン。なあに全軍撤退したのを確認したら開放してやるから。お前らじゃないんだから約束ぐらい守ってやるよ」





 ――王国城内


 もう少しだ、もう少しで我が悲願が達成される。今回の戦が終われば次は草原と泉、その後は森林の国。どれほどの負の思念が渦巻くことか。


 ……何だ、やけに城内が騒がしいな? 早くも戦が終わったのか?


「司祭様、ヘリオガバルス様より山の国まで撤退せよとの御命令です」


 は? 負けたのあいつ!? 倍以上軍勢に差があるんだぞ! 何の為にナカジマを退かせたと思ってるんだ!! 戦いを長引かせるどころかあっさり負けたとでも言うのか!!


「殿下はどこにいる! 撤退の理由を問う!!」


「はっ、現在人質になっております」


 あのクソボンクラがぁぁぁ! あいつ如きに我が計画が頓挫させられるとは思いもしなかったわ!!


 ……いや待てよ。今、私に必要なのは争いの力だ。人が人と殺し合う時に生まれる狂気や殺意の思念だ。一度退くと見せ掛け再編成した軍と竜騎士隊で……。


 些か時期尚早な気もするが、あのボンクラのせいで余計な不備が起きるとも限らない。


「わかった。すぐに山の国へ向かうとする」


 予想以上に皇子ボンクラが使えなかったが、まだ私にはナカジマという手駒がある。そもそも帝国が勝とうが連合軍が勝とうが関係ない。私の計画に変更はない!





 帝国軍が撤退してから3日が過ぎた。あれから何事も起きてはいないが、連合軍は未だ王都郊外に駐屯している。今回の勝利で得た勢いを失わず山の国を奪還する算段らしいな。まあ、俺にはもう関係ないことだが。


 あれから変わったことと言えばこの忌々しいポイントだ。恐らく俺が王都奪還の立役者のはずだ。何故減らない? 何故-8070Pに増えている? ああ、ピエロくんの頭叩きつけたからか……。


「外道が来たぞーwww」


「逃げろーwww」


 ブチ殺すぞお前ら。


 ……まったく、ポイントは増えるわ、バカどもには「脅しと交渉の区別が付かない人がいるとは思いませんでした」とまで言われるわ、どう見ても超1流の交渉だったろうが! もう金輪際、戦いには参加せん!!

バカな話に付き合っていただいて非常に感謝です。ちょっとだけ真面目に働きますので更新が遅くなります。また再開した時に皆さんの暇つぶしになれれば幸いです。

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