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 バイカルの立てた極秘作戦それは特攻だった。東西から攻める連合軍は全て囮で、精鋭部隊を編成したからそいつらを俺が率いて城に特攻かまして来いと。俺専用の攻城兵器作ったからそれ使って城門を破壊して来いと。


「ふざけてんのか?」


「本気だ」


 まず西方面の連合軍が王城西門に向かって進軍する。こちらの軍は攻城兵器を多く準備し、城門前に展開するであろう帝国軍と対峙する。攻城兵器に纏わり付かれるのを阻止する為にそれなりに多い人数を割り振るだろう。後はどれだけ時間稼ぎが出来るかだ。


 次に数刻ほど遅れて東方面の連合軍が東門に向かって進軍する。こちらは二軍に分け、東の帝国と正面から当たったのち北上する。片方の軍は攻城兵器を用意し、南門前の帝国に当たる。一度当たったのち攻城兵器を捨て北東へ疑似撤退する。


 後は潜んでいた俺達が帝国軍が薄くなるタイミングを計って南門の城門を破壊、その後に東門を内側から破壊し、東の連合軍の片割れと合流して西門へ向かう。尚、隊長格以下には何も知らせていない。……そんな上手くいくかコレ?


「数の差はどうにもならん。だが王都に進入出来ればある程度は関係なくなる」


 市街戦か、住民たまったもんじゃねえな。


「勝算は?」


「思い通りに事が運べば9割以上だな」


 思い通りにいって1割弱失敗するってなんだよ。それ作戦に致命的な欠点があるってことじゃん。


「ちなみにアンタの予想だと南門に帝国軍はどれぐらい残る?」


「おおよそ1万弱だな」


「自称精鋭部隊は何人だ?」


「タナカを含めて5人だ」


 ワロス。1人頭2千人かよ。いつも言ってるんだが、たかが人間1人、それが5人に増えたところで何が出来るんだよ……


「前から思ってたんだが、俺に対するお前らの評価って何でこんなに高いんだ? 日本から来たって理由だけか? じゃあ日本から猫が来たらここじゃ虎になるのか? どこにいても猫は猫だ馬鹿野郎」


 かの有名な武術家は檻の中で人間と猫が対峙した時、人は刀を持って初めて互角に戦えると言ったらしい。犬ならまだしも素手でも流石に猫には負けねえよ。だったら人と猫が同じサイズだったらとか言うんだろ? 節子、それ猫やない。違う何かや。


「ほう、そんな類稀な力を擁しているのにか? それに貴殿専用の攻城兵器と我が精鋭部隊を見てまだ不安が残るかな?」


 お前んとこの精鋭部隊(厨二)だから不安も不満も残るんだよ……





 バイカルに無理矢理城の中庭に連れて来られた。ここにその攻城兵器とやらがあるらしいんだが、映画やゲームで見たことある『破城槌はじょうつい』だ。寺の鐘を撞く要領で丸太を叩きつけるアレだ。


 しかしよく見れば丸太を引く紐はなく、移動用の車輪もやけにでかい、それに過剰なほどの巨大な装甲だ。正方形に作られている屋根と側面を覆う鉄板がかなり厚い。重量は相当なものに違いない。


 ははっ、読めたぞ? つまりこいつを俺が押し、助走をつけた上で乗り込んで城門に突撃するワケだな?


「ほんといい加減にしろよ? 重い物を運べるのと衝撃は関係ねえよ。そもそも真っ直ぐ走れねえだろコレ」 


 こんなもんで城門と衝突したら確実に怪我するわ。どうせ操縦桿もないんだろ? 無茶……いや、不可能だ、絶対に。


「安心しろ。貴殿が森林の技術者達に頼んでいた甲冑と盾は作戦決行日に間に合うそうだ。これを見込んで頼んでいたのだろう?」


「安心しろ。事故るのを前提で鎧を頼むバカはいない。どこまでポジティブな脳ミソしてんだお前、もう死ねよ」


 大体、こんなモンで1万の兵士の中突っ込んでみろ、大惨事だぞ。バカ3人シバいたせいで-8060Pになったのに轢死の山でも築こうものなら一瞬でカンストするわ。いいのか、6人目の天使が降臨するぞ?


「バイカル様、こちらにいらしたのですか」


 暗黒時代の到来を危惧する俺の前に男女2人の剣士がやって来た。どうせこいつらも期待通り厨二拗らせてんだろ。


「ちょうど良かった。タナカにお前達を紹介しようと思っていたところだ」


 バイカルに紹介を促がされて女剣士が前に出る。


「初めまして、タナカ殿。泉の国剣士隊『隻眼のネス』です。またの名を漆黒の黒き閃光。以後お見知りおきを」


 痛いなお前。両目はっきり見えてるだろ? 隻眼の意味わかって使ってないよな。後、何だっけ、漆黒のなんとかだっけ? もういいや。


「貴殿がタナカ殿か。我が名は『性的に剣を愛し剣に愛された男ミシガン』またの名を黄昏のラグナロク。今後ともよろしく」


 わかった、お前は王子へんたい側だな。


「この2人がタナカと生死を共にする、我が剣士隊きっての精鋭だ」


 わかった。もう諦めよう。俺、この世界来て相当諦めの良さが身に付いたと思うんだ。


「ふふ、タナカ殿と精子を共にするとは……。だが我が愛するはこの魔剣エペ=アムールのみ!!」


 しゃべんなカス。


「こいつらと話すと頭痛が痛くなるな。で、残り2人の自称精鋭はどんなヤツなんだ……全く期待はしてないがな」


「後はタナカといつも行動を共にしてる2人だが?」


 ……精鋭ちゃうやんけボケ。


ノムリッシュは天才の領域だと思います

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