お菓子禁止令発令
お久しぶりです。
ご無沙汰してしまい申し訳ありません。
「嫌やぁぁぁ!!そんなん、そんなん、ないわぁぁぁ!!」
病室に優瑚の嘆きが響き渡る。
優瑚は自分の病室で嘆いていた。
「...今日だけは同情するわ、優瑚死ぬなよ。」
時雨が笑いを抑えながらも優瑚の肩を叩く。
「誰が死ぬか!!順番考えたら時雨兄のほうが早く死ぬんやからな!!
...でも、死にそう。」
「まぁ、一生禁止とかじゃないし。まだ良かったやん。」
診察室から出てもずっと嘆いている優瑚に夏輝は苦笑を漏らす。
優瑚は田中に小学生にとって一番過酷なことを言い渡されたのだ。
『優瑚さんの血圧や血糖、内臓を安定させるためにも暫くは糖分控えめでお願いします。
差し入れなども口にしないでください。』
圭吾と美智代は溜息を喉の奥に留める。
「優瑚、我慢しなさい。」
「退院したら、好きなもの買ってあげるぞ。」
「じゃぁお菓子。」
「「それはアカン。」」
二人はそう言うと病室から出ていった。
しかし、優瑚はいつもの陽気な両親ではないことに違和感を感じる。
「何かあったん?オトンたち何か変やったけど。」
時雨は何も知らないため首を横に振る。
「知らん。」
「う、ん。」
優瑚と時雨は頭をひねった。
「「分からへん。」」
考えることを先に終えたのは優瑚と時雨。
しかし夏輝だけは、思い当たる節があるようで口を開かなかった。
時雨は夏輝の様子に眼光を鋭くする。
「何か知っとるんか。」
夏輝への言葉は問いかけでもなく、確信した言葉だった。
夏輝は教えたくないのか、一言だけ発した。
「...俺からは言われへん。」
ただ、と小さな声で夏輝は続ける。
「最近、二人は真剣な顔で話し合うことが多くなってる。...俺が知ってるのはそれだけや。」
時雨はそうか、と答えたきり何も言わなかった。
ふいに、夏輝の服が弱々しく掴まれる。
出先を辿れば、優瑚の手。
「優瑚?」
「...うちのせい?」
夏輝を見上げた優瑚の瞳には、今にも溢れそうな涙が溜まっていた。
どうでしたでしょうか?
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