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要求受け入れ

 自らが人質になる事でヴィスタ家の安堵を懇願するマリーに対し、兄アダムは自らの妾になるよう言い放ったのだ。いくら時間稼ぎの為の交渉とはいえ、少し調子に乗りすぎだろうと思っていると、更に俺に対しては騎士団の解散を要求してきたのだ。


「き、騎士団の解散ですって?兄上、騎士団は我がラオール家の武を象徴する剣ですよ、それは仮にもラオール家の当主を名乗ろうとしている兄上自ら解散させるなど……」

「俺の代よりはそのようなものは必要ない、新たな武勇に優れた者を召し抱えればすむこと」

「そんな都合よくはいくとは思えません、俺の身を差し出す代わりに彼らを許すことはできませんか?」

「ダメだ!奴らを騎士団として残すといずれお前を担ぎ出しかねん、よって騎士団は解散、お前を含む首脳陣は身柄を拘束したうえで処罰する!」


 くっ、あくまでも騎士団は解散させる気か、現状、武でアダムに対抗できる数少ない一団だからな。


「ですが今ここには俺とダンテ副団長しかいませんよ、この騎士団の団長はメイル団長なんですから」

「どうせ、今はファブ家にでも戻って、我々に対抗する為の兵でも集めているのだろう、お前達を抑えた後にでも征伐しようと思っていたから、今いようがいまいが関係ない」


 さすがに兵を集めているのはもう知られていたが、この交渉は時間稼ぎだとは気づかれていなさそうだ、これはまだ交渉を引き伸ばせるかもしれないぞ。


「兄上、いくら俺がラオール家の人間だからと言っても、この騎士団の団長はメイルですし、彼女に騎士団の方針を決する権限はあると思います」

「ふん、俺が解散と言えば解散せざるをえんだろう、それともメイルはお前がいなくとも反抗するのか?それならば力でねじ伏せるまでよ」

「ま、待ってください!いきなり解散してしまえば生活の糧を失う者達も多くいます、その者達への補償を約束できますか?」

「……まあ、いいだろう、だが先ほども申した通り、お前やメイル、ダンテは身柄を拘束させてもらうし、それ以外の者達にも我がラオール家にとって重要になる者もいるしな……」


 偽りではあるが、とりあえず解散要求を受け入れる事にした、さて更なる時間稼ぎとして……。


「申し訳ありません、一度席を外し、俺が解散要求を受け入れた事を彼らに説明させていただけますか?」

「知っておく権利は奴らにもあろう、良かろう、せいぜい恨まれない事を祈るのだな」

「ええ、祈っておきます」

「モニカとマリーはしばし残れ、お前達ともまだ話は続けなくてはならないからな」


 とりあえず屋敷には戻るとしよう、そろそろメイルの場所も知りたいところだしな。

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