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極彩は踊る  作者: ごろー
曉の騒乱編
7/14

蒼の魔女

未だに話の本筋はおろか、章の時系列すらつながっていません…どーすんだ 汗




「はあ、」


広間の隅の窓にもたれ掛かって、彼女は今日幾度目かの溜息を吐いた。


外には雲ひとつ無い真っ青な空が広がっていた。川の向こうの市からは、わいわい、がやがや、と品物を売り買いする威勢の良い声がこちら迄響いてくる。


「どうしたら良いのかしら?」


次期魔帝の信任の儀を前にして、彼女の表情は緊張に歪む。彼の策に乗ったは良いが、此れでは余りにも不安なのだ。何故ならば、周りに何人かは居て良い筈の近衛が誰1人いないのだから。



私の計画が台無しじゃないの。


彼女はむう、と唸りながら、今朝のやりとりを思い浮かべる。近衛を彼しかつけないことはずっと前から了承済みではあった。然し、其の彼が自分の側に侍るつもりが無いというのは、今朝初めて知ったことなのである。


「警備が手薄だと思わせておけば、反乱分子も油断するでしょう?貴方が幾ら強かろうともね」


そこを、懲らしめてやるんですよ。


そう屈託の無い笑みを浮かべる彼の、アイスピックよりも鋭利な眼光に、彼女は冷水を頭から被るよりずっと酷くひやりとした。


「大体、未だ魔力覚醒していない貴女程、狙い易い者は居ないでしょうし。」


其れが心配なのよ、と言ってみたりはするものの、一向に相手にされる気配もなく。誰に向かって注文つけてるのかしらね、と軽く拗ねてみた処で、返事は何度言ったって同じ。


「心配などなさらずに。其れとも私に何か、不満がおありで」


黒い髪に、黒い目。その深い黒の底には刺す様に冷たい赫が見える。彼女は其処に何故か恐怖を覚える。彼はひとであって、人でないのだ。それが、彼女の寿命(パートナー)。それを、彼女は誰よりも良く知っていると言うのに。


「はあ、」


彼女はまた溜息を吐く。


とは言っても、総ては予想の内。先頃からの溜息や浮かない顔は、"何処にいるのか判らない"、見えない監視者達の目を欺く為。彼女は全てを理解しているのだ。何処に敵の目があるのかも、彼が自身を護る為に、沢山の代わり身を側に置いている事も。


だから、こうやって一番魔法(ひと)の目につきやすい窓際で、不安に押し潰されそうなか弱き乙女を演じているのだ。


帝家の証である、流れる様な黄金(きん)の髪が、ふうわりと風に靡く。海よりももっと深い蒼を湛える双眸は、不安げに下界を見下ろし。そして。左頬の絡み付く様に描かれた、血よりも濃い赫の紋章が、毒々しく其の色彩を放っていた。


其の全てが、彼女を常人(ひと)離れしている様に見せている。其れも其の筈、彼女はもう人を"やめて"しまったのだから。


彼女の名は、次期魔帝(カイザー)、フェデリカ。忌まわしき二つ名は、蒼の魔女(アジュール)



次回、細かい世界設定を投稿する予定です

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