Xさんとのお付き合い【創作者編】
――創作者もすなるXといふものを、我もしてみむとてするなり。
そんな決意を以て、2025年私はXに手を出した。
正確にお伝えすると、私がXにアカウント登録したのは2021年7月のことだ。
理由はただひとつ、『ちいかわ』を読むためである。
今やアニメ化に留まらず映画化も発表され、グッズが出れば飛ぶように売れる国民的キャラクターに昇りつめたちいかわだが、元々はX(当時はTwitter)発の漫画作品だった。
私は元来キャパシティの小さな人間である。
仕事で塗りつぶされた日常の合間を縫い、ちまちま執筆を続けている状況下において、SNSにまで手を広げればキャパオーバーを招くことは想像に難くない。
よって、私はおとなしくちいかわを読むためだけにXを使用していた。
そんな状況が変わったのは、2024年秋のこと。
きっかけは小説投稿サイト『カクヨム』の自主企画に関するお話を頂いたことだった。
『小説家になろう』と異なり、カクヨムには登録者同士がクローズドでメッセージを送り合う機能がない。
それ故、企画に関する連絡手段としてXのメッセージ機能を活用したいということだった。
最終的には別の連絡方法になりXはお役御免となったのだが、私の手元にはちいかわ専用プラットフォームから『未来屋 環』名義に生まれ変わったXアカウントが残った。
そうなると色々と使ってみたくなるのが人の性。
以降ちょくちょくXに投稿するようになり、2025年12月現在でそろそろ1年が経過する。
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今回私が本エッセイをしたためたのは、何を隠そうXを活用されている世の創作者のみなさまに教えを乞うためである。
せっかくXで創作アカウントを作ったのだ。
広く自作を宣伝し、願わくば新たな読者の方を獲得したい――そう思いつつ、Xと上手くお付き合いできている気がしない。
前提として、私のポスト(投稿)はおよそ3種類に大別される。
ひとつ目は本来の趣旨に合致した創作ネタ。
新作の投稿や連載更新などを知らせるものである。
その他、他の書き手さんの作品にレビューを書いた時の布教活動にも使用している。
ふたつ目は趣味ネタだ。
好きなミュージシャンやキャラクターについてぽつぽつと呟いている。
当初は創作とは何ら関係のないことについて呟くのはどうかと思ったものだが、X上でキーワードを検索したり他のファンの方のポストに「いいね」を押したりすると、関連性の強いポストがどんどん流れてくるのだ。
押し寄せてくる推しの情報の破壊力は凄まじく、流されやすい私はすっかり感化され洩れ出る想いを密やかにたれ流している。
そして、みっつ目は日常ネタである。
といっても、大抵はおいしい食べものに出逢えた時にその写真を上げる程度だ。
あとで見返した時「あぁこれはおいしかったなぁ」「また食べたいなぁ」とニマニマしながら鑑賞し、後に小説に出したりグルメエッセイのネタにすることを目的としている。
また、たまに文学に関係のありそうなものや、インプットした映画や漫画についての感想を載せることもある。
ふたつ目とみっつ目は置いておくとして、ひとつ目の創作ネタは果たしてどの程度自作への導線になっているのか考えてみたことがある。
結果「やらないよりはいいくらいのレベル」というのが私の現時点の結論だ。
というのも、ふと目に付いた方をフォローしたり、もしくは私をフォローしてくださった方にフォローバックをしていったところ、気付けばそれぞれ500人を超えていたのである。
そうなると、関係のある方全員の作品を読みに伺うのもなかなか難しくなってくる。
それは逆も然りで、仮に私をフォローしてくださっても、作品をわざわざ読みに来てくださる可能性はかなり低いのではないだろうか。
仮にポストが『バズる』――通常よりも多くの方々の注目を浴びたとして、そこから「おっ、この人小説書いてるのか。どんな作品を書いているのか読みに行こう!」とはなかなかならないように思う。
普段からお付き合いがあるならまだしも、いわんやたまたま見かけた一ユーザーをや、である。
とはいえ、私自身は「あ、この作品面白そう」と思えばフォロー有無を問わず読みに伺うし、書籍化されている方においては本を購入したりもする。
こうして行動に結び付くことは稀だと思うがこういうパターンもあり得るので、過度な期待はせず、しかし自作への導線になればラッキーくらいの心持ちでやるのが精神的に良いのだろう。
――とここまで書いてきたものの、実際には自作の宣伝とは関係なく、Xを始めて良かったなと思うことがある。
それは、創作に関する様々な情報に触れるきっかけを得たことだ。
例えば私は先日『読書実況』と呼ばれる企画に初めて参加させて頂いた。
幾つかパターンがあるようだが、私が参加したのは主催者の方が応募作品を読みながら感想を話しつつ、同時に参加されている方々ともリアルタイムでチャットするスタイルのものである。
「忖度なしでハッキリ言う」という事前情報もあり、かなりドキドキしながら当日を迎えたが、結果的に普段接点のない方々からストレートなリアクションを頂ける素晴らしい時間を過ごすことができた。
なお、ここではたと気付いたが、この読書実況に参加した際は私の作品に足を運んでくださった方々もいた。
そういう意味ではXで募集されている様々な企画に参加することは、自作への導線のひとつになるのかも知れない。
その他にも、文学フリマなるものの存在を教えて頂いたり、AIの活用方法について各投稿サイトの動きを知ったり、現役編集者の方やプロの作家さんのポストから色々と学んだり。
そしてWebへの作品投稿だけでなく、公募にチャレンジする方々に出逢えたことも収穫であった。
同じ目標に向かって頑張るひとたちの存在を知ることで、自分もまた頑張ろうと思える――これらはXを始めることで新たに得られた経験である。
そんなわけでせっかく始めたX、これからもマイペースに続けていけたらと思う。
そしてみなさまはどのようにXとお付き合いされているだろうか。
本作をお読み頂いた方、Xユーザーであるか否かを問わず、もし素敵な活用方法をご存知であれば是非教えて頂きたい。
ただXの使用において注意すべきは、画面を眺めていると楽しくてついつい時間を溶かしてしまうことである。
今私のホーム画面は、直近でファンミーティングを開催した小室哲哉氏の画像であふれ返っている。
撮影OKだったらしく色々なカットが参加者の方々から投稿されたため、いちいちリアクションしていたところこのような事態になってしまった。
穏やかに微笑む小室哲哉、激しく手ブレする小室哲哉、ライティングの関係か発光して見える小室哲哉――そんな数多の小室哲哉氏を眺めながら、そういえば昔X JAPANのYOSHIKI氏とユニット組んでいたなと思い出すなどする。
……結果、なんだかよくわからないエッセイになってしまった。
とまれかうまれ、とく破りてむ。
(了)
土佐日記、冒頭は知っていたのですがラストは知らなかったので勉強になりました(`・ω・´)




