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英傑物語  作者: しろ組


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一一三、離脱

一一三、離脱


 ゲラーナ達は、踵を返して、エ・グリン邸の敷地外へ向かった。程無くして、正門の手前で、血と泥と別々の肉片が混じり合った警備兵の死体に、行く手を阻まれた。

「下衆野郎め! 下衆魔犬の喰い残しを掻き集めやがってよ!」と、ゲラーナは、嫌悪した。あらゆる物を寄せ集めた死体を使役する行為に、ムカついたからだ。

尊厳(そんげん)も、へったくれも無いな…」と、蜥蜴族の戦士も、不快感を口にした。

「お、おでも、そう思う…」と、スケル豚も、同調した。

「これで、御役御免にしてやるぜ!」と、ゲラーナは、刀身の燃えている剣で、警備兵の死体へ、一太刀浴びせた。せめてもの(とむら)いだからだ。

 その直後、警備兵の死体が、斬られた箇所から、燃え上がった。そして、瞬く間に、炎に包まれた。

「こんなに燃えるとは…」と、ゲラーナは、目を瞬かせた。想像以上の火力だからだ。

「へ、おでの脂だからな」と、スケル豚が、得意気に言った。

「そうだな」と、ゲラーナは、理解を示した。火花で、着火するくらいだから、(あなが)ち、そうとも言えるからだ。

「とにかく、最小限で進もうぜ。死体でも、あんまり、人を斬りたくないからな」と、蜥蜴族の戦士が、提言した。

「そうだな。ここは、戦場じゃないんだし、操られている奴を斬る趣味は無いからな」と、ゲラーナも、賛同した。尊厳を無視された死体を斬るのは、心苦しいからだ。

「おでには、そこの考えは、分からんが、モリータのやっている事が、悪い事なのは、分かる」と、スケル豚が、口にした。

「へ、それだけ分かりゃあ、(なり)はどうだろうと、お前さんの方が、まともな奴だと思うぜ」と、ゲラーナは、にこやか言った。スケル豚の方が、モリータよりも、正常(まとも)な精神の持ち主だと思えるからだ。

「確かに。思ったよりも、素直な奴なのかもな」と、蜥蜴族の戦士も、見解を述べた。

 その間に、三人は、歩を進めた。間も無く、正門を通り抜けた。だが、路地には、血塗れの下衆魔犬の群れが、待ち構えて居た。

「ちっ! 日輪大熊猫が伸した犬共が、戻って居やがるぜ!」と、ゲラーナは、顔を顰めた。無事(タダ)では、帰らせてくれそうもないからだ。

「あいつら、さっきの死体と同じ気配を感じる。帰巣本能で居るだけ。モリータの支配、受けていない」と、スケル豚が、語った。

「でも、俺達は、敵なんだろ?」と、ゲラーナは、冴えない顔をした。仲良くなれそうな気がしないからだ。

「んだな。下衆魔犬達は、仲間以外は、食い物としか見て居ないからな」と、スケル豚が、回答した。

「だから、見境無しに、人々を襲って居たって事か…」と、蜥蜴族の戦士が、納得した。

「しかし、俺は、死体でも、人を斬るのは嫌だ。だから、危険なのを承知で、下衆魔犬の方を進むぜ」と、ゲラーナは、意を決した。下衆魔犬を相手にする方が、気楽だからだ。

「確かに、死体を相手にするよりかは、下衆魔犬の方が、やり易いな」と、蜥蜴族の戦士も、同調した。

「おでは、どっちにも思い入れみたいなもんは無いから、大丈夫だぁ~」と、スケル豚が、しれっと言った。

「行くぞ!」と、ゲラーナは、先立って、下衆魔犬の群れの中へ駆け出した。強行突破しか無いからだ。そして、勢いそのままに、正面の下衆魔犬へ、一太刀浴びせた。

 次の瞬間、下衆魔犬が、炎の塊となり、瞬く間に、骨と化した。

 しかし、周囲の下衆魔犬達は、反撃に動くどころか、無関心のまま、その場に留まって居た。

「な、何だ?」と、ゲラーナは、拍子抜けした反撃を覚悟して居たのだが、まるで、他人事のような反応だからだ。

「路地裏での獰猛(どうもう)さが、消えているな」と、蜥蜴族の戦士が、補足した。

「死体化したから、食欲みたいなものが無くなったのかも知れんな」と、ゲラーナは、考えを述べた。死体化した事により、生きるのに必要な欲求が、機能しなくなったと考えるべきだからだ。

「奴らは、人面下衆魔犬の劣化種みたいなものだから、帰巣本能以外は、残らなかったのかもな」と、スケル豚が、淡々と言った。

「つまり、お前さんや人面下衆魔犬共は、錬金術みたいなもので、創られたって事か?」と、ゲラーナは、質問した。自然の過程で発生したとは、到底、考えられないからだ。

「そうだと…思う…」と、スケル豚が、自信無さげに、頷いた。

「どうやら、(やしき)の地下に、何かが在るのは、間違い無さそうだな」と、蜥蜴族の戦士が、察した。

「とにかく、酒場まで戻って、答え合わせだ」と、ゲラーナは、提言した。スケル豚と人面下衆魔犬の話を擦り合わせたいからだ。

 間も無く、一同は、下衆魔犬の群れを擦り抜けて、離脱するのだった。

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