出撃要請
訓練所での剣による組み手稽古を終えて俺達は休憩をしているときに1人の男が騎士団長であるメイルを尋ねてきた。この男に見覚えがあったので思い出そうとすると先にメイルが男の名前を呼んだ。
「パリア殿、アダム様の補佐官であるあなたが私というより我らに用なのはまさか出撃のご命令ですか?」
「おお、さすがはメイル騎士団長、話が早いな。そうだアダム様の命で騎士団の出撃要請をしたいのだ」
「お言葉ですが先日も我らが騎士団はアダム様の命で指揮下に入り魔物を撃退しましたが、今度はどちらへ?」
「うむ、北に新たな魔物の巣ができて、このままでは近隣の住民に被害が出るという事でアダム様は出撃を試みようとしたがなかなか兵が集まらんのだ」
兄アダムが騎士団に出撃の要請をしてきているようだな。だけど先日騎士団は一緒に出撃したんだよな。まあアダムが自分の力でほとんど倒したらしいけど。
「報告によれば我ら騎士団はほとんど戦闘しなかったと聞いております、前の戦いは我らの力が必要なかったということなので、手持ちの兵でも十分かと思いますが」
「何を申すか!アダム様の身に何かあったらどう責任を取るのだ!それに今度の巣は大きいし、アダム様がいかに優れたお方でも少数の兵では討伐しきれまい」
「それで、我らをですか?ですが前回の事もあるので出撃する人員等は私にお任せいただきますか?」
「構わぬ、選りすぐりの者を頼むぞ、ではそのようにアダム様にお伝えしておこう」
そう言って兄の補佐官であるパリアは去って行った。そういえばあいつ兄の教育係でそのまま補佐官になったんだよな。このままアダムが後継になればあいつの発言力も強くなるんだろうな。それはなんか嫌だな。
「チッ、あの腰ぎんちゃくオヤジがまた騎士団をアダム様の私闘に駆り出しやがるのか」
「私闘?魔物退治が私闘だっていうのか?」
「言葉のアヤですよジュン様、ジュン様も少し聞いているでしょうけどアダム様は魔物の巣があるとすぐに出撃命令を下す、まあそれ自体は必要な事なんですが、問題は……」
「ダンテ副団長、ジュン様にアダム様の醜聞は……」
メイルが俺に対して兄アダムの事をダンテが説明しようとするのを制止しかけるが、それに重ねるように俺は言葉を発した。
「いや、聞かせてくれ、姉上からも少し聞いてはいるが現場の意見は貴重だ」
「ジュン様も聞いておきたいんですね、団長、ジュン様が聞きたがっていますしいいですよね?」
「分かったわ、現場の意見……」
とりあえずある程度は分かっているものの現場からの兄の評判はいかがなものなのか?




