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英傑物語  作者: しろ組
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二、訓練所

 ゴルトは、訓練所へ向かう道中、(おぞ)ましい光景を目の当たりにする事となった。通りには、(おびただ)しい血溜(ちだ)まりと肉塊(にくかい)と体の部位の切断された死体が、転がって居るからだ。それらを目にするなり、「う…」と、顔を(しか)めた。このような惨状など、つい先刻までは、想像すらして居なかったからだ。そして、通りを徘徊(はいかい)する岩人形と骸骨へ、便利屋(コンビニ)の倉庫で入手した酸属性の剣を振るいながら、先を急いだ。しばらくして、城門前へ突き当たると、右へ曲がった。少しして、訓練所の敷地内(しきちない)へ進入した。だが、兵舎や訓練用の関連施設は、全て、破壊されて()り、岩人形と骸骨達が、彷徨(うろつ)いて居た。その有り様に、立ち()くした。

 突然、「可愛い教え子共をっ!」と、男の怒鳴り声がした。

 ゴルトは、我に返った。まだ、生存者が居るのだと勇気付けられたからだ。そして、敷地内を見回した。間も無く、少し正面奥で、複数の骸骨と何者かが戦って居るのを視認した。その瞬間、駆け出した。加勢をしなければ、殺られると思ったからだ。程無くして、辿り着くなり、「やあああ!」と、切り付けた。その直後、真正面の骸骨が、四散して、そのまま、黄色い砂塵(さじん)と化した。続けて、左右の骸骨も、()ぎ払った。瞬く間に、同様の末路(まつろ)を辿った。

「誰だか知らんが、助かった…」と、血塗(ちまみ)の男性が、礼を述べた。その直後、「ゴルト、無事だったか…」と、口にした。

 その瞬間、ゴルトは、目を見張り、「せ、教官(せんせい)、大丈夫ですか?」と、気遣った。教官だからだ。

「大した強さではないが、倒しても、倒しても、元に戻りやがる! 何なんだ、奴らは…」と、教官が、声を振り(しぼ)った。

「デヘル帝国の回し者のようです」と、ゴルトは、告げた。フェイリスの言葉を信じるしかないからだ。

「そうか…」と、教官が、崩折れた。そして、動かなくなった。

 そこへ、岩人形が、教官の上へ、右の(こぶし)を打ち下ろして来た。その直後、教官の血肉を飛散させた。

 その瞬間、「てめえ! この野郎!」と、ゴルトは、激怒(げきど)した。今のは、許せないからだ。そして、跳躍(ちょうやく)するなり、岩人形の脳天目掛けて、剣を振り下ろした。一瞬後、頭頂部へ、一撃を見舞った。

 その直後、岩人形が、真っ二つに()けた。そして、左右に、地面へ倒壊(とうかい)した。

 その間に、ゴルトは、岩人形の手前で着地するなり、数歩下がった。その直後、「教官、デヘルをぶっ(つぶ)してやりますよ!」と、(ちか)った。このままでは、浮かばれないからだ。そして、(きびす)を返した。城の方も、気になったからだ。しばらくして、城門に差し掛かった。

 そこへ、上から何者かが、行く手に着地した。そして、「おい! ここから先へは行かせないぜ!」と、剣を向けて来た。

「あんた、人間じゃないな?」と、ゴルトは、(にら)みを()かせた。人間にしては、妙に違和感が有るからだ。

「ああ。俺は、手長ウキキ族のケッバーだ。傭兵(ようへい)をやっている」と、ケッバーが、意気揚々に名乗った。

「つまり、あんたも、デヘルの回し者ってやつか?」と、ゴルトは、憮然(ぶぜん)とした顔で、問うた。この頃合い(タイミング)で現れるという事は、関連性大だからだ。

「だったら?」と、ケッバーが、半笑いで、返答した。

「ならば、こうだ!」と、ゴルトは、仕掛けた。デヘルの関係者は、片っ(ぱし)から潰してやろうと思って居るからだ。

「はっ!」と、ケッバーが、刀身を払って、斬撃(ざんげき)をいなした。

 その直後、「わっ!」と、ゴルトは、体勢を崩された。そして、転倒する寸前で、踏み(とど)まった。

 その間に、ケッバーが、突きを繰り出した。

 ゴルトは、間一髪の差で、左へ()けた。そして、間髪()れずに後退して、間合いを取った。岩人形や骸骨を相手にしているのとは、訳が違うからだ。

「どうした? さっきまでの威勢(いせい)は?」と、ケッバーが、挑発(ちょうはつ)した。

「くっ…」と、ゴルトは、歯噛(はが)みした。実力者と対峙(たいじ)するのは、初めてだからだ。

「びびってんのか?」と、ケッバーが、薄ら笑いを浮かべながら、冷やかした。

「何をっ!」と、ゴルトは、憤慨(ふんがい)した。これ以上、虚仮(こけ)にされるのは、我慢(がまん)ならないからだ。そして、「うおぉぉぉ!」と、怒りに任せて、突っ掛かった。

「若いねぇ」と、ケッバーが、寸前の所で、左へ(かわ)した。

「え?」と、ゴルトは、意表を突かれた。程無くして、前のめりに、突っ伏した。そして、起き上がろうとした。

 その瞬間、「遊びは、お(しま)いだ…」と、ケッバーが、告げた。そして、「頭が、胴体から落ちちゃうぜ」と、警告した。

「う…。くそっ!」と、ゴルトは、悔しがった。何もさせて貰えないまま、負けたからだ。

 しばらくして、駆け付けた数名のデヘル兵へ、引き渡されるのだった。

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