プロローグ
暖かい部屋で一人の少女が眠っていた。
少女の周りには何も置かれていない。
何もないのに関わらず、少女は満足そうに眠っていた。
そのころ、彼女の隣の部屋では、同じくらいの年頃の少年がフライパンを使って料理を作っていた。その姿はプロの料理人のようだった。
少年はその料理を作り終えると部屋に置いてある時計を見て時間を確認した。
ちょうど時計の針は6を指していた。
少年は確認を終えると隣の部屋に行きその扉を叩いた。
その部屋の少女は扉を開けて部屋から出てきた。
少年はそれを確認すると他の人も順々に起こして行った。
少年がリビングに行くとこの寮に住んでいる中高生が集まっていた。
「直人、今日の朝ご飯は?」
そう言った少女、一神楽は笑顔で椅子に座り、兄である一直人の作った朝ご飯を待つ。他の人も大人しく待っている。
「今日の朝ご飯は、ちょっと手抜きなんだ。悪いな。」
そういいつつも彼の作った朝ご飯は美味しいらしくみんな満足しているようだった。
この寮は学校に認められたものではないので、大人はいない。この寮は直人が作ったものであるため、個人で負担している。つまり完全な未成年だけの空間になっている。
「また近所の人から出ていけって言われたよ!」と明るい声で関本柑奈はこの寮に対する不満や文句について教えてくれた。彼女は少し怒っていた。
「それくらいなら大丈夫なんじゃないかな。」と、この寮の数少ない男性の結城亮平が答える。「他のやつと比べればさ」とため息混じりに言う。
「まぁ、学校この寮には大人が関わっていないからな。あること、ないこと言われても言い返せないからな。」と、直人は覚悟していたかのように言う。
そんな中もう一人の少女は終始無言だった。
朝ご飯の後、支度をするのだが今日は直人が弁当を作っていたためみんな喜んでいた。
みんな同じ学校であるため、一緒に学校まで行き学校の友達と話をしていた。ゲームのことであったり、好きな人のことであったり、今日のラッキーアイテムについてだったり様々なことで時間を潰していた
柑奈や亮平は顔立ちもよく親しみやすいためクラスの中心となっていた。
そして学校の一時間目が始まろうとしていた。始まりを告げる鐘がいつもよりも大きな音で鳴った時、この学校の生徒に異変が起きた。
光が彼らを包んだのだ。
そして彼らが目を開けると、そこは正真正銘の異世界だった。
「どこだよ、ここは?」
その小さな声は誰にも聞こえなかった。
Side 一 直人
「よくぞ来た。偉大なる勇者達よ。突然の召喚に応じてくれたことに感謝する。」
目の前にいる確かな威厳を持った男が突然そう言う。
・・・・・・・俺には分かる。これに召喚されたのはまずかったてことをな。
俺には神の加護がつかない呪いがある。
勇者召喚にはいくつか種類がありそのうちの一つ神の加護つけて召喚する方法だ。
こういったものの能力は極めて協力だ。だが俺は生まれつき重力病という正体不明の呪いにかかっているのだ。どうしたものか。
Side 坂野上 志郎
「よくぞ来た。偉大なる勇者達よ。突然の召喚に応じてくれたことに感謝する。」
目の前にいる威厳を持った男がそう言う。
悪い奴ではないことはすぐに分かった。ではなぜ僕たちを呼んだのか。気にはなるが事情があるのだろうか。
「なぜ僕らは呼ばれたのでしょうか。」クラスのイケメンでリーダーでもある、宮村 優紀が尋ねる。
王はそのことを尋ねられるとすぐに、