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極彩は踊る  作者: ごろー
曉の騒乱編
11/14

黒の甘言

最強要素がコレっぽっちも出て来てません。

強いてゆーならシャール君の能力が微チート。

予定では、フェデリカ最強、トトーがテラチートにたぶんなる。


うわあ、こりゃまた凄い


黒い靄がぶわっと、という表現では収まり切らない程噴出するのを、彼は内心呆れ乍ら、然し眉ひとつすらぴくりとも動かさずに眺めていた。


其の出元は勿論目の前の男、マクシミリアン・トレッシャー。此の間の計画が纏まったのだろうか、彼はシャールの前で嬉々として喋る、喋る。其れはもう、日頃のおべっかから、聞きたくもない彼の野望まで実に沢山。


然し、其れは全て本心では無いことばかり。そうでなければ、言の端から黒い靄、嘘の証拠など溢れ出る訳が無いのだ。


はあ、


と矢張り無表情の仮面の下、彼は溜息を吐いた。目の前の狸に其の思惑を隠すつもりは一切無いらしい。まあ、却って都合が良いと言えばそう為るのだろうが。


シャールは其れを好機に、となんとなく目を細め、黒い靄を『読む』。靄を、言の端を手繰り寄せる様に、慎重に、且つ大胆に其れを読み解いて行く。


成る程、ね。


つい先程擦れ違った男が、彼の頭の中でニタリと嗤った。


トレッシャーの狸、確かに頭だけは悪くはない。


全て狗の言う通り。狸は二重三重の策をもう既に用意している様だ。


さて、貴方達は一体どんな舞を見せてくれるのでしょうか。


彼もまた、心の中でにやりと嗤った。



彼、マクシミリアンは目の前でうっとりと目を細める第一皇子を見遣り、何かの手応えを感じていた。彼は其れが虚無であることもつゆ知らず、自らの計略の素晴しさについて2、3度考えを巡らせる。


素晴らしいじゃないか。


誰も傷付かないのである。理論上ではあるのだが。


とは言っても、


と彼は内心ほくそ笑む。


|貴方《シャール"様"》には犠牲になっていただきますけどね。


致し方の無いことよ、と彼は其の辺りを割り切って考える。此処2,3年、魔帝に関する意味深長な発言の多い言わば第二席を、誰が弁護出来るというのであろうか。


いや、誰も出来るまい。


彼は心の中でクックと嗤い、もう一度目の前の皇子を見遣る。相も変わらずのほほんとした空気を醸し出す彼に、マクシミリアンは何故か安堵の表情を浮かべた。



「マクシミリアン・トレッシャー殿に直々申し上げたい」


第一皇子との面会の後、丁度屋敷に着いた途端のことだった。王の盾の使者が伝令にやってきたのである。そんな果たし状の様な文言を当の本人、マクシミリアン・トレッシャーは訝しみ乍らも何故か満更でもない、と言う様な感覚で受け取った。差出人は魔帝の狗、サルヴァトーレ。何があったのかは皆目検討もつかないが、まあ良いだろう。どうせ計画がバレなければ問題はない。


寧ろ、"どの様に攻め入るか"の判断をするのに丁度良いかもしれない。


と彼は従者の小言に適当に相槌を打ち乍ら考える。未だ庭の手入れが終わっていないらしい。新しい狗はもっと前もって訪問を申し出られないのだろうか。そんなことについて云々。


「まあ気にするでないさ。そのうち彼には死んでもらうのだからね」


物騒なことを隠さず大っぴらに宣言できるのが、己の屋敷の素晴らしいところかもしれない。



蓋を開けてみれば、それはただの世間話が殆どだったと言っても過言では無いだろう。結局のところ、サルヴァトーレとマクシミリアン・トレッシャーの会談はこれに尽きる。


今日の天気の話から始まって、最近各々の侍女長の小言が五月蝿いだの云々。


始めから堅苦しい話をするのだと気構えていたマクシミリアンはひどく拍子抜けしたものである。


然し、それを表に出すのは少しばかり気が引ける。というのも、話題が話題の所為か、相対する男の態度はあくまでも自然体、そして自然体であるが故に隙が無いのだ。


他に、プライドのことも少しある。侯爵2家のうち、トレッシャー家は代々交渉等の弁論関係の分野を司っている。どこの馬の骨とも知らない男に口で負ける訳にはいかないのだ。


(目の前の男の分析は侍らせている部下と監視魔術に任せるとして…)


マクシミリアンは男の話に適当に相槌を打ちながら、思考の海に潜る。この男は何の為に自分を訪ねてきただろう。この男は何を伝えたくて此処に居るのだろう。判らない。情報が足りない。これでは判断のしようがない。結局、幾ら考えても答えは出なかった。



「さて、本題へ移らせてもらおうか」


開始早々の天気の話からずっと弛緩していた場の空気に、いきなり緊張が走った。


原因は無論黒の男(サルヴァトーレ)である。


その渦中の彼は度肝を抜かれたマクシミリアンの目の前で何とも黒い笑みを浮かべていた。殺気を含ませた彼の冷たい声に、マクシミリアンの全身からは冷や汗が吹き出す。実に気持ちが悪い。


然し、そんなことを気に掛けられる程の余裕は今のマクシミリアンにはなかった。


「近衛が1人だけ、という意味を是非とも再考して頂きたい」


何も、返事出来るような空気ではない。


無礼な客人は、品定めでもするかの様にマクシミリアンを眺めている。一挙手一等足、引いては発する言葉全て逃さぬ様に。


客人は暫くそうしていたかと思えば、次には目の前に差し出された茶を啜っている。しかも、してやったり、という顔で。


「そろそろお暇させて頂こうか」


最後の数分間で得られた情報は、果てしなく重い。


颯爽と屋敷から出てゆく狗の後姿を眺めていた彼が、終始相手のペースに呑まれていたことに気付くのにそこまで時間は掛からなかった。



(お知らせ2行と作者の妄言)


次回、ネタバレ必須のキャラ説。

見たく無い人は見ない。コレ常識。

アレだったらfate風ステータス表書いちゃろーか。





…ダミだ。

何か天罰が下りそうだし。『エヌマ・エリシュ』レヴェルの。

ま、『無限の剣製』だったら自分から当たりに行くがな‼(危険)


ワタクシ、英霊エミヤは無駄に好きです。一家に一台(?)は欲しい。

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