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抗議は届かず

 魔物が巣くうラオール家の屋敷から北にある魔物の巣の近隣の村が魔物の襲撃を受けており、村を救出すべく先行部隊を指揮しているメイルは村の救援に向かった。


 だが兄アダムは援軍は送ったものの、あとはメイルの部隊に任せて自分達は一刻も早く魔物の巣に向かうべきであると主張する。


 いくらメイル達でもどれほどの数の魔物がいるか分からないし、何よりこのまま村を危険にさらすわけにはいかない。だがら俺は村に行くべき主張を続ける。


「兄上、我々が巣の魔物に手間取れば村の危険性は増すばかりです、まずは村の安全を確保するのが最優先かと」

「ジュン、この俺、そして一応お前がいれば巣の魔物程度におくれはとらん、それにメイル団長ならば襲撃した魔物を相手にするには十分なはずだ」

「兄上、村を救ってからでも巣の魔物を駆除するには遅くはありません、まずは村へ!」

「ジュン、我々が先に村に行き、その間巣に残った魔物が他の街や村を襲わんとも限らん、まずは巣を駆除し周囲の安全を確保するのも大事な仕事だ」


 くそ!兄上は巣の魔物をさっさと倒したいだけだろう、お得意の強力な魔法も村では威力がありすぎて使いにくいだろうし、まさかそれで巣に行くべきだと主張しているのか?


「分かりました、では兄上は巣にお向かいください」

「何?」

「俺は騎士団の者達と村に向かいます、村民やメイルを見捨てるわけにはいきませんから」

「待て!先行部隊は遭遇したからともかく、お前達は俺の指揮下で動かなくてはいかん!そんな勝手が許されると思っているのか」


 俺は兄の指揮下にいるが、こんな村民を見捨てかねん選択を取る兄の指揮下にいるくらいならば、俺はメイルや村人を助ける。


「兄上!俺は継承順位最下位ではあります。だけどラオール家の一員として領民を守る心得はあります!それでは失礼します!」

「くっ!指揮下から外れて動く事の意味後で思い知ってもらうぞ」


 その発言には無言を通し、俺はこのまま自分の部隊の元に戻っていく。指揮下から外れた行動をとる。その意味は分かっている。何か処分されるかもしれないが、今は危険にさらされている領民やメイル達を助けないと。そう思い、部隊に戻ると騎士に声をかけられる。


「ジュン様、アダム様は何とおっしゃっられました?」

「……これより村の救援に向かうぞ」

「え?それはアダム様のご命令ですか?」


 独断で動く事にはなるが、今ここで村を見捨てる事はあってはならないことだ。待っていろメイル!

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