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“光の庭”のうたた寝 =077=

❝ =第一章第5節_10= ; 陰山山脈の南域にて・・・・ ❞


蛇足ついでに、更に 今一言。 蒙古高原から西方に侵攻したウイグルの一派は、シルクロードの要地トルファン盆地とタリム盆地北部がウイグルの領国として支配して行った。 後に、遼王朝が開闢する時に前後して、タムリ盆地を中心とする天山ウイグル王国が誕生するのですが、ウイグルが蒙古高原に覇を唱える以前からソグド人はウイグル社会に溶け込んでいた。 ソグド人達はマニ教徒だった。 また、彼等は文字を持っていた。 遊牧民のウイグルはソグドと互いの利害が一致し出した時から文化を共有し合った。 


 ウイグル族がマニ教に染まるにはさほど時間が掛からなかったし、ウイグルはソグド文字を改良して自分たちの文字を生んだ。 その結果、天山ウイグル王国は世界史上唯一となるマニ教国家を創り上げることに成る。


 尚、ウイグル文字を中華風に縦書きにしたのが、蒙古文字。 ジンギスカンの時代に作られた文字なのですが、耶律大石と血縁関係にある耶律楚材が文字創造に少なからず関与している。 四世代後の話だが・・・・。 話がやや 横道に迷い込んだが、興慶の何蕎宅に寄り集まった耶律康阮と耶律康這の兄弟、梁山泊の豪傑100余名を束ねた宋江、その軍師であった呉用、あらゆる事に通じる美青年の燕靑たちが、 それぞれ 二三日中に この地方に旅立つのですから 今一歩 興慶西方の地政学上の最重要要地である酒泉について知識を記しておこう。


 酒泉は、前漢の第7代皇帝・武帝が漢王朝開闢の初代皇帝・高祖(劉邦)の雪辱を復した地であると言える。 紀元前200年のこと、天下統一を成した劉邦は 定期的に北方の穀倉地帯を侵略する匈奴の冒頓単于を討てと、忠臣第一の武将であり戦上手の将軍・韓王信を派遣した。 しかし、皇后・呂雉の偽りの妄言を信じた劉邦は韓王信に不審を抱いてしまった。 翌年、韓王信は匈奴に攻められ、冒頓単于に降った。 韓王信は、自軍を率いて反劉邦の乱を起こしてしまう。 劉邦は反乱軍制圧の親征軍を率いて韓王信の反旗を打ち砕かんとしたが、逆に彼を匈奴に亡命させてしまう。 劉邦は彼を追って 更に 北へ軍を動かした。


 しかし、冒頓単于は弱兵を前方に置いて、負けたふりをして後退を繰り返した。 追撃を急いだ劉邦軍の戦線が伸び、劉邦は少数の兵とともに白登山で冒頓単于に包囲された。 この時、劉邦は7日間食べ物がなく窮地に陥ったが、部下の陳平の策略により冒頓単于の妃に賄賂を贈り、脱出に成功した=白登山の戦い=。その後、漢は和議に持ち込み、劉邦と冒頓単于は匈奴を兄とし漢を弟とすると誓う協定を結ぶ。 その協定は、漢は匈奴に対しては手出しをしないと誓約した上で、漢は毎年膨大な貢物と王女を匈奴に貢ぐと言う屈辱的なものだった。


 因みに皇后・呂雉は「中国三大悪女」の雄と言われる。 劉邦が没して劉盈(恵帝)が即位すると、呂后は皇太后としてその後見になる。 だが、高祖の後継を巡る争いは根深く尾を引いており、恵帝即位後間もなく呂后は、恵帝の有力なライバルであった高祖の庶子の斉王劉肥、趙王劉如意の殺害を企てる。  しかし、斉王暗殺は恵帝によって失敗するが、趙王とその生母戚夫人を殺害した。


 この時、呂后は戚夫人を奴隷とし、趙王如意殺害後には、戚夫人の両手両足を切り落とし、目玉をくりぬき、薬で耳・声をつぶし、その後便所に置いて人彘(人豚)と呼ばせた、と史書にはある。 また、劉邦崩御の後、冒頓単于から ≪劉邦亡き後の孤閨の寂しさを癒す旅をされるがよかろう、韓王信や盧綰等の漢からの亡命者が移動する宮殿を準備し、精悍な匈奴の若者がお世話するであろう・・・・・≫との侮辱的な親書を送られている。 史書には、一時は開戦も辞さぬ勢いであった皇后・呂雉も周囲の諌めにより、婉曲にそれを断る内容の手紙と財物を贈らざるを得なかったと記している。


 そして、80年後 漢の武帝が匈奴に雪辱した。 20歳の驃騎将軍・霍去病が匈奴を打ち負かした。 霍去病が匈奴を打ち負かしたことを聞いた漢の武帝は、10樽の酒を彼に送った。 しかし、20万人もの兵士全員にいきわたるはずはなく、霍去病はすべての兵が平等に皇帝からの酒をいただくために、酒を泉に注ぎ込んだ。 すると泉の水が濃厚な酒の香を放ち、その美酒はいくら飲んでも尽きることなく沸き続けたと言う。 これにちなんで、「酒の泉」と呼ばれるようになったと言う。


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