【裏と表】
三章 神様の操るこの世界は何色だったのだろうか
「ちょっと君が必要になるかもしれないからね」
なんでだろうという疑問とちょっとした頼られる嬉しさが何故だか沸き上り鼻をツーンとさせた。
第三章 【裏と表】
「さて、弟の話をしよう」
ニコッとしながら、ラクは一旦、拘束されている僕の目の前にかがんで顔を覗き、話し出す。
「僕の弟はラピト、ヘルア王国の第2王子だ、僕の家は王族で、僕の両親…国王と王女は昔、戦死した。幼い頃の弟は、両親の事を心から愛するとても優しい子だった。」
ラクは少し寂しそうな顔をして俯く。
「僕らの国はもともとみんなが仲良く平等で心優しい人が多く、終戦後も変わらずそのままだった……。
だけど、ラピトは変わってしまった。両親が亡くなったショックで何もかも…。僕もこの話をする直前くらいまで、ラピトに投与された薬で操られていた。さっきまでの僕は全部ラピトの人格だ……。どうして…こうなってしまったのだろう…」
さっきまでの言動とは全く違い、表情も落ち着いていて、別人だった。
この話は本当かもしれない。
すると、ラクはいきなり地下室で薄暗い中見えない壁よりも遠くを見ているかのようなスーっと透き通るような目になる。
ゆっくりと立ち上がると…
「んなっ!?」
ハクのおでこにはラクの手が当てられていた。
すると頭が軽くなる…
何かを抜かれていくような…そんなような感覚。
ラクはハクの方を見つめている…
ハクは気づいた…。ラクが泣いていたことに。
何故かそんなラクの顔がボヤけて消えてゆく。
意識が遠のいている…。
そして確かに、小さな声ではあったが、ラクは「ごめんね…」と言っていた。
それがどういう意味なのか僕はまだわからない。
続く